第2話夢じゃなかったバットエンド☆

うちは海野美羽。召喚者の勇者…

昨日召喚されて王様から武器とお金を貰って魔王を倒す旅に出発した。元の世界では女子高校生で体型は小学生並みだけど持ち前の元気さで男子顔負けに暴れ回っていた。部活で剣道をやっていたから剣の扱いはなんとかなったしチート並に魔法が使えるようになっていた…なのに早速捕まってしまった!しかも魔王を倒して世界を救い助ける人間に!

召喚勇者とはいえ最初からレベルが高い訳では無い。地道にお城周辺の雑魚敵を倒していく。

HP、MPが尽きそうになり宿屋を目指していたところ急に飛んできた矢が肩に掠ってしまった。

敵!?矢が飛んできた方を向いて剣を構える。しかし手が痺れて剣を落としてしまう。

私が混乱しているとだんだん足も痺れてきて膝をついてしまう。

「はぁはぁ」

四つん這いになって荒い息をしていると…

「こりゃ上玉じゃねぇか高く売ってやるからな冒険者さんよ」

山賊?のような男が現れる。

「うちは…勇者よ…うちに何をしたの…?」

山賊?はうちの質問が聞こえないふりしてうちの両手を後ろに回した。

「ちょっ…やめてってば」

うちは両手を組むように後ろ手で縛られ膨らみの無い胸の上下にも縄を掛けられてしまった。

「解いてよ…変態!」

身体は痺れて動かないけど喋れたので必死になって叫んでいると…

「むぐぅ」

太い竹を噛まされて後頭部で縛られた。

山賊?は私をひょいと担ぐと森の中に入って行った。

炭焼小屋のような所へ私を運ぶとブーツを脱がせて足首、膝の上下にもきっちり縄を掛けられて1本の棒のようにされてしまった。目隠しもされて完全に世界が真っ暗だ。

状況から考えると矢に痺れ薬のようなものが塗ってあったのだろう。うちに避けられたらこっそり逃げればやられる事もないもんね…

さて…これからどうしよう?現状は身体が痺れていて人形のように動く事が出来ない。痺れが治るまではとりあえず何も出来そうにない。とりあえずHPMPもほとんど無いし寝るか…

朝になり身体中の痛みで目が覚める起き上がろうとしたが手が動かない。

(そういえば山賊に縛られたんだっけ?)

縛られたままなのは変化無いがHPMPはちゃんと回復していた。山賊が居ないようなので縄抜け出来ないか試してみる。手首を抜こうと腕を左右に広げると胸の縄に阻まれて手首を抜く事が出来ない。ならば胸の縄を解こうと肩を揺すったり身体を捩ったりしてみたが胸縄は身体に貼り付いているように身体にあわせて変形するだけで緩む事は一切なかった。胸縄を手で引き摺り下ろそうと試みるが身体と腕の間にある縄でギュッと絞られているから僅か数センチ程度動かす余裕もなかった。足も擦り合わせてみたが縛られている箇所が多く、棒になった足を人魚のようにピチピチ跳ねさせるのが限界だった。目隠しだけでも外せないか顔を地面に擦り付けてみたが無駄な努力だった。

(ダメ解けない!うち何で神様から縄抜けスキル貰わなかったんだろう!?この状態じゃ魔法も使えないし…)

(注)縄抜けスキルが必要な状況になる事は想像出来ないと思います。

(山賊が帰ってくるまでに抜け出さないとうち売られちゃう!)

必死になってもがいたが男が帰ってきた時手首に擦傷が出来て赤くなっていた以外の変化を得ることが出来なかった。

「頑張ったようだが縄は緩んだかい?」

「んんんー」

一切緩まなかったが抗議の声をあげる。

「お前さん勇者らしいからな…」

男はうちの首に首輪を巻いた。

首輪を付けられた瞬間魔力は全く無くなり力も全然出ない。

「んん?」

「この首輪か?魔法を使えなくして力も十分の一程度に抑える重罪人の首輪さ。」

男はうちの拘束を全て解いたがうちは身体が重くて逃げ出す事が出来ない。

男はうちの両手を後ろに回し枷を付けてしまった。力の出ないうちは抵抗らしい抵抗は出来なかった。

「なんでまた縛るの?縛らなくても逃げられないんだからやめてよ!」

「勇者は何するか分からねぇからな。重罪人の手枷を付けとかねぇと…」

「外してってば!」

「外せねぇ。重罪人シリーズは強力な呪いのアイテムだから二度と外せねぇよ」

「なんてこと…」

「最後に重罪人の足枷を付けてと…」

うちは為す術なく足枷も付けられて再度完全拘束されてしまった。

「それじゃ奴隷市場に行くか」

「いやぁー!」

奴隷市場でうちを買ったのはなんと人間に変装した魔王だった。

魔王や魔王軍のみんなは手を尽くしたけど呪いのアイテムは外せなかった。

魔王はうちを魔王軍に入れて一緒に人間を滅ぼそうと思っていたみたいだけど叶わなかった。

魔王城でうちは大切に扱われて手足が使えないので身の回りの世話は全て女性タイプの魔物がやってくれて移動は魔王がお姫様抱っこして連れていってくれた。

「魔王、うちも魔王軍でお仕事するよ」

「勇者よお主は手足が使えんだろう?無理せず魔王城でのんびり暮らせば良い」

「手足が使えなくても出来る仕事あるよ?」

美羽は天使のような微笑みで…

「うち魔王の子供いっぱい産むよ❤そうすれば魔王軍強くなるでしょ?」

魔王は恥ずかしそうだが嬉しそな顔をして美羽を抱き締めた。

BAD END

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