第3話森でレベル上げバットエンド☆
うちはお城周辺でレベル上げをして少し強くなったので森の中に強い魔物を求めて入ってみる事にした。
お城周辺で出るスライム等の弱い魔物よりはかなり強力な魔物は苦戦はするもののやられる程ではなく回復アイテムを使いながらレベル上げをしていた。
ザシュ
強敵サーベルタイガーをなんとか倒したがHPMPが空っぽだ。ポーションを飲もうと荷物を漁っていると…
しゅる…
両手に蔦が巻きついてきた。
(しまった。!油断してた!魔物!?)
両手が後ろに引っ張られ尻餅をつく
「いったぁぃ!なんなのよ?」
両手首を一纏めにぐるぐる蔦が絡まっていく。上半身も胸を絞り出すようにぐるぐる巻きついていく。
「やめてー」
振り向くと地面から蔦が生えていてさらに数本の蔦が美羽の身体を狙ってウヨウヨ動いている。
「やばい!逃げなきゃ!」
上半身を囚われたまま立ち上がって全力で走る。
ズボッ
意外と簡単に根っこが抜けて蔦が死んだ。
「とりあえずここまで来れば大丈夫かな?」
蔦の魔物らしきものは死んだのに巻き付いたまま離れない…
「んんんー…根っこは簡単に抜けたのに何で蔦はこんなに丈夫なのよ!全然千切れないじゃない!腰にある剣は手が届かないしどうしよう…縄抜けスキルがあれば…」
後ろ手で手を振り回すが剣も一緒に回るので届く気配はない。
パニック状態で気付いてないが蔦は抜けた後真っ黒に変色している。
こうなったら木に擦り付けて切ってやる。
グリグリ…
「…木が削れてる!?何で!?」
この蔦はレア種の野生植物
(注)魔物ではない
で死ぬと急激に硬化して鋼鉄並の硬度になってしまう。力が強い訳では無いので囚われたら冷静に引き抜かず千切らないよう解くのが正解だ。結び目がある訳ではないので冷静に巻き付けを外して行けば解けたのだがそんな事は知らない美羽は焦って引き抜いてしまった。
「どーしよう…こんな時に魔物が来たらやられちゃう…」
焦って手首を揉み肩を上下させるが鉄の棒で縛られているかのように巻き付いた蔦は全く動かない。
「もしかして硬くなってる?」
手で手首の蔦をつついてみる。
キンキン
金属音がしている。
「なんでよぉ!金属で縛られちゃったら私どうすれば…」
身体を捩り手首を擦り合わせて必死に解こうとするが鉄のようになった蔦は1ミリも緩む事はなく些細な変形すらしなかった。2時間ほど経過して夕暮れ時に差し掛かる。夜になれば夜行性の強力なモンスターに為す術なく殺されるのは目に見えていた。
「最終手段ね…」
なんと縛られたまま城へ向かって走り出した。
森を出て草原の雑魚の魔物は蹴り倒し城下町に辿り着く。
城下町近くなら他の冒険者も多数居るのだが以前人攫いに攫われた経験から助けを求める気はなかった。
「間に合わなかった!」
夜になってしまえば門は閉ざされ夜が開けるまで中には入れない。
門の前で一夜を明かさなければならない…別の意味で襲われそうだ…
城壁沿いに歩いて人気のない所でしゃがみ込んで朝になるのを待つ…
「誰にも見つかりませんように…」
深夜になりうとうとしてしまった…
人の気配で目が覚める。数人の男が居た。冒険者のようだ。
走って逃げようと思ったが手を縛られているため素早く立ち上がる事が出来ずに肩を押さえつけられてしまう。
「やめてください!」
「へっへっへっ…お嬢さんお困りのようですなぁ…」
「放っておいてください!」
「放っておけませんなぁ」
男はうちを押し倒すと卑猥な笑顔を浮かべる。
「きゃぁぁぁ」
「小娘に寄って集って何をしておる?」
「誰だ?魔物?やっちまえ!」
「地獄の業火に焼かれよ!クリムゾンフレア!」
「男達は一瞬で消えて無くなった」
「ありがとうございます」
「勇者ともあろう者が何をしておる…」
「あなたは?」
「魔王だ」
「魔王!?」
「このような所で立ち話もなんだな…魔王城へ来い。もてなそうぞ」
「は?え?」
魔王はうちをお姫様抱っこすると転移魔法で魔王城へ飛ぶ。
魔王城の一室に飛ぶと魔王はうちを椅子に座らせて魔王も椅子に座る。
パンパン
「茶を2人分持ってこい」
「えっと…助けて頂いてありがとうございました。出来れば解いて…」
「礼には及ばん…がだ、お主人間に襲われてなお人間に加担しワシを倒しに来るのか?」
解いては無視された!魔王意地悪だ…
「王様に頼まれたし…魔王倒す為に召喚されたし…魔王倒したら元の世界に帰れるんでしょ?」
「ふん、王と言っても力無く小娘のお前に魔王退治を押し付ける馬鹿者ではないか!そしてワシを倒しても元の世界には帰れん!」
「えぇぇ!?帰れるって嘘なの!?」
「うむ」
「ワシが死んでも他の者が魔王になるだけ。何も変わらん。1番強い魔物が魔王だ」
「マジか…」
「しかもお主は助けるべき人間に弄ばれそうになったではないか?」
「…」
言葉が出ない。
「蔦を解いてやる事は出来んが魔王城でしばらくのんびりしていくがよい。人間と魔物どちらが生き残るに値するか己の目で見て己の頭で考えよ!」
うちは魔王城の一室を貸してもらって生活をはじめた。侍女のような役割を女性タイプの魔物がしてくれるので縛られたままでも困ることは無い。お風呂は縛られたままでは入れないけど魔王がクリンナップの魔法を1日3回かけてくれるので綺麗さは保てていた。クリンナップをかける毎にうちを縛ってる蔦が黒光りして綺麗になっていくのがムカつく。
魔王や侍女、他の魔物と毎日お茶飲みながら話をして楽しく過ごした。
数日後…
うちは森の中に魔王と居た。
魔王はうちを縛ってる蔦を簡単に千切ってくれた。
「もっと早く解いてくれればいいのに…」
「魔王城にはお主より弱い魔物も居るのでな…勇者を自由にする訳にはいかんかったのだ」
「そっか…」
「勇者よ…魔王と人間どちらにつくか決めたか?」
「うん…決まってる…」
うちは魔王に向かって走っていく…
「?」
ジャンプして魔王にキスする…
魔王は驚いた顔をしていた…
「魔王大好きだよ❤一緒に人間を滅ぼそうね❤」
BAD END
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