第六話
【登場人物】
三島力(みしま りき)(12)
神様の成れの果て、アノニマによく取り憑かれる中学一年生男子。少女のような外見がコンプレックスで、指摘されると可愛らしく怒る。
髪:明るい茶色。緩いウェーブがかかっている
目:焦茶
嵐山康(あらしやま やす)(12)
格闘技の達人である力のクラスメート。男。勉強は苦手だが頭は回る。力のことが好きだが隠している。
髪:茶色の癖っ毛。短い
目:黒
鈴鳴巫音(すずなり みこと)(見た目16)
神様の少女。何でも作り出せる能力『
髪:黄色のポニーテール
目:緑
夕凪巫斗(ゆうなぎ みこと)(17)
八十神カンパニーから派遣された少年。巫音とは並行世界線上の同一人物。
髪:黄色に一房だけ緑のメッシュのミディアム
目:緑
八十神出雲(やそがみ いずも)(見た目12)
八十神カンパニーの会長にして七会罪の一つ『
髪:青。襟足長め
目:青
倉地神樹(くらち みき)(17)
巫斗の彼女。どこか儚げな雰囲気を纏っている。
髪:銅のシニヨン
目:銅
【本編】
力:「えと、社員って、僕たちまだ中学生なんですけど……」
康:「それに、ここがどんな会社か一切わかってないしな」
出雲:「まあ、そうですねぇ。ということで説明しますねぇ。
力:「は、はぁ……」
出雲:「うちには入社規則が二つありましてねぇ。一つは、『超人的なチカラを持っている事』。もう一つは『絶望を経験している事』。お二人とも、絶望した経験、あるでしょう?」
力:「確かに、
康:「オレも、親父が借金背負ってた時期があったけどさ……。そもそも、
出雲:「いやぁ、きみ、格闘技すごいでしょう?」
康:「? 確かに、大人相手にでも余裕で勝てるけどな」
出雲:「ちなみにアノニマって、普通は強力な能力を持った神様が三人がかりでやっと退治できるんですよぉ」
康:「……え? オレそんな奴を一人で止めてたのか?」
出雲:「ええ。その才能が欲しいんです」
康:「まあ、力がいいならオレだっていいけどさ……」
力:「うーん……。あの、
出雲:「なんですかぁ?」
力:「僕の力で、どれだけの人を助けられますか?」
出雲:「そりゃあ、世界一個は余裕で救えますね。ぼくがスカウトするのは、そういう人たちばかりですから」
力:「……わかりました。じゃあ、入ります」
康:「いいのか? 力」
力:「僕の力、今まで人を傷つけてばっかりだったから。それを誰かを助けるために使えるのなら、やってみたいなって」
康:「おう、そうだな。じゃあオレも入る。へーこー世界とか色々知っちゃったし、力だけに背負わせるわけにはいかないからな」
出雲:「では、契約成立、ですねぇ。ということで、入社記念にぼくの能力でも見せてあげましょうか」
(出雲が手首をスナップすると、部屋全体に光の結晶が降り注ぐ)
力:「わぁ、綺麗……」
康:「すげえ……」
出雲:「これがぼくの能力、『
力:「はい。とっても綺麗です」
出雲:「ちなみに、この能力色々とできましてね。まあ、魔法を使える能力ですから、大抵のことはできるんです。たとえばぁ……」
(出雲が手首をスナップすると、力と康が眠る)
力:「すぅ、すぅ……」
康:「ん……」
出雲:「お二人を絶対に醒めない眠りに落とすこと、とか。……さぁて、お久しぶりの新鮮なショタです! どうやって楽しみましょうか! あぁ……やっぱり最初は服をぬがせt」
巫音:「チェストォ!」
(巫音、空中で『
出雲:「っ痛ぁ! なにしてくれるんですか
巫音:「それはこっちの台詞よ。……何かあったらすぐに処すって言ったの覚えてないの?」
出雲:「ええ? 言われましたっけ?」
巫音:「言ったわ!」
出雲:「覚えてないですねぇ」
巫音:「証拠はバッチリあるのよ。私が神威に持たせておいたボイスレコーダーが!」
出雲:「もう……」
(出雲が手首をスナップすると切断面が光に包まれ、腕がくっつく。巫斗、扉から会長室に入り、力と康を揺り起こす)
巫斗:「二人ともー。起きてー」
力:「う、うぅん……僕たち、寝ちゃったの?」
康:「殺気とは違う気持ち悪い気配を感じたぜ……」
巫音:「力くん、康くん、みこくんと一緒に部屋から出て。こいつを処すわ」
巫斗:「姐さん、頑張ってください。それじゃ二人とも、こっち来て」
力:「はい」
康:「処すって何をやるんだ?」
巫斗:「知らない方がいいこと、だよ」
(力、康、巫斗退出)
出雲:「え? 待ってください待ってください流石にそれはアウトでしょう無理無理無理無理! ——ぎゃーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
康:「ほんとに何してるんだ!?」
巫斗:「知ったら多分戻れなくなるよ。僕も知らないし」
力:「……じゃあ、深堀りしないようにします」
【八十神カンパニー、廊下にて】
神樹:「あ、巫斗くん。お仕事終わったの?」
巫斗:「神樹! うん。終わったよ。あっちでデートって時に待たせてごめん」
神樹:「大丈夫。それで、その子たちは?」
巫斗:「お仕事で出会った三島力くんと、嵐山康くん。さっき社員契約したばっかり」
力:「よろしくお願いします。巫斗くんの彼女さん、ですか?」
康:「よろしくな。……神威さんに似てんなー」
巫斗:「うん。僕の彼女で、『もしも神威くんが女だったら』って存在の、神樹だよ」
神樹:「初めまして。倉地神樹です。私も一応社員なの。こちらこそ、よろしくね」
康:「ということは、巫斗くんも神樹さんも何か能力持ってるのか?」
神樹:「うん。私は、死ぬことでその世界の時間を一日巻き戻す能力、『
巫斗:「僕のは、エネルギーを物質に変換する能力、『
力:「お二人とも、すごい能力を持っているんですね」
巫斗:「そうだね。……すごい能力だから、あんな目に会ったんだけど」(ぼそっと)
康:「あんな目?」
巫斗:「聞こえてた? ……うん。僕、三ヶ月前まではもう一つの能力を持っていてね。その能力と神樹の能力の合わせ技で、だいぶひどい目に会ったというか、精神がどこか壊れちゃったというか……」
力:「もしかして、巫音さんに指摘されてた、『目的のためなら手段を選ばない』というのは、その事件が原因で?」
巫斗:「覚えてたんだ。……そうだよ。じゃあ、聞かせようか。あんまり思い出したく、ないんだけどね。神樹も大丈夫? デート、ちょっと遅れちゃうけど」
神樹:「大丈夫だよ。あの時の話は、定期的に思い出さないといけないって、私も思っているから」
巫斗:「じゃあ……」
(巫斗、廊下のベンチに座り、三人も座る)
巫斗:「——これは、たった一千年の半年間の話だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます