第二話
【登場人物】
三島力(みしま りき)
神様の成れの果て、アノニマによく取り憑かれる中学一年生男子。少女のような外見がコンプレックスで、指摘されると可愛らしく怒る。
髪:明るい茶色。緩いウェーブがかかっている
目:焦茶
嵐山康(あらしやま やす)
格闘技の達人である力のクラスメート。男。勉強は苦手だが頭は回る。力のことが好きだが隠している。
髪:茶色の癖っ毛
目:黒
鈴鳴巫音(すずなり みこと)
神様の少女。何でも作り出せる能力『
髪:黄色のポニーテール
目:緑
鈴鳴神威(すずなり かむい)
巫音の弟。なぜか巫音が持っている剣から声が聞こえる。
髪:銅のミディアム
目:銅
クロノ
『クロノ教』の神を名乗る青年。
髪:プラチナに金メッシュの髪を頭の下の方で一つにしている
目:右が金、左がプラチナのオッドアイ
ラーテベレス
『クロノ教』の教祖を務める男。
髪:水色の髪のセミロング
目:紫
八十神出雲(やそがみ いずも)(最後に2セリフだけ)
突然力たちの頭に響いてきた。12歳ぐらいの少年の声をしている。
【本編】
【時空の狭間にて】
巫音:「これ、まさか『七会罪』の……」
康:「あーなんだこれ!? 何が起こってるんだ!?」
力:「康くん、どうなってるのこれ!」
巫音:「簡潔に言うわ! 危険な奴が力くんを狙ってる! ここから出られるようにナビゲートするから、二人ともしっかり掴まって!」
康:「おう!」
力:「はい!」
神威:『ちょっと巫音さん! カンパニーからの通信が来たんですけど、この先だいぶやばいところらしいっすよ!』
康:「うわぁ剣がしゃべった!」
力:「七会罪? カンパニー? 情報量がとっても多くて整理できない……」
巫音:「全部後で説明するから、ここはお姉ちゃんに任せなさい! いくわよ! 『
【どこかの建物の中に出る三人】
巫音:「ふぅ。とりあえずどこかの世界に着いたみたいね」
康:「今の、何だったんだ……。体がヒュッてなったぜ……?」
力:「体が自分のものじゃなくなったみたいな……」
巫音:「あれは私の能力の一つ、『
(剣が光って15歳ほどの少年の形を取る)
神威:「鈴鳴神威っす。よろしくっす」
巫音:「神威は色々あって剣に魂を移しているの。人の姿にもなれるんだけどね」
力:「わっ。男の子になった……。神威くん、よろしくね」
康:「よろしくな」
巫音:「で、七会罪ってのは、人の運命をいくつもねじ曲げている、基本的には悪い奴らのことよ。並行世界を股にかけていることが多いわね」
神威:「まあ、狂った人たちばっかっすけどね」
康:「とにかくやべー奴らなんだな」
力:「み、皆、何かが来るよ……」
(部屋の奥から青年が歩いてくる)
クロノ:「我が聖域内に無断で立ち入ったのは其方たちか?」
巫音:「……この雰囲気、あなた、神様ね?」
クロノ:「いかにも。我はクロノ。『クロノ教』の神であるのだぞ。そう聞くと言うことは、其方も神であるのだな」
力:「神、様……あの、僕、アノニマに取り憑かれてしまうことがあって、それで、アノニマの代わりに取り憑いてくださる神様を探しているんです」
クロノ:「ふむ……アノニマというものが何かは知らぬが、それは出来ぬな。我は民の願いを聞き、叶える必要がある。故にここから離れられぬのだ」
康:「そうか、悪かったな。すぐにここから出るから、出口を教えてくれないか?」
クロノ:「神に対する言葉遣いではないと思うが、我は寛大であるからな、赦そう。そしてここの出口であるが……我も知らぬ」
康:「はぁ?」
クロノ:「我は生まれた時からここにいた。外など知らぬ。民の顔も知らぬ。ただ我は神として、その望みを聞き届けるのみぞ?」
巫音:「……それ、神様としてはおかしいわよ。ずっと閉じ込められているなんて神話の神様、聞いたことがないわ」
神威:「クロノさんの話が本当だとすると、あなたは世界を創っても、何かを司ってもいない。ただここで人の願いを聞き届けるだけの神様……。そんな都合の良すぎる、物語のない神様、おかしくありません?」
クロノ:「我のどこが奇怪か? 我はそう望まれて生まれたのみ。……ふむ、もうすぐラーテベレスがやってくる時間であるからな。あやつに出口を聞いた方が良かろう。あやつがここにくるということは、出入り口があるということであるからな」
力:「ラーテベレス?」
ラーテベレス:「わたくしに何用でしょうか?」
(いつの間にか20代ぐらいの人の良さそうな男が現れる)
クロノ:「おお! ラーテベレス! この者たちがいつの間にか聖域に迷い込んでしまったらしくてな。出口を教えて欲しいのだ。其方ならわかるであろう?」
ラーテベレス:「(力をチラッとみて)……ええ。あとで案内します。それでクロノ様、こちらが今回の人民の願いでございます」(クロノに紙を差し出す)
クロノ:「ふむ、うむ! 承知した! このクロノが、其方たちを導こうぞ!」
ラーテベレス:「ありがとうございます、クロノ様。では皆様、こちらへ着いてきてください」
力:「は、はい」
巫音:「よろしくお願いします」
康:「よろしくなー」
神威:「お願いするっす」
(ラーテベレスが手をかざすと、隠し階段が現れる)
神威:「こんな仕組みになっていたんすね」
巫音:「あのクロノって神様が気づかないのも無理はないわね」
ラーテベレス:「それで皆様、なぜこのような場所に迷い込んだのでしょうか?」
力:「僕たち、気がついたらここにいたんです。前は病室にいたんですけど……」
ラーテベレス:「ビョウシツ? 聞いたことのない場所ですね」
康:「? 病院くらいあるだろ?」
巫音:「私たちは異世界から来たんです。信じてもらえないかもしれませんけど」
康:「! ここ、異世界なのか?」
力:「確かに、あの空間いかにも世界の狭間って感じだったけど……」
ラーテベレス:「異世界……。いえ、信じますよ。わたくしたちの神話には、異世界から来たものの記述がありまして、その人がクロノ教を設立したと言い伝えられています」
神威:「そうなんすか……。ちなみにラーテベレスさんって、教団の中でも結構偉い立場の人だったりします?」
ラーテベレス:「皆様の信任を受けて、今は教祖をしております」
康:「すげー人だった……」
神威:「ラーテベレスさん、あのクロノって神様、なんであそこに閉じ込められているんすか?」
ラーテベレス:「それはわたくしどもにもわかりません。ただ、クロノ様を外に出してはいけないとだけ、言い伝えられています」
巫音:「そうなのね……」
力:「あの、これから僕たちはどうなるんでしょうか?」
ラーテベレス:「あなたたちはクロノ教設立者と同じ異世界人。丁重にもてなさせていただきます」
康:「元の世界に帰る方法も、探してくれるのか?」
ラーテベレス:「ええ。協力させていただきます」
巫音:「……ありがたいわ。じゃあ、しばらくお世話になるわね。質問攻めにしてしまい、すみません」
【神殿、与えられた客室にて】
巫音:「さて、一休み……の前に、二人に言っておくことがあるわ」
力:「なんですか?」
康:「ん?」
巫音:「正直言うとね、今すぐにでも、帰ることができるの。元の世界に」
力:「え!?」
康:「まじか!」
巫音:「私の『
神威:「神様には、世界創ったーだとか、何々を司って生まれたーだとか、何かしらの神話があるんすよ。そして神様自身にもその記憶がある。でも、あの神様はその記憶が何もない。ただ、生まれた時から人の願いを叶え続けている。そこがおかしいんすよね」
巫音:「ということで、あなたたちを元の世界に送り届けたあと、私たちはこの世界の調査をするわ。一応、このまま残って協力するっていう選択肢もあるけど……おすすめはしないわね」
力:「……あの、僕、ここに残っていいですか?」
康:「あ〜。力もそう思ったか? オレもだ」
力:「康くんも? ……なんと言うか、クロノさんをみた時に、何か違和感がしたんです。その原因がわからないまま、帰れないかなって」
巫音:「そうなのね。……わかったわ。何事もないように、私と神威が全力であなたたちのことを守るから、安心して」
神威:「まあ、巫音さんがいいなら、それでいいっすよ。これからよろしくお願いしますね、力くん、康くん」
力:「はい、よろしくお願いします!」
康:「よろしくな!」
出雲:『……あー。巫音さん聞こえます? ぼく、八十神出雲ですけどー』
力:「何!? 頭の中から声が聞こえる!」
康:「また知らない声かよ!」
神威:「うげっ!」
出雲:『お、ショタですね! それもとびっきりぼく好みのが二人も! あのですねぇ、今度一緒にお茶でも……』
巫音:「黙りなさい、ド変態」
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