第4話


「林さん、大丈夫!?」


俺が言うより先に、林ユーコの事が好き過ぎる友達シンヤが、彼女に声をかけた。そう言えば、俺をパシリに使う、藤島も、林ユーコにベタ惚れだった。


「あれ、私、生きてる...?」


「死のうとしてたのに...」


「なんで...?」


シンヤは必死な形相でこう叫んだ。


「どうして、飛び降りたのさ!

俺でよきゃ、話し聞くよ!?」


「その前に、私、なんで生きてるんだろ...??」


「あ、それ、シンジが姫抱っこして助けたの!!こいつ、足だけは速いからさ...!」


「ふーん...」


俺と目が合った。


ヤバイ。


なんかドキドキするな。


「自殺しようとしてたんだけどさ...。

まぁ、シンヤ君には関係ないことだから...!」


「俺の名前、知ってるの...!?

やー、嬉しいな...!陰キャで目立たないのに、

知っててくれるなんて...!マジで嬉しい!」


「学年一、頭いいシンヤ君でしょ?

廊下の成績順位表見て覚えてて、、

頭良くていいなーって思ってて、

シンヤ君て、誰なのかなぁって、、それで

知った感じかな」



「ヤバイ!超嬉しい!俺、林さんのこと、入学式で一目惚れしてさ!それで、夢にまで出てくるくらい好きで!

超好きな子が飛び降りてほしくない...!」


「ありがと...」


小さな声でそう言い、

林さんは少し笑顔になった。


それから、

立ち上がり、短い制服のスカートのお尻のあたりをパンパンと叩いて。


「とりあえず、名前、わからないんだけど、

御礼言わないといけないよね、、」


とまだ、屈み込んでた俺に目配せして。



更に。


俺に綺麗な白い手を差し出してきたから、

俺は困った。


林ユーコのこと。


俺は高嶺の花過ぎて。


これっぽっちも好意を寄せていないが。


親友っちゃ親友の

シンヤは。


彼女のことが大好きだから。


その、俺に対して差し出された手を、

滅茶苦茶うらめしそうに見てたんだ。







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