第252話 たくさん揉ませてもらった①

 あたしはいま、ミミちゃんのおっぱいを揉んでいる。

 大事なことなのでもう一度。

 あたしはいま、ミミちゃんのおっぱいを揉んでいる!


「ふわぁあぁ……癒やされる~……」


 情けない声と素直な感想が、緩く開いた口から漏れた。

 ここに至るまでに特別なドラマや壮大なストーリーは一切ない。

 ミミちゃんと一緒におやつを食べた後、ソファに座っておしゃべりしている時にふと「おっぱい揉んでいい?」と訊ねたのが発端だ。

 ミミちゃんが「いいですよ」と言ってくれたから、あたしはこうして遠慮なくおっぱいを揉んでいる。

 普段の生活でおっぱいを触るシチュエーションとしては、エッチする時やお風呂に入る時、一緒に寝る時など、正面からだったり後ろから抱き着きながらといった体勢が多い。

 いまみたいに隣に並んで座っている状態で横から触るのは、回数で言えば少なくないけど割合としては珍しい方だ。


「ユニコちゃん、写真撮っていいですか?」


「うん、いいよ~」


 なんでいま? とも思ったけど、写真を撮りたくなるタイミングは人それぞれだ。

 あたしは深く考えないまま、ミミちゃんのおっぱいを堪能し続けた。

 厚手のセーター越しにもかかわらず、確かな存在感と柔らかさを主張する圧倒的ボリュームのおっぱい。


「うぇへへ」


 またしても情けない声が漏れる。

それと同時に、ミミちゃんのスマホからシャッター音が鳴った。


「ふふっ、かわいい写真が撮れました」


「えっ、ほんと? あたしいま変な顔してなかった?」


「変じゃないですよっ。ほら、見てくださいっ」


 ミミちゃんは興奮気味にそう言って、いま撮った写真を意気揚々と見せてくれた。

 こちらに向けられたスマホの画面には、この上なく緩み切った表情を浮かべるあたしが映っている。


「か、かわいい、かな……?」


 これはもう、緩むのを通り越して溶けてると言っても過言ではない。


「かわいいですよ!」


「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、恥ずかしいから誰にも見せないでね」


「はいっ、わたしだけの宝物にします!」


「宝物って……大げさだな~」


 ちょっと恥ずかしい気もするけど、こんなに喜んでもらえると嬉しさが勝る。


「――んっ」


「あっ、ごめん! 痛かった?」


「全然痛くないですよ、気にしないでください」


「そう? 痛かったり嫌だったらすぐに言ってね?」


「分かりました。止めてほしくなったら、すぐに言います」


 そんなやり取りを交わした後、他愛ないおしゃべりを続けていたらいつの間にか三十分ほど経っていた。

 ちなみに、揉み始めてからまだ一瞬たりとも手を離していない。

 人前ではできないスキンシップを伴いながら、二人のおしゃべりは途切れることなく続く。

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