第251話 真夜中の誘惑
今日は充実した一日だった。
ミミちゃんと散歩したり、ミミちゃんと一緒にショッピングモールへ行って新しい服を買ったり、ミミちゃんとイチャイチャしたり、カラオケでミミちゃんの歌声を堪能したり童謡を一緒に歌ったり、ミミちゃんとイチャイチャしたり、帰宅してからは夕方にミミちゃんとお好み焼きを作って食べて、食後の休憩ついでにミミちゃんとイチャイチャした後は予定通り二時間ぐらいRPGの実況配信をした。
そしていま、寝る準備を済ませて部屋の明かりを消し、ベッドに横たわって布団に潜り、気持ちよく眠りに就こうとしている。
――くぅぅぅぅ……
「んぇ?」
なんとも言えない音が、お腹の辺りから聞こえてきた。
閉じたばかりの瞳をぱっちりと開いて、音源と思しき場所に軽く手を当てる。
すると、数度の呼吸を挟んで再び同じ音が鳴った。
「う~ん……」
考えずに寝ようとしてみたものの、一度意識してしまったらもう完全には消せない。
頭の片隅でくすぶり始めた欲求が、徐々に徐々に強くなっていく。
「なにか食べよ」
悩んだ末に出した結論が無意識のうちに口から漏れると同時に、あたしはゆっくりと起き上がった。
軽くヨーグルトか魚肉ソーセージでも食べて、空腹が紛れているうちに寝てしまおう。
「あっ」
冷蔵庫を目指してキッチンに足を踏み入れた瞬間、仕舞うのを忘れていたカップ麺が視界に飛び込む。
あたしとミミちゃんは基本的にカップ麺を食べないし、これもいざという時のために買った物だ。
ちなみに、目の前にあるのはカレーラーメンときつねうどん。
「……ゴクリ」
いやいや、さすがにカップ麺はダメだ。
カップ麺を否定するわけじゃないし嫌いじゃないというかむしろ好きだけど、健康を考えるならできるだけ控えた方がいい。
しかもこんな夜中に、それも寝る直前に食べるなんて体に悪い。
そもそも、これは非常食のようなもの。
買い置きしてしばらく経って賞味期限が切れそうになっているならともかく、買ったその日に食べるのはちょっと……。
というわけで、別のなにかを探そう。
「あれ?」
なんかおいしそうないい匂いがする。
これは、そう。
魚介だしの香り。
「あれ!?」
信じ難いことに、あたしはいつの間にかキッチンからダイニングのテーブルに移動していて、目の前には芳香を伴う湯気を立ち上らせるきつねうどんがある。
あれだけカップ麺を食べない理由を脳内で並べ立てておきながら、体は誘惑に負けて無自覚のうちに動いていた。
あたしってつくづく、誘惑に弱いんだなぁ。
「いただきま~すっ」
作ってしまったからにはしょうがない。
余計なことは考えず、あたしは久しぶりのカップ麺を堪能することにした。
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