第249話 清楚って難しい②

 雑談を続けつつスマホを操作して、ミミちゃんに『いまから配信来れる?』とメッセージを送る。

 コメントを拾って清楚属性について話しながら、既読が付くかどうかチラチラ確認していると――


「あっ! みんな! ミミちゃん来れるって! いまからミミちゃん来るよ~!」


 既読になった数秒後に『行けます』と返事が来て、思わず声が弾む。


『突発コラボだ』

『急な呼び出しなのにミミちゃん優しいね』

『オフ? 通話だけ?』

『嬉しそうなユニコちゃんかわいい』


「ちなみにオフコラボだよ! つまり、あたしの隣にミミちゃんが座るってこと!」


『羨ましい』

『テンションの上がり方がすごい』

『てぇてぇ』

『一緒に住んでるとオフコラボしやすくていいね』


 ミミちゃんの参加決定と、それに伴うあたしのテンションの上昇具合にコメントが勢いを増していく。

 そんな中、不意にノックの音が聞こえた。


「ミミちゃん来た!」


 あたしは勢いよく立ち上がり、急いで扉の方へ移動してミミちゃんを迎える。


「お邪魔します」


「来てくれてありがと~! いきなり呼び出してごめんね!」


「いえいえ、ちょうどヒマでしたから。気にしないでください」


 ミミちゃんの優しい声と柔らかな笑顔が心に染みる。

 歓迎のハグやキスを楽しみたいところだけど、いまは配信中だ。

 リスナーさんを待たせてしまうのは申し訳ないから、イチャイチャするのは配信後のお楽しみに取っておく。

 ミミちゃん用のイスを設置して、あたしも再び着席。


「お待たせ~! というわけで、特別ゲストのミミちゃんです!」


「呼ばれたので来ちゃいました。今日はよろしくお願いしますね」


『ゲストだー!』

『ミミちゃんいらっしゃい』

『ユニコちゃんさっきからニッコニコで草』

『清楚オーラがすごい』

『これは清楚』


「ミミちゃんとのコラボ嬉しいな~♪」


「わたしも嬉しいですっ。ところで、これはどういう配信なんですか?」


『微笑ましい』

『尊すぎる』

『これはてぇてぇ』

『あれ? もしかしてなにも聞いてない?』

『とりあえず来てって感じで連絡したのかな』


 言われてみれば、ミミちゃんになにも説明してなかった。

 当然ながらあたしとリスナーさんは話の流れを理解しているけど、ミミちゃんがここに来るまでに得ている情報は、あたしが配信しているということぐらいだ。

 というか、どんな配信かも分からない状態で急な連絡にすぐ返事してくれて快く来てくれたミミちゃん、優しすぎる。


「簡単に説明すると、あたしが清楚属性を手に入れるための配信なんだ~」


「え? ど、どういうことですか?」


 話が突飛すぎて、簡単な説明では分かってもらえなかった。

 ここは横着せず、一から順を追って話した方がいいかもしれない。

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