第202話 九月になっても暑い日は続く
八月が終わると気分的には夏も終わったように感じるけど、九月になった瞬間に季節が切り替わるわけじゃない。
大型コラボから二週間が経った今日も、外は相変わらずの炎天下だ。
「ミミちゃんっ、アイス食べよう! アイス!」
ミミちゃんと一緒に朝から出かけて、諸々の用事を済ませて昼過ぎに帰宅。
朝ごはんを食べながら衣替えのタイミングについて話していた時は、数時間後に全身汗だくになって帰ってくるとは思っていなかった。
薄地とはいえ長袖を着るのはまだ早かったかもしれない。
エコバッグをリビングに置き、手洗いとうがいをしっかり済ませてから駆け足でキッチンへ向かう。
冷凍庫を漁り、買い置きしていたアイスを二つ取り出す。
「はい、ミミちゃんっ」
「ありがとうございます」
一つをミミちゃんに手渡し、すぐさま開封して口元に運ぶ。
子どもの頃から慣れ親しんだソーダ味のアイスは、火照った体にほどよい清涼感をもたらしてくれた。
冷凍庫から出したばかりのアイスはまだ固くて、一気に食べ進めることができない。
今日は要冷の商品を買ってないから焦る必要はないし、この冷たさをじっくり楽しむとしよう。
「それにしても、相変わらず外は暑かったな~。昼間はまだまだ半袖でよさそうだね」
「そうですね、長袖はちょっと早かったかもしれません」
ファッションは季節の先取りが大事というけど、あたしとしては快適さを優先したい。
でも秋物に身を包むミミちゃんの姿を早く見たいし、自分が着たいという気持ちも強い。
こういうことを考えているうちに、気付いたら秋が到来しているのだろうか。
「一息ついたところで、荷物を片付けたらシャワー浴びよっか」
すっかり汗は引いたものの、汗でベタベタしているという事実はなにも変わらない。
一刻も早くシャワーを浴びてさっぱりするべく、あたしとミミちゃんは息の合った連携で迅速にエコバッグの中身を片付け、着替えを持って脱衣所へ向かった。
「寒くなってくると、一緒に入る機会が増えそうだねっ」
「夏の間も一人で入った日の方が少なかったような……」
「細かいことは気にしな~い。ほらほら、早く脱いで。手伝ってあげるっ」
「それは助かるんですけど、なんか手つきが――ひゃうっ」
「ミミちゃんも遠慮せず、どさくさに紛れてあたしの体触っていいよ~」
脱衣所でひとしきりスキンシップを楽しんだ後、いつものように二人で浴室へ。
さっきミミちゃんが言ったように、この夏はお風呂にしてもシャワーにしてもほとんど二人一緒だった。
暑い時期でさえこうなのだから、これから気温が下がってきたら体を温め合うという名目でさらに頻度が上がりそうだ。
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