第201話 キスしたりハグしたりキスしたり

 夏の締めくくりとして開催した大型コラボが無事に終了し、近場の個室がある居酒屋で軽く打ち上げをして解散した。

 それから家に帰って一休みしようとソファに腰かけたあたしとミミちゃんは、うっかり二人とも眠りに落ちてしまう。


「んぅ~……座ったまま寝ちゃダメだね、腰が痛いよ」


 ゆっくりと起き上がり、屈伸運動をしつつ時計を見る。

 いまちょうど日付が変わったところで、帰宅したのは午後八時ぐらい。

 途中で起きた記憶はないから、四時間近くぐっすり眠っていたことになる。


「自分で思うより疲れが溜まってたんですね。汗もかきましたし、お風呂に入りたいです。あっ、先にごはん食べますか?」


「そうだな~、お風呂に入りたいしごはんも食べたいけど、まずはミミちゃんかな」


「えっ?」


 座ったまま伸びをしていたミミちゃんの前に移動して、ミミちゃんの太ももに座るような体勢でソファに膝を着く。

 壁ドンをするようにソファの背もたれに手を置き、ミミちゃんにゆっくりと顔を近付ける。


「ちゅっ」


 おもむろに唇を重ね、驚くミミちゃんの口腔へ舌を滑り込ませた。

 それと同時に腕を背中に回し、ギュッと抱きしめる。


「ミミちゃん、好き……んっ……」


 目を見て好意を伝え、さらにキスを続ける。

 息継ぎで唇が離れるたびに、ミミちゃんもまた「好き、大好き」と熱っぽい吐息と共に愛の言葉をつぶやいてくれた。


「お風呂とごはんより、あたしが先でもいい?」


「もちろんですっ」


「えへへ、ありがとっ」


 自身の火照りと相手の体温を感じながら、あたしたちはさらにキスを続ける。

 途中で体勢を変えてソファに横たわると、キスに加えてお互いの体をまさぐり始めた。

 度重なるキスですっかり準備万端な体は平時の何倍も敏感になっていて、優しく太ももを撫でられただけでも恥ずかしい声を漏らしてしまう。


「場所、移す?」


「そうです、ね……でも、もうちょっとだけ……」


 以前の失敗を踏まえてソファからの移動を提案すると、ミミちゃんは同意しつつもすぐに動くことを拒んだ。

 今日は服も着てるし、ちょっとぐらいならソファを汚すことにはならないはず。

 頭の中で自分に言い訳をして、ミミちゃんの要望に応えてこの場に留まる。

 何回もキスを繰り返し、体を密着させて、脚を絡ませて、いろんなところを触り合う。

 あたしたちは他の一切が思考から追いやられるほど、夢中になって愛し合った。

 その結果、うっかりソファから落ちそうになってしまう。

 幸いにもギリギリ落ちずに済んだものの、これを機に場所を移動することに。


「そんなに動いてないけど、いまのでまた汗かいちゃったね。いったんお風呂入って仕切り直そっか」


「確かにそうですね。それに、続きならお風呂の中でも――」


 ハッとなって手で口を塞ぐミミちゃんの顔を、あたしはニヤニヤしながら覗き込む。


「ミミちゃん、慌てて口を押えても遅いよ~?」


「わ、忘れてくださいっ、お風呂から出るまでちゃんと我慢しますっ」


 取り乱すあまり、墓穴を掘り進めてしまうミミちゃん。

 弁解のつもりで言ったことの意味を理解して顔を真っ赤にするミミちゃんを見て、あたしの口角は緩んだまま戻らない。


「大丈夫、あたしもミミちゃんに負けないぐらいムラムラしてるからっ。我慢は体に毒だし、のぼせない程度にお風呂の中でもエッチしようね!」


「は、ハッキリ言わないでくださいっ」


 この後しっかり有言実行したし、お風呂から出た後も朝までたくさん愛を育んだ。

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