第188話 夏の大型コラボ!①

 今日はついに、夏の締めくくりとなる大型コラボが行われる。

 配信開始は正午からだけど、メンバーの集合時間はその二時間前。

 あたしとミミちゃんは寝坊することなく気持ちのいい朝を迎え、しっかりと朝ごはんを食べてから本社ビルへと向かった。

 ちなみに、とある用事で昨日も足を運んでいる。

 ビルに到着してマネージャーさんと少し話をしてから、みんなとの待ち合わせ場所である地下のプールに行く。

 着替えるのはもう少し後なので、エレベーターを降りたら更衣室を素通りして、そのままプールにつながる廊下を進む。


「あっ、エリナ先輩だ!」


 開け放たれた扉の向こうに、ちょうどエリナ先輩の姿が見えた。

 あたしとミミちゃんは少し歩調を早めて廊下を抜け、プールに顔を出す。


「エリナ先輩おはよ~っ!」


「エリナ先輩、おはようございます」


「お、おはようございます。相変わらず仲がよさそうで尊いですっ」


 前にプールで会った時は配信のテンションで話すようにお願いしていたこともあって、この状態のエリナ先輩と直接会って話すのは久しぶりな気がする。

 リスナーのみんなは知らないけど、エリナ先輩は配信外だと人を豚呼ばわりしないし、女の子同士のイチャイチャに目がない。

 当然のように手をつないで現れたあたしとミミちゃんを見て、エリナ先輩の瞳はキラキラと輝いている。


「うんっ、今日もめちゃくちゃ仲よしだよっ。それにね、昨日の夜も――」


「ユニコちゃん、それ以上はダメですよ」


 手で口を塞がれて返事ができないので、うなずくことで了解の意を示す。

 ちょっとぐらいならいい気もするけど、うっかり口を滑らせすぎてしまう可能性も否めない。

 昨夜のとんでもなく濃密かつ淫らな愛の営み……思い出すだけで体が熱くなる。

 大型企画の前日になにをやってるんだと怒られても仕方ないぐらい、激しく盛り上がってしまった。

 とはいえ睡眠はきちんと取ったし、寝る前にいい運動をしたことで普段以上に熟睡できた気もする。


「い、言えないようなことをしたんですねっ。妄想が捗りますっ」


 エリナ先輩のテンションがさらに上がる。


「――トイレに行ってる間に、賑やかになってるねー」


 聞き慣れた声に反応して振り向けば、そこにはシャテーニュ先輩がいた。

 それから四人で世間話に花を咲かせているうちにネココちゃんが来て、数分と経たないうちにスノウちゃんも到着する。

 一番乗りがエリナ先輩で、次がシャテーニュ先輩、そこにあたしとミミちゃんが来て、ネココちゃん、スノウちゃんと続き、奇しくもデビュー順に集まることになった。


「楽しむのが一番大切なのはもちろんだけど、それはそれとして放送事故には気を付けようね!」


 全員そろったところで、あたしは今日一日を通しての意気込みっぽいことを口にする。

 いい感じに決めたつもりだったんだけど、エッチな発言に気を付けるようにと口をそろえて忠告されてしまった。

 普段の言動を考えると、心配されるのも仕方ない。

 今日は極力エッチなことを言わないように気を付けよう。

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