第140話 雨だったり雷だったり③
ミミちゃんと一緒に親子丼を作った。
柳川風にアレンジしてみようという発想でごぼうを使ってみたり、卵のトロトロ具合にこだわってみたり。
とまぁ、それはそれとして。
「ミミちゃん。ごはん食べ終わってまだ少ししか経ってないけど……ごめん、我慢できない!」
「謝らないでください。わたしだって、ユニコちゃんと同じ気持ちですから」
あたしとミミちゃんは、食事中もどこかそわそわした様子を隠し切れずにいた。
理由が食事前の一件であることは言うまでもなく、一休みする時間さえ惜しいと感じてしまっている。
歯磨きとトイレだけ済ませた後、ソファで続きをするのではなく和室に布団を敷いてじっくりと楽しむことに。
食べてすぐということもあって、最初は軽く触り合ったり、お互いに思い思いの場所にキスをするといった穏やかな内容だ。
もし関係を公表しているのであれば、この段階では配信で話してもBANされないぐらいのスキンシップだと思う。多分だけど。
そして、時に激しく時にまったり、あたしたちは外の悪天候や時間を気にせず愛の営みを満喫した。
気付いた頃にはすっかり夜になっていて、凄まじかった雷雨もすっかり穏やかな小雨に落ち着いている。
「停電するかもしれないから配信は厳しいかなって思ってたけど、これならできそうだね~。ミミちゃん、後でゲームコラボしない?」
「いいですね、ぜひやりましょう」
あたしもミミちゃんも配信は仕事というより趣味や娯楽のような感覚なので、休日の予定だったけど結局配信するということが多々ある。
サムネを用意して枠を立てたら、二時間後に配信開始という告知をして準備は完了。
「先にシャワー浴びておきましょうか」
「そうだね、全身ベトベトだし」
当たり前のように二人そろって脱衣所へ行き、一緒に服を脱いで浴室へ。
少し熱めのシャワーを浴びて、他愛ないことを話しながら体を洗いっこする。
服を着る前にミミちゃんのおっぱいに顔を埋めて深呼吸するというあたしだけに許された行為を楽しみ、サッパリした体で飲み物とお菓子を持ってあたしの部屋へ行く。
配信開始までお菓子をつまみながらエゴサしていると、あたしとミミちゃんが泡風呂の中で楽しそうに戯れているファンアートを発見した。
体の大部分が泡や湯気で見えなくなっているものの、あたしにはそれらを取り払った状態が容易かつ鮮明に想像できる。
そうこうしているうちに配信スタートの時間が訪れ、元気よくいつものあいさつを告げてさっそくゲームを起動する。
クラフトゲームの世界で入手したとあるアイテムを見て、ふとお昼のことを思い出す。
「今日のお昼にね、ミミちゃんと一緒に親子丼を作ったんだけど――」
何気なく始めた親子丼トークでミミちゃんやリスナーさんたちと盛り上がり、最初から最後までゲームをしていたにもかかわらず多くの人の食欲を刺激した結果、飯テロ配信としてトレンド入りしてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます