第139話 雨だったり雷だったり②

「スッキリした~」


 呑気な声でそう言いながら、あたしはミミちゃんが待つリビングに顔を出した。

 さっきまでミミちゃんの部屋でキスしたり気持ちいいところを触り合ったりしていたわけだけど、空気を読まない尿意によって中断。

 再開する前に食事を済ませておこうということで、場所を移すことになった。

 不幸中の幸いと言うべきか、最近食材を買い込んだばかりなので豪雨の中を無理して出かける必要はない。


「ユニコちゃんはなにが食べたいですか?」


「もちろんミミちゃん!」


「あぅ……じゃ、じゃあ、い、いまから、その……」


 いつもなら顔を真っ赤にしてツッコミを入れるところだけど、今日はまさかの肯定だった。

 ついさっきまで大人のイチャイチャを楽しんでいたことによって、スイッチが入ったのかもしれない。


「ミミちゃん」


 あたしはソファに腰かけたまま、隣に座るミミちゃんを抱き寄せた。

 右手でそっと腰を抱き、左手を胸に押し当てる。


「んっ」


「今日はここでしちゃおっか」


 エッチする時は和室と決めているけど、たまには例外があってもいい。

 ミミちゃんの艶めかしい吐息を間近で聞いて、十数秒程度で済む移動時間すら惜しくなってしまった。


「雨と雷の音がすごいから、大きな声出しても大丈夫だよ」


 わざと息がかかるように耳元でそう囁くと、ミミちゃんは恥ずかしそうにコクリとうなずく。

 もともと配信部屋である自室に限らず防音のしっかりした建物だから少しぐらい騒いでも問題ないけど、この雷雨なら音量に関係なくかき消してくれる。

 衣服越しに胸を愛撫していると、次第にミミちゃんの表情が蕩けていく。

 たまらず唇を奪い、濃厚な口付けを交わす。

 左手の位置を下げ、服をかき分けるようにして素肌のお腹を撫でた後、そのまま下腹部に指を滑り込ませる。

 すっかり準備万端で、待ち切れないと訴えるそこを優しく――



 ぐぅうううううぅうぅうう~~っ



「「……え?」」


 まさにこれからというタイミングで鳴り響いたイレギュラーな音に、二人の驚いた声がピッタリ重なった。

 音の正体は言わずもがな、音源はあたしとミミちゃんそれぞれのお腹。


「先にごはん、食べましょうか……」


「そう、だね……」


 ちょっと――というかかなりガッカリさせられたけど、食事の大切さは言うまでもない。

 あたしとミミちゃんはチュッと短いキスをしてから立ち上がり、恋人つなぎをしてキッチンへと向かった。

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