第96話 全体コラボのための全体コラボ②
「はいっ、ここでリスナーさんたちにルール追加! おすすめ食材のコメントを送る時は、自分も同じ物を食べることを想定してね!」
コメント欄が大喜利大会の会場になりつつあるので、本来の趣旨から外れすぎないようにルールを追加した。
『はーい』
『真面目に考えます』
『ちょっと悪ノリしすぎたかも』
『了解です』
不満を漏らさず素直に聞き入れてくれてホッと一安心。
「聞き分けがいいリスナーたちね。ユニコの調教が行き届いているってことかしら」
エリナ先輩がコメント欄の様子に感心したようにつぶやく。
当然ながら調教した覚えなんて微塵もなく、ひとえにリスナーさんたちの良心によるものだ。
「調教なんてしてないよっ」
「それだけユニコちゃんの人望が厚いってことかなー」
「別にそんなことも――いや、それは一理あるかも!」
『ないよ』
『ない』
『違う』
『人望?』
『調子に乗るな』
『ないない』
『それは自惚れ』
「うわ、一気に辛辣なコメントが増えたにゃ」
「あたしがちょっとでも調子に乗ったら、いつもこんな感じなんだよ~。もう慣れたけどね」
さてと、さすがにそろそろ本来の趣旨に則って話を進めよう。
「それじゃあ改めて、コラボで作るカレーの具材を決めていくよ!」
「カボチャなんていいんじゃないかしら」
「トマトも定番だよねー」
「オクラも入れたいです」
「ズッキーニはどうかにゃ~」
「ナスも王道だね」
わざわざ枠を取って配信する必要があったのかと思ってしまうほど、みんなから一斉に候補が挙げられた。
コメント欄も先ほどとは打って変わった様子で、夏野菜の名前がたくさん流れている。
リスナーさんたちの意見で特に目立つのは、トマトとナスかな。
「あたしはコーンがいいと思うっ」
ユニコーンだけに、とは言わないでおく。
とりあえずカボチャ、トマト、オクラ、ズッキーニ、ナス、コーンはメモしておこう。
「あっ、いまコメントでパプリカってあったね~。採用する?」
「いいわね」
「さんせー」
「わたしも賛成です」
「異論なしにゃ」
「右に同じ」
メモにパプリカも追加して、と……。
好き嫌いやアレルギーの有無などもなく、話し合いは順調に進んだ。
配信中に運営さんへの連絡も済ませ、目的は無事に達成。
お料理配信に向けて、後は当日が来るのを待つだけとなった。
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