第97話 ファンアートのあれこれ
「みんな、こんユニ~! 配信を始める直前まで、みんなが描いてくれたファンアートを見させてもらってたよ! あたしとミミちゃんの百合イラストが多かったかな~」
『こんユニ』
『こんユニです』
『ユニミミしか勝たん』
『素敵なイラスト多いよね』
ガールズパーティに所属するタレントを題材として二次創作を行う場合、ゆりりり株式会社が定めたガイドラインを遵守する必要がある。
主に性的・暴力的な表現について制限するものであり、いまのところルールを無視したファンアートは目にしたことがない。
あたしが頻繁にエッチなイラストを見ていることからも分かる通り、なにからなにまで禁止されているわけではなく、ざっくり言えばメンバー個人のイラストやメンバー同士の百合であればとんでもなくエッチな表現もOK、ガールズパーティに関係ない人物との絡みや明確な悪意のある内容はNGとなっている。
「あと、無乳同盟のイラストも最近けっこう増えてる気がする。みんなも見たことない?」
『あー、確かに』
『二人が牛のコスプレしてるファンアートが一番好きかな』
『前より絡みが多くなってるからかもね』
「ミミちゃんとスノウちゃんも一緒に描かれがちだよね、めちゃくちゃ派手な魔法を使ってるイラストとか」
悪役っぽい笑みを浮かべたミミちゃんにスノウちゃんが立ち向かう構図とか、二人が力を合わせて魔法を発動させてるのとか、まさにファンタジーといった雰囲気のイラストが多い。
魔神とペットのユニコーンvs暗黒騎士と相棒の猫耳少女のバトル、というのも見た覚えがある。つまり二期生と三期生の戦いってわけだけど、なぜあたしがペット扱いなのか問い詰めたいところだ。
『ガチな魔法使えそうなのってあの二人ぐらいだからねー』
『JKと栗の妖精と魔神と珍獣と猫耳幼女と暗黒騎士……何気に一般人ってエリナちゃんだけなのか』
『ユニコちゃんは魔法使えないの?』
「ちょっと待った~! 見逃さなかったよ! いまあたしのこと珍獣扱いした人いたでしょ!」
『やべ』
『あっ』
『あっ』
『私じゃないです』
『誰だー』
『なるほど、確かに珍獣かも』
『珍獣じゃないの?』
『間違ってなくね?』
「言っとくけど、あたしってユニコーンなんだよ? 神獣とまでは呼べないかもだけど、伝説の生き物なんだから! もっと敬意のある呼び方をしてもらわないと!」
『すみませんでした』
『すみません』
『ごめんね』
「うんうん、素直に謝れるのは偉い! とはいえ、あたしを珍獣扱いした罰は受けてもらわないとね。そうだな~、あたしとミミちゃんのめちゃくちゃエッチなイラストを描いてもらおうかなっ。それを見れば、傷付いた心が癒えると思うんだよね~」
『それは見たい』
『誰か頼んだ』
『いまから描きます』
『とりあえずイラスト講座の動画を見るところから始めます』
『何年か待ってもらってもいいですか?』
『ぜひ見たい』
「決まりだね! ふふっ、エゴサするのが楽しみだよ~!」
後で聞いた話によると、この時のあたしはクリスマスプレゼントをワクワクしながら待つ子どものようだったらしい。
投稿されたファンアートは、しっかりと保存させてもらった。
ファンアートで描かれていたプレイをいくつかミミちゃんと実践したというのは、当然ながらみんなには内緒だ。
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