第67話 嬉しいお知らせ
「みんな、こんユニ~! さっき運営さんから発表された告知、みんなはもう見た?」
『こんユニ』
『こんユニ~』
『見たよー』
『待機中に見てた』
『こんユニ』
『夢かと思って三度見ぐらいした』
一期生と二期生の対決や二期生の新衣装実装といったビッグイベントが続き、しばらくは平常運転が続くだろうと誰もが思ったはず。
けれど、実際はどうだろう。
夏本番を控えたこのタイミングで、とんでもないホットニュースが舞い込んだ。
「うんうん、やっぱりみんな見てるよねっ。見てない人もいるかもしれないから、この場であたしからも声を大にして発表させてもらうよ~!」
あたしは息を深く吸い込み、もったいぶらずに口を開く。
「このたび、三期生のデビューが決定しました~!」
言い終えたタイミングで、あらかじめ用意していた盛り上げ用のSEを鳴らす。
あたしたち所属タレントは数日前に知らされていたけど、今日こうして正式に発表されたことでより一層実感が強まった。
『ユニコちゃんもついに先輩だね』
『三期生とのコラボも楽しみにしてます』
『三期生どんな子たちなんだろう』
『だんだん賑やかになっていくね』
『夏休みに全体コラボとか期待できるのかな』
「デビューしてから、気付けば半年とちょっと。あたしも先輩って呼ばれる時が来たんだね~」
『ユニコ先輩』
『よっ、先輩!』
『先輩、頼りにしてますよ』
『せんぱーい』
「うぇへへ、気が早いよ~。でもまぁ、いまのうちから先輩扱いされることに慣れておくのも悪くないかなっ。リスナーさんたち、今日はあたしのことを本当の先輩だと思ってくれていいからね!」
『先輩、あんまり調子に乗らないでください』
『焼きそばパン買ってきてください先輩』
『先輩っぽさ皆無で草』
「うぐっ、相変わらず手厳しいな~。あたしには別にそれでいいけど、新人の子たちには優しく接してあげないとダメだよ?」
『はーい』
『ユニコちゃんにも優しいよ』
『厳しさは愛情の裏返しだと思って』
『温かい目で見守ります』
いまのところ明るみになっている三期生の情報はビジュアルのシルエットのみで、デビュー日まで定期的に更新されていく。
ガールズパーティのメンバーにも三期生がデビューするということ以外は伝えられていないから、これからはリスナーさんたちと同じタイミングで新情報を得ることになる。
「さてと、そろそろゲーム実況を始めるよ! 今日やるのは、スマホアプリの脱出ゲームで――」
あたしは三期生についてのトークに一区切りつけて、この配信のサムネやタイトルにも使っているゲームを起動した。
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