第7話 快適な環境
あたしとミミちゃんが住んでいるのは、ゆりりり株式会社の本社ビルからすぐ近くにある地上十階建てのマンションだ。
ガールズパーティの事務所やスタジオも本社ビルの中にあるので、所属タレントとしては有事の際に足を運びやすくて助かる。
セキュリティ万全で防音性も耐震性も抜群、コンビニや飲食店も徒歩圏内にあって、駅からもそう離れていない。
非の打ち所がない最高の立地だ。
さて、今日はお昼前から公式チャンネルの動画に使う音声収録があった。
二時間ほどで無事に終わり、近場のファミレスで昼食を済ませてから帰宅。
「ん~、ちょっと食べすぎちゃったかな」
リビングのソファに腰かけ、膨らみを増したお腹をポンと叩く。
「すごい勢いで食べてましたよね。これ、よかったらどうぞ」
ミミちゃんが隣に座り、水と胃薬を差し出してくれた。
「ありがとうっ」
お礼を言いつつ受け取り、すぐさま胃薬を水で流し込む。
即効性はないと思うけど、心なしか少し楽になった気がする。
「体に悪いですから、食べすぎには気を付けてくださいね。注意できなかったわたしも悪いんですけど」
「いやいや、ミミちゃんはなにも悪くないよ。あたしが調子に乗って注文しすぎただけ。それに、たくさん食べたらおっきくなれるかもしれないし」
「でも、成長期はとっくに……」
「お、終わってないよ! むしろここからだもん!」
「そ、そうですね、えへへ」
うぅ、なんて分かりやすい愛想笑い。
「見た目はともかく、中身はしっかり大人だからね」
胸を張ってキッパリ断言する。
「え?」
「え?」
キョトンとしたミミちゃんの反応に、あたしも思わず同じリアクションを返してしまった。
ミミちゃんがあたしにどんなイメージを抱いているのか、小一時間ほど問い詰める必要がありそうだ。
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