城に帰ると…?
ユキの誤解をイリスと二人で解いた後、僕とユキは城へ帰り、夜僕の部屋に集まっていた。
「…あっ…またでそうです…おにぃさま…。」
「…いいよ…そのまま体の力を抜いて…。」
僕のベッドの上で何度目かわからない、やり取りをかわす。
「…お兄さま…いきます!」
────キラキラキラキラ────
僕とユキの回りをタンポポの種が舞うように白い光の玉が現れる。
「お兄様!どうですか!もうこの魔法なら何度やってもだせるようになりましたよ!」
「ユキ、出来るのは確かに凄いけどもう少し声を押さえような…。いちょう魔法のことはまだ秘密なんだから。」
イリスに教えて貰った魔法だがまだ誰にも教えるつもりは僕にはなかった。
母さんになら教えてもいいかもしれないが万が一にでもお父様やバッカスに伝えられるのは困る。
…あの二人が一番悪用しそうだからな…。
僕の顔が怒っているように見えたのかユキは少し涙目になりながら、
「…お兄様…ごめんなさい…。」
と謝りだした。というか泣かせるのはまずい!
「大丈夫だよユキ。この部屋が城でも離れにあるのは知ってるだろ。考えてたのはちょっと別の事だから。」
そう言いながらユキの頭を撫でる。
最近ユキの表情がイリスに似てきてるような気がするんだよなぁ…。
今も涙目だったのが嘘みたいにとろけた顔になってるし…。
「でも実際にユキは凄いな。もうライトの魔法使いこなしてるんじゃないか?」
「いいえ。まだ出すことが出来るだけでそこから動かす事が出来ないんですよね…。お兄様は褒めてくれますけどお兄様もできますよね?」
「…闇魔法ならな。」
…でもあんまり使いたくないんだよなぁ。
どうしても悪者っぽくなるし…。
「…私は格好いいと思いますよ?」
いつも思うけどそんなに顔にでるのか僕は…?
「あっさり心を読む…なっ!」
「きゃあ!」
少し驚いたユキをベッドに押し倒しじゃれあいをしながら布団を被る。
…こういうのは兄妹ならではだよなぁ。ユキもこういう時いつも猫みたいにじゃれてくるし。
布団の中に二人とも潜りながら、
「今日も遅くまで頑張ったんだからそろそろ寝ないとな。明日になったらイリスにも見せるんだろ?
昨日の今日でかなり成長しただろうし驚くぞ。」
「…その時はお兄様も一緒ですよ?今日お姉様の前で見せた魔法とは違う魔法を使えるようになったんですから。」
「なんでユキが自慢気なんだよ…。あの魔法は偶然出来るようになっただけだし、使いやすそうな魔法だけど…なんか見られるのは恥ずかしいな。」
「…悪者っぽいからですか?お姉様も格好いいって言うと思いますけど…。」
「あーまぁそんな感じだな。」
……本当はイリスが見たらなんで使えるようになったかばれそうだからだけど。
「ほらもう寝るぞ。明日も魔法の訓練、頑張るんだろ?」
「はい、おやすみなさい。お兄様。」
「お休み。ユキ。」
僕も明日イリスの驚く顔が楽しみだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(作)リハビリがてらに魔法を習った夜のお話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます