夫婦感?

「強さの為なら何でもする…か…。」


その言葉に僕は少し親近感に似た感情を覚えていた。


…僕自身誰かに認めて欲しくて1人でも生きていける強さを求めているからな。


「…魔族と僕って似てるのかな。」


僕がそう思っているとユキが


「なんでもするって言ってもどんなことするのですか?お兄様みたいに訓練をするのですか?」


っと僕も気になっていたことを聞いてくれていた。


「…違うよ。私が知ってる魔族達は別の方法で自分を強くしようとしてた。一つ間違えたら自分は死んじゃうかもしれないことを。」


イリスの答えにユキは驚いていたが僕はむしろ興味がわいていた。


「…それがどんな方法なのか聞いても大丈夫か?」


「…リョウガは聞いてもやろうとしないわよね…?」


やっべ顔にでてたか?イリスが疑いの目を向けて来てる。


「まぁリョウガなら大丈夫だと思うけど…。でもやらないでよ?その方法って言うのは精霊召喚って言うの。」


「「精霊?」」


ユキも首をかしげている。…正直それだけ聞くと全然危なく無さそうなんだけど…。


「精霊ってそんなに危険なのか?」


「精霊自身はそんなに危険じゃないわ。だけど精霊召喚の魔法で精霊呼んだ場合に限ってだけ危険なの。」


「…何でそのときだけ危ないんだ?」


「精霊召喚で呼ばれる精霊はその人の心に引かれてやってくるの。悪い人なら悪い精霊が良い人なら良い精霊がその人の力になりにくるわ。」


…その人の人格によってくる精霊が違うのはわかったけど…。


「…それのどこが危ないんだ?悪い精霊は力を貸してくれないとか?」


「…それどころか人格を乗っ取られて元の人は魂だけ死んじゃう事もあるから危ないのよ。」


…それでイリスは僕にやって欲しくないのか。


「じゃあ良い人だったら?」


「精霊と仲良くなって力を貸してくれるわ。

ほとんどの場合は見込みなしと見なされて精霊は帰ってしまうけど。死ぬことも力を貸してくれることも希にあるぐらい。でもそれでも普通の人より頭一つ抜けて強くなれるのは確かだからする人は多かったわ。」


それで強くなれるなら俺もやってみたいな。

…死ぬ可能性があるのは正直怖いけど


「でも力を貸してくれるってどうなるんだ実際。」


「精霊には実態を持つ物は少ないから基本的にその人の体に精神だけ同居して一緒に行動してるわ。二重人格みたいになる…って言ってわかるかしら?」


なるほど。でもそれくらいなら…


「なぁイリス。…それって僕にも出来るのかな?」


「えっなんで!駄目だから!今説明したばっかりでしょ!」


僕の質問に驚いたのかイリスは止めようとしてくる。…でもなんかそれだけじゃないような焦りが見えるような…?。


「でも僕なら大丈夫なんでしょ?それこそ今イリスが言ってたし。今はまた魔物が来るかも知れないし強くなれるなら出来ることはやっておきたい。」


「うぅ~でも~…。」


どうしてここまで嫌がるんだ?実は大丈夫じゃないとか?


「……………駄目。」


「…どうして?大丈夫なんだろ?」


するとイリスは顔を真っ赤にしながら


「その精霊がリョウガと一緒になるのは…なんか嫌なの!どうしてもそうやって強くなりたいんならに──!!」


私が一緒に。その言葉が聞こえたのと同時にベッドの方からもう一つ別の声がはっきり聞こえた。



「…お父さん…お母さん…だぁ。」



いつ目を覚ましたのかわからない。だけどそんなことを言いはなちまた目をつむって眠りについた魔族の子供。


それを聞いて何を勘違いしたのかはユキは、


「…お兄様達の隠し子?だからあんなにも必死で助けたのでは?」


「「違うよ(から)!!」」


この後ユキの誤解を解いたり魔族の子供がまた起きるか確認したりで時間がかかりイリスが何を言おうとしたのか最後まで聞けなかった。


そんな事をしながら僕は「私と一緒に」という言葉が頭から離れずにいた。

──もしかしてイリスは精霊と僕が1つになるのに嫉妬して?それであんなに否定してたのでは?


そんなあり得ないようなことを悶々と考えながら魔族の子供はあれ以来目覚めずに5日が経過しようとしていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(作)次回イリス視点。

この設定に2日も考えたのか僕は…。

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