差別
「なぁイリス。魔族自体のことについて教えてくれないか?人間と違う所とか。」
「うん?そうだねぇ…あんまり人も魔族も変わらないと思うけど…。暮らしも似てるしね。というかリョウガも知ってるんじゃないの?別に人間も魔族も基本的に仲悪い訳じゃないんでしょ?」
そう。女神様…フーマの言っていた通り人間と仲の良い魔族は少なからずいる。
…だが種族の違いというだけで差別するような溝は今でも大きい。
「そうなんだけどね…。でも人間と関わろうとしない魔族の国も…確かあるでしょ。この国アクアスが魔族を入国させないみたいに…。」
僕の質問から昔の記憶を思い出しているのだろう。イリスは目をつむって考えてるようだ。
差別か…この国の…いや、この国の舵を取る王族の悪い所だ。自分達と違う物を差別し利用しようとする。
…アリシア母様のような誰とでも分け隔てなく接する事が出来るような人が王になればな…。
僕はそう思いユキを見る。ユキの方は今も真剣に僕達の話を聞いている。ちゃんとこの魔族の子供をどうにかしてあげたいと思ってるからこそ出来る行動だと思う。
──この子のように優しい子が王になってくれればな。
気づくとユキの頭を優しく撫でていた。ユキの方は突然どうして撫でられたのかわからなさそうにしてはいるが…満足そうな顔をしてるのでいいか。
……というか頭撫でるのもすっかり癖になったよな…僕は。
そんな事を考えていると、イリスの方もどうやら思い出したらしく続きを話してくれる。
…少し苦い顔をしている所を見ると嫌なことまで思い出させてしまったようだな。
「…思い出したよ。確かに魔族だけが暮らしている国があったね。…というか昔行ったことがあるよ。」
「…イリス…辛そうだけど大丈夫か?
あんまり話したくないなら話さなくても、「大丈夫だよリョウガ。」」
僕の話そうとしていたことを遮るようにイリスは言う。
「私はリョウガの力になるって決めたからね。もうこれくらいじゃ動じないよ。」
イリスは明らかに強がって笑顔を見せている…でも強くなったよな。精神面で何か吹っ切れたように見える。
「昔の私がその国に行ったときは…私の角が生えた状態は見たでしょ?あれのお陰で魔族の仲間だと思われたみたいでね。それで入国できたの。」
「…急に戦ってた時に強くなったときか。あれも魔法か何か?」
「あれは魔法じゃなくて龍種の…それはまた別の時に教えるわ。長くなるし。続けるよ?魔族の国では強さが全てでね、強さの為なら何でもする!って感じだったかな。今でもそうなのかは知らないけれど、でも人の国と違うのはそれくらいだと思う。」
僕はそれを聞いて魔族に少し親近感がわいた。
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