魔物の目的

「私は魔物のことをお兄様達ほどは知りませんけれど誰かが魔物を操つってやったのではないでしょうか?」


…ユキもそう考えたか。


そう思ったのは僕だけではなかったようで、


「ユキも同じように考えてたのね…。

もしかしてリョウガも?」


イリスからは表情でばれたのか僕の考えもばれていたようだ。


「…まぁな。あの魔物は明らかに拐うことが目的で、しかも僕達と話しをして一度は逃がしてもいいと判断していた。本能だけで行動している魔物にしては誰かが操ってたって言われた方が納得できる。」


「お兄様?改めて確認ですけれど魔物は単純な行動しか出来ないんですよね?」


「そうだな。…あくまで僕のは本を使って勉強しただけだから必ずって言われると弱いが…。」


僕の考え方は基本、勉強による知識からくるものなので実際に体験してないことは完全には理解できていない。


…そのせいでさっきも答えを出すのに迷っていたのだが。


「大丈夫よ。私は実際に魔物とは何度も戦ってきたがあるけど人を襲うことはあっても拐うのは…ゴブリンくらいだったと思う。」


イリスからのフォローが入るお陰で安心できる。

でもゴブリンって確か…。


「…?拐う魔物もいるのですかお姉様?」


…あー思い出した。その話は不味い。ユキにはまだ早い。

確かにゴブリンは人を拐うって調べたらわかるけどユキには見せないようにしてたからなぁ。

…拐う目的が…だし。


話をそらして誤魔化しとくか…。


「ユキ…その話はまた今度な。今はこの子のことを考えないと。」


「あっそうですね。すみません。」


こういうユキの素直な所は助かる。


「今度勉強するときにお兄様から教えて下さいね!」


…記憶力がいいのは良いことなんだけど忘れてることを祈ろう。


うっかりゴブリンのことを話したイリスからは気まずそうに苦笑いしてこっそり動作で謝ってくる。


…イリスもやっぱり知ってたんだな。


「ごほんっ…話を戻すぞ。イリス魔物を操ることって実際出来ることなのか?」


「そうね…私も聞いたことはない…かも。思い出せないだけかも知れないけど…力になれなくてごめんね…。」


「いやっイリスが謝ることはないって。正直イリスに知識面では頼りっぱなしだったからな…ごめん。いつも助かってるよ。ありがとな。」


申し訳なさそうにしていたイリスだったがこちらを見て笑顔を見せてくれた。


…不意打ちで笑顔見せるのやめて欲しいな。

最近になって気づいたけど少し…こう…もやもやする。


僕とイリスが話しているとユキから、


「…お兄様、お姉様。また話が反れてます。」


「あっすまん。」「あっごめん。」


僕達が話を反らしてどうするんだ。もっとしっかりしないと。


「じゃあ話をまとめるけど…魔物は操る何者かがあの魔族の子供を拐おうとしてあの砂浜にきた。魔物を操る方法はまだわからない。理由に関してはこの子が起きればわかるかもしれないけど…いつになるのかもわからない。

…まだわからないことばかりだな。」


話し合って出た結果に三人ともため息をついてしまう。


…そうだな他に調べられること…魔族のことについて何かわからないかな?

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