闇属性
…なんも見えねぇ。でも声は聞こえる。
状況からして多分僕の魔法が発動したんだと思うけど…。
考えているの間にも二人の声は聞こえているので別の空間に飛ばされたとかはないと思う。
「大丈夫!僕はここにいるぞ!」
二人を安心させるように声をかけたのだが、
「リョウガ!返事をして!」
「お兄様!聞こえていますか!」
…どうやら聞こえてないらしい。
どうしようかな?
…!ユキの魔法を先に見といて良かったな…。
先ほどの光景を思い出し、まだ予想でしかないが目の前にあるであろう壁に向かって手を伸ばす。
暗闇の空間にいるのではなく黒い壁に囲まれているのだとすればこれで…。
何か固いものに触る感覚と共にそこから魔力が戻ってくるような感覚がする。
壁が完全に無くなりイリス達の姿が見えると同時に声も聴こえてくる。どうやら今出していた黒い壁は声を一方向から聞こえなくすることも出来るみたいだな…。
…そんなことを考えていたからか僕は避けることが出来なかった。
…こちらに突っ込んでくるイリスとユキを。
「「リョウガ(お兄様)!」」
「ぐぇ!」
自分でも情けないと思う声が出たと思うがそれだけ心配させたんだろうな。そんな心配する事ないと思うんだけど。
「ばか!またリョウガに何かあったかと思ったじゃない!」
「大丈夫だって。魔法の訓練なんだろう?最初から危険な難しい魔法は出来ないんだろ?」
ユキの時もそう言ってたし。
「でも昨日危ない目に会ったばっかりなんだから心配させないでよ…。」
昨日の事もあって心配性になってるのか?
「そうですよ!お兄様はすぐ無茶ばっかりするんですから!」
…出来ることをやってるだけなんだけどなぁ。
「…リョウガは少し休んで。今少なくても2つ同時に魔法が発動してたんだから体が怠くなってくるはずだから。」
「えっ!もう少しで今度は自分でちゃんと使えそうなんだけど…。今度はもっと注意してやるから。それでも駄目?」
「「それでもです(だよ)!」」
「わかった!わかったから一旦離れてくれ!」
2人の迫力に押し負けて僕はとりあえず休むことになった。
…でも二人ともずっと本当に大丈夫なのか確認してくるので落ち着かせるので大変だったけど。
二人が落ち着いてから僕は自分が発動したであろう魔法についてイリスから詳しく話を聞くことにした。
「…でさっき2つ使ってたって言ってたけど本当にそんな事してたのか?」
正直自分じゃまだ魔法を使えたって感覚はあっても数とか詳しいことはまだわかんない。
「うん。今のは多分相手から身を隠すブラックカーテンとサイレントって言う2つの魔法を同時に発動してたよ。こっちの声だけ聴こえてたんでしょ?」
「ああ。僕から声をかけたんだけど聞こえて無かったみたいだし。」
「じゃあ間違いないと思うよ。リョウガはよっぽど闇属性の適正があるんだろうね。」
「闇…闇かぁ。」
魔法の適正があったのは嬉しいんだけど…。
「どうしたの?…何か嫌だった?」
「嫌って訳じゃ無いんだけど…悪役っぽくないか?」
ユキは光で正義!って感じがするんだけど僕だけだろうか?この感じは。
「そう?リョウガのイメージにピッタリだと思うけど。」
「えっ」
悪役っぽくってこと?
そう思ったがどうやら違うらしく。
「違うからね?!悪役とかじゃなくてリョウガの
黒髪とか色がピッタリで格好いい…じゃなくて合ってるってだけだからね!」
素直に誉めてくれただけか…良かった。
「そう?なら良かった。
…魔法はこの感じを忘れないで魔力のコントロールを訓練すればいいの?」
「そうだよ。後はもうこれで自分で扱い方を学ぶしかないかなぁ。私が使ってる魔法の感覚を教えることは出来るけど私は水属性の魔法を使ってるから…。」
「いや今日はこれでいいよ。もう少し魔力の扱いに慣れたら教えて貰うことにしたいんだけど…その時にね。」
今日はこれで訓練は終ることにして僕とユキは帰ることにする。
…でもその前に、
「イリス…あの魔族の子供はまだあのベッドにいるの?」
あの子に会っておこう。
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