突然の終わり、リョウガの本音

「私も人間じゃないの。…ごめん。…今まで黙っててごめんなさい。」


──俺はそんなイリスを見てどうしてそんなに怯えているのかわからなかった。


──まだ推測でしかないけれどあの大きいサハギンを一撃…いや、一瞬で倒せるだけの力を持っていて何を怖がるのだろうか?


そんな考えが頭をよぎる。だが僕の頭の中ではどうでもよくなるほど強い衝撃を受けていた。


つい口から自然と漏れてしまうほどに。


「──綺麗だ…。」


「ぅえ!?」


対してイリスはそんな僕の言葉を聞いて混乱してる見たい。驚いて目を丸くしている。そんな言葉が出てくるとは思ってなかったとか?


でも今はそんなことどうでもいい。

──この気持ちを言葉にしたい。


僕は戦いの疲れからか、はたまた今起きたことをを見て頭がまだしっかり働いていないからかはわからない。気がつけばイリスの肩に手を置き僕は本音を捲し立てていた。


「こんなに美しいと思うものは初めてみた!いつものイリスも可愛いとは思っていたけれど今の姿は可愛いだけじゃなく美しさまで備わって完璧としか言いようがないじゃないか!」


「…えっ…ぅえ!?」


今でこそ僕は王族でその長男として生まれて暮らしてはいるが、元々はアニメだったりライトノベルが好きなオタクだ。


だからだろうか僕は、目の前にいるイリスには全く怖いとかそういった感情はなく、むしろ格好いいとか綺麗だとかそんな感情ばかり浮かんできていた。


だから…仕方ないよね?イリスが今にも全身が真っ赤になりすぎて頭から煙を出して倒れそうなのを気がついてなくても。


「…ぷしゅぅ…」


◇◇◇


~十分後~


イリスは僕の膝の上で目を覚ました。前に僕が倒れた時にイリスにして貰った膝枕だ。


イリスが目を覚ましてまず最初にとった行動は今も眠っている魔族の子を気にしている様子のユキの後ろに隠れることだった。


「わぁ!なんですかお姉様!というか目が覚めたんですね!…お姉様?」


「………………」


イリスはユキのかげからこちらの様子を伺っている。


えっそんなに膝枕いやだった?地味にショックなんだけど…。


「…どうしたの?そんなに嫌だった、膝枕?」


「そっそんなこと無いけど…恥ずかしいの!まだこっち見ないで!」


ユキの後ろにいても未だに赤くなっていることがわかる。…やっぱり言いすぎたよなー…。


「…倒れる前のことは覚えてる?少し自分でも言いすぎたと思ってる。ごめん。」


…さすがにイリスが僕達に確認をとってからなるほどの姿だ。あんなに何かに怯える様子だったのに。デリカシーの無い発言だったと冷静になった今なら思う。


するとイリスは顔をこちらに向けて


「じゃあさっき言ってたことは嘘だったの?それともからかってただけ?」


と少し、しょんぼりとしたような顔で言ってきた。


イリスは顔が赤くなっていても真剣に答えを聞いているのだろう。まだ何かを疑っているけど信じたい。そんな顔に僕は見えた。


冗談でも嘘はつけないな…僕も少し恥ずかしいんだけど…


「…さっき言ったのは全部、本当の…事です…。」


…顔が少し暑いな。でも言ったかいはあったようでイリスはユキに隠れるのをやめて、


「なら許してあげる!」


と、この一年間過ごして来た中で一番の笑顔を見せてくれた。




……そんなやり取りをしていると今までその様子を見ていたようでからかうような口調が飛んできた。


「お兄様もお姉様もイチャイチャしていないでまずは話さないといけないことがあるでしょう?」


「「…なっ!」」


「はたから見るこちらの身にもなって欲しいですね…。」


そう言ったユキは仲間外れにされて少し拗ねているようだった。


「ごめんねユキ。でも僕はそんなつもりはなくてだな…」


「ごめんねユキちゃん。でも私そんなつもりなくてね…」


「わかっていますよ。二人とも自分から素直にあんなことが出来るとは思いませんし。それよりも今はまず話さないといけないことが沢山あると思います。その確認からしましょう。」


さりげなく酷いこといってない?そう思いつつも話が逸れていることも確かだ。


「…そうだな。じゃあ…まずイリス。イリスさえよければ君のことを教えて欲しい。さっきのこととかね。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(作)投稿が少し遅くなりました…。すみません…

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