秘密の告白(前編)
「イリスさえよければ君のことを教えて欲しい。さっきのこととかね。」
イリスの方も覚悟は出来ていたようでさっきのように怖がったりもしておらず普段通りだった。
「うん…何でも聞いていいよ。」
「じゃあまずはさっきの姿とか…人間じゃないって言うのは?」
角生えてたし実は魔族とか?──そんなことを言いかけるが僕はぐっとこらえる。イリスにもうあんな寂しそうな、悲しそうな顔はさせたくない。
「そうだね…。まず私は魔族じゃないよ。もっと別の生き物。」
そう言って人間の姿から、角や鱗があるサハギンを倒した時の姿に変わる。
…やっぱり綺麗なんだよな…。
「…逃げないでいてくれるんだね…嬉しい。」
「僕やユキはイリスがどんな人…でいいのかな?
…まぁよく知ってるからね。」
僕が思うイリスは人見知りだけど優しくて、他の人の事を優先しちゃうお人好しってイメージだけど。
「ずっと一緒にいるもんね!…信じるよ。
私は…龍種…。この世界で恐れられてる人類種の敵…って言われてる。」
その言葉に一番驚いていたのはユキだった。
「龍種…ってこの世界を破壊するって言われてるあの龍種…ですか?」
ユキが少し怯えた表情で訪ねる。
…この聞き方は駄目だな。
「ユキ、そんな言い方は駄目だ。イリスが本当にそんなことをすると思うのか?」
僕の言葉で冷静になったのかユキは自分が何を言ったのか理解したようだ。
イリスが僕達に自分の事を話さなかったのはまさに今みたいに自分の事を怖がられると思っていたからだろう。
この事だけでは無いだろうけれど。
「ごめんなさいお姉様!そんなつもりは!」
「大丈夫だよユキちゃん。普通の人なら皆同じ反応をすると思うから。リョウガみたいに驚いてるだけの方がおかしいんだから。」
「おいおい。僕はいたって普通だぞ。」
何故か僕がおかしい奴みたいに言ってるし。
「それに龍種…ドラゴンって確か神獣で世界を破壊するどころか守る為にいるんじゃないのか?」
僕の言葉にユキはきょとんとした表情をし、イリスにいたっては目を丸くして固まっている。
えっ僕変なこと言った?
「リョウガ?それはどこで…?どうやって知ったの?」
イリスが僕に詰めよってくる。近い近い!
ってそうだ!今思い出したけど確か女神様…フーマに教えて貰ったんだった!
「…えっと~確か、城の書斎でみたんだったかな~?」
声が少しうわずってでる。しかしそこにユキからも追い討ちが来た。
「…お兄様。私も一緒に書斎で勉強をして来ましたけど龍種に関しての本は一冊だけだったと思いますけど?その本に世界の破壊のことについても書かれていましたよ。…嘘をついていますね?」
二人して僕をそんな疑いの目で追い詰めないで欲しい。傍目から見たら美少女二人に詰め寄られてる図なんだろうけど嬉しくない。
嘘をついてもこの二人にはバレるだろうしな…かといって正直に言っても信じて貰えるか?
「リョウガは私には話させておいて自分のことは教えてくれないの?」
…うっ!痛いところをつくな…。
……隠してもしょうがないか。
「わかった!わかったから一旦離れてくれ!」
二人してすぐ同時に離れる。…僕が嘘つけないのわかってやってないか?この二人は。
「そうだな…どこから話せばいいのか…。最初に言っておくけれど僕は普通の人だからな?」
「「それはわかってます(るわ)。」」
…そうですか。
「そうだな教える前に僕も言っておく出来れば嫌わないでくれると嬉しい。」
この話がさっきのイリスの話しと同じ位大事なのを理解したのか二人とも静かにうなずく。
「僕は…転生者って言ってわかるかな?一度死んでまた生まれ変わった人間なんだ。」
この言葉には二人して固まっていた。
…まぁそうだよなぁ。
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