イリスとユキ (イリス視点) 前編

「イリスさんとお二人で喋ることって出来ますか?」


リョウガの妹、ユキさんは私と二人でお話がしたいみたい。昨日は確かに私もお話してみたいと思っていたけど、リョウガと別れた後一人になると、どうしても不安感が襲ってきて今みたいな態度をとってしまった。


決して私が怖いのは彼女ではない。私が怖いと思うのは人間という種、そのものが怖いとの記憶から感じてしまう。


リョウガは例外中の例外で長い間見守っている内に愛着のような…なんとも言いがたい感情になっていたけどね。


「あ~それなんだけど…ちょっとな…。」


今も私のことを気づかって心配してくれてる。こういう所が私を安心させてくれるのだろうか?


その彼が連れてきてくれた人だから……私も信じてみようと思えた。


「…大丈夫だよ。リョウガ。」


リョウガが意外そうに目を見開く。


「…本当に大丈夫か?」


「うん。…勇気貰ったしね。」


リョウガが私の返事を聞いてか、優しく微笑むと私の手を離してユキさんと二人きりにしてくれた。


少し恥ずかしかったけど彼の手の温もりがま手に残っているからか私は落ち着いていた。


完全にリョウガが剣の訓練に集中したところでユキさんの方から話しかけてきた。


「まずは私のわがままに付き合っていただきありがとうございます。」


「い…いいえ、私もユキさんには会って見たいと思っていましたので…。」


あのリョウガの妹さんだしね。


「あっユキと呼び捨てにしていただいて良いですよ。お兄様のお友達ですもの。出来れば私も堅苦しいのは無しでお話させて貰っても?」


「あっ…はい。大丈夫です…。」


そっちのほうが私も喋りやすいし…。


「それでは…イリス…お姉様…」


「…なっ!なんでしょうか?!」


えっ今お姉様って言った?どうして?


疑問が頭に残る中、さらに私にとって爆弾のような質問が飛んできた。


「お姉様はお兄様が好きなのでしょうか!」


突然のことに頭がフリーズする。


…………っえ?私が?リョウガを?好き…?


「………そっ!?そんなわけ?!ないですよ!?」


硬直がとけて出た否定の言葉は自分でも驚くほどうわずった声がでてしまった。


「そうなんですか?さっき手を繋いだりしている時とても顔が赤くなっていましたけど。」


さっき見たいにニヤニヤして私に聞いてくるユキ。


「……もしかしてからかってます?」


いつもリョウガならからかう時にこんな顔をしているし…。


すると少し落ち着いてきたのか真面目な顔になってユキが─


「いいえ。真面目な話です。お兄様と一緒にそばにいてあげられる人を私はずっと探していましたから。」


少し悲しそうな顔で私にそう言った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


(作)今日は少し短いです。仕事が忙しくて…。

前半と後半にわけますね。

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