双子の弟バッカス(朝②)
「そういうお前も毎日来てるじゃないかバッカス」
お前の場合は鍛えに来てるわけじゃないのはしってるんだけどな。
こいつが僕の双子の弟で名前はバッカス。お父様と同じスキルだよりで戦闘をするため体は脂肪がかなりついておりオブラートに包まずにいえばかなり太っているのである。
髪の色も派手な金髪で、双子と言っても顔も育ち方も性格も僕と全くと言うほど似ておらず仲もあまりよくない。むしろバッカスにはどうやら敵視されているようで嫌われていると言ってもいい。
と言うのもせっかく兄弟として生まれたわけだし仲良くしたいのは山々なのだが、王族のルールとして王位の継承権が表立っては第一位が僕で第二位がバッカスになっていて、それがバッカスは気に入らないらしく毎度今回のように嫌がらせをしてくるのだ。
僕は王家では落ちこぼれ扱いされているので王位の継承権はお父様のお気に入りのバッカスの方が実際は上になっているのにね。
……気に入られていた理由があったはずだけどなんでお父様にあいつは気に入られてるんだっけ?
お父様は自分もそうだからとスキルを重要視していたためかなりレアなスキルを持ってたと思うんだけど…
ほぼ毎日バッカスとは戦わされているけど何故かあいつのスキルが思い出せない…昨夜の影響か?
とにかく今回ここに来たのも僕の訓練の邪魔をしつつ、自分はここで訓練をしていたとお父様に気に入られるための工作なのだと。
この話をユキに自慢げに語って怒ったユキが僕にチクった為大体のことはわかっている。
例えば僕がいなくなったあとは誰かが見にくるまでは鍛練はサボっている用だし。
なので今回ここくるのはわかっていたことで、今も何か自慢げに話しかけてくるがそろそろ…「俺が直々に相手をしてやるよ!」…ほらきた。
このやり取りは何度もやってきたので流石にわかりきったことだ。
ここで間違えて決闘を断ったり僕が勝ってしまうと1日中付きまとわれてバッカスだけではなくスキルを重視しているバッカス派の人間を含めて嫌がらせを受けるので、
「いいよ。じゃあ始めようか。」
全力で負けるのがベストだ。
「毎回やられているくせに、逃げ出さないのは誉めてやろう!」
そりゃやられるっての。バッカスの相手をするよりも回りの人間全員に嫌がらせを食らわされる方がよっぽど嫌だし。
…でもいつもどうやって負けてたのかも思い出せないんだよな~。何が原因なのか後で調べておくか。
そう考えながらもさっきまで人形と試合をしていたようにお互い剣を構えながら一定の距離を保ち相手に向き直る。
剣を使っての純粋な剣技の勝負…にはならなかったと思うんだけど…
さっきからおかしいんだよな?バッカスのスキルを思い出そうとすると頭に霧がかかったみたいに思い出せなくなる。毎回戦っているし自分の記憶力はそれなりにいいと自負しているので流石におかしい。
今回は何を使ってくるか警戒して相手をしよう。
バッカスが廊下を歩いていた仕事中のメイドのを捕まえてきて審判をさせるようだ。忙しいだろうにやめてあげろよ。自分の勝つところを見せたいのだろうけど…
「うぅまだ仕事が…はぁ…それでは始めます!。…勝負開始!」
どんな技を使ってくるか思い出す為にもこっちも少し本気でいくか。
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