僕の1日の過ごし方(朝①)
「んぅ…」
窓の外から差し込んできた朝日が眩しくて僕は目が覚めた。こっちの世界には時計はあるが目覚ましのような物や起こしてくれる使用人もいない。しかしいつもこの時間、朝の6時に目が覚める。
もう体がこの時間に起きることに慣れてしまったんだと思う。
「…まだ少し眠いな…。あんなこともあったし当然か…。」
ちなみにベッドの中にユキはもういない。ユキにも朝から毎日すること……というか僕の為にと朝ご飯を作ってくれているみたいだ。
みたいと言うのも実際に自分で料理をしているユキを見たことはなく、ユキの手に切り傷が日に日に増えていくので料理をしているのはユキなのかな?と勝手に思っているからだ。
今では大分なれてきたようで傷もなくなってほっとしているし、僕の元がやっぱり庶民なのが原因なのか王宮の料理人が作るものよりシンプルなユキの料理が僕は美味しく感じるようでありがたく思っている。
「よっしゃ!じゃあ俺も始めるか。」
僕は重りを体に着けてその上から訓練着を着て朝の間しか使うことの出来ない王国の騎士団の訓練場に行く。本来なら昼半ばまで使うことができるが僕はとある理由により使うことが出来ない。ここでは理由は割愛する。どうせすぐにわかるし。
訓練場には藁人形型の試合形式で戦える魔道具や一撃の威力を測定する魔道具など設備が揃っており1人で訓練するのにも困らない。
僕は毎日、人形型の魔道具を使い実戦形式で時間がくるまで戦い続けている。
この人形は強さのレベルを設定するか近くにいる人間の強さを模倣して貰うことができるので僕は毎日自分をそのままコピーして貰い戦うようにしている。
こうすることで自分の悪い動きや隙が戦いながらよくわかるので僕の中ではこれが一番効率がいいと考えている。
だが訓練中でも剣は鉄で出来ていて刃が潰れているだけなので当たると痛いし怪我もする。今は慣れてきたので恐怖心もないがよく戦いとは無縁の世界から来てここまで出来るようになったものだと思う。
「────────────!」
人形が僕の頭めがけて斬りかかって剣を振り下ろす──剣は顔の横を通り抜けその隙に僕は相手の胴に剣を叩き込む。
「はあああああぁぁぁぁぁぁ!!」
人形の胴に綺麗に決まり人形は停止し膝から崩れ落ちた。
「はぁはぁやっぱり実力差がないとこっちも大分怪我がひどいな。」
僕自信も何度か攻撃を受けてしまい腕や足にアザが出来ているが、最近では痛いよりも自分と近い実力の…人形ではあるが…物を倒せて達成感の方が強い。
ちょうど試合が終わって少し室内を走り込みしながらクールダウンしていると、
「また無駄な努力をしてるのかよ。リョウガさんよぉ!」
はぁやっぱり今日もきたな。内心ため息をつきながら声の主に返事をする。
「そういうお前も毎日来てるじゃないかバッカス」
もう1人の兄妹で僕の双子の弟。そして毎朝早くから訓練場を使えなくなる理由でもあるバッカスの登場である。
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