末っ子の妹

「どうしてお前が俺の布団の中にいるんだよ…。ユキ…」


「えへへっ…ばれてしまいましたか。」


笑顔を向けてくれるユキかわいい…じゃなくて…。


「ここには用事もなくきちゃダメだとお父様から言ってあるだろう。」


そうなのだ。今僕のいる寝室は城の本殿ではなく離れにある個室で、僕を王家の人達から隔離するために国王である父から与えられた場所なのだ。


「…リョウガお兄様?」


「なに?」


「…ばれなければいいとおもいまませんか?」


「せいっ!」


「痛い!」


僕のでこぴんを受けてユキが大袈裟にうずくまる。軽く弾いてるだけだしそんなにダメージはないはずだ。


「うぅ…お兄様からの愛が痛い…。」


「当たり前だ。少し厳しくしないとまたお前はここにくるだろう?」


実は妹がくるのはこれが最初ではない。夜の間だけではあるが僕が寝むるとこの部屋に来ているようで朝になると誰にもばれないようにこっそり帰っていくのだ。


「ばれるとユキが怒られるだけじゃなくて僕がお前に何かしたのか問いただされるんだからな…」


「大丈夫ですよ。絶対に誰にもばれない道を見つけましたから!」


ここまで来るのに必ず1人は誰かの部屋の前を通らなければこられないはずなのだが…まぁ1人だけ心当たりがあるにはあるが。


「それにしてもお兄様がこの時間に起きるのは珍しいですね…いつもお疲れで夜は朝までナニをしても起きないですのに…何か悪い夢でもみたのですか?」


「何か今の言葉おかしかった気がするが…」


「気のせいです♪それでどうしたのですか?」


普段はおっとりしてるのに変に鋭いんだよな…この妹は…


「いや少し昔の嫌になるような夢を見たんだよ。」


嘘ではない。本当に女神様の転生ミスだったらこんな夢覚めて欲しいし。


「…どうやら嘘ではないみたいですね…」


「んっ?何か言ったか?」


「いいえ。何も言っていたませんよ。それよりもお兄様?」


「どうした?」


「まだこんな時間ですし、もう一眠りしませんか?」


そうだった。まだ夜も遅いし寝ようとしてたんだった。


「確かにそうだな。早く自分の部屋にもどれよ。誰にもばれないように。」


「はい♪」


そう言って僕の布団に一緒に入ろうとするユキ。ってまてまて…。


「…どうしてまた僕のベッドに入ろうとするんだ。」


「…ダメですか?」


「………朝になったらすぐ戻れよ。」


そう言って僕はユキの頭を撫でベッドに入っていく。明日からは記憶が戻ったとはいえ僕は今までの僕として自分の夢である冒険者になるために頑張らなければならないしな。


「それじゃまた明日な。お休み…ユキ」


「おやすみなさい…お兄様…」


記憶が戻って疲れているのか僕はすぐに眠りに落ちた。









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