第77回「答える」・新米領主の答弁

 議会は紛糾した。先代の怠慢で暮らしは苦しく、治安も安定しない。議員として立った多くはまちの親方衆で、恨みの視線はすべて、家督を継いだばかりの新米領主に向けられていた。

「いまさらご機嫌とろうたって無駄ですよ。どれだけ苦労させられたか」

「了解している」

「わかるもんか」

「そう、わからない。なので、教えを請いたい」

 議場はさらに燃え上がる。若き領主は腹に力をこめた。

「若造のお守りなど御免だろうが、いまはどんな力も知恵も惜しい。ときには、タダみたいな私の位が役に立つこともあるだろう。ここで生まれ育ったのはみな同じだ。私も、私の故郷のためにともに働きたい」

 一人、また一人と腰をおろす。新しい時代が動き出した。

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