第31話

ここまで読んでくださった方々へ。本当にありがとうございます。この辺りから書こうと思っていた部分に到着出来そうなので、楽しんで頂けたら幸いです。

編集をまだしてなかったりするお話しですが、お陰様で1000PVにいきました。ありがとうございます。

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テレビで見た事あるような、洋風な町並みを歩くのは楽しいもんだ。だが、もっと楽しくウキウキして離れそうなレオン君とミリィちゃんの手を繋いでいる。


 甲冑を着た傭兵っぽい人や、明らかに『魔法使いです!』といった姿の爺さん。馬に似た生き物が荷馬車を引いたりしているが、脚が8本あるんだよなぁ。


 マモリちゃんにこの街の風景や情報収集をお願いしつつ、ユーイチは子供達の手を離さないよう・・にしている。たまに手を離さなければいけないからだ。

 それは人のポケットを漁ろうとしたりするスリが多く、何回も撃退しているからである。


 大人に対して、骨が砕けない程度にしているが、中には砕けて悲鳴を上げているヤツらもいる。子供がやってくる場合は優し目にして、泣かない程度にソフトな叩きにしているが、そのうちの1人が挫けずに何回も突っ込んできている。


 このガキンチョめ!俺は怖いぞ!


「メリッサ。ちょっとストップ。ミリィちゃんの手を握って離れないようにしておいて。」


 ミリィちゃんの手を離すと、片手でウザいガキンチョを捕まえる。首根っこを捕まえて持ち上げてみると、緑髪の子で、汚れてるし、何日も風呂に入れていないのか、臭い。


「はなせ!はなせよ!」


 えい!ジタバタするな!貴様は魔王に捕まったのだ!そして、明らかに痩せ細ったガキンチョに伝える。


「おい。捕まったガキンチョよ。俺達を立って食べれる近場の美味しい店に案内しろ。そうしたら、お前にも同じ物をご馳走してやる。」


 言ってから地面におろしてやると、キョトンとしてるガキンチョ。俺はミリィちゃん。レオン君以外には優しくないぞ!


「ほら、俺から盗もうとした罰だ。早く案内しろ。」


 緑色の髪をした小汚いガキンチョは、あたふたしている。面白いなコイツ。そんなガキンチョは涙目になって言う。


「おみせでかったことないから、わからないんだ。」


 なんて上回った回答をするんだ!このガキンチョは!おっさんを泣かすつもりだな!負けるもんか!!


「おし。ガキンチョ。それなら、お前が食べたいと思う近場の店に案内しろ。」


 泣きそうな顔をしていたのが、もう笑った。


「こっち!こっちだよ!このおみせがみんなおいしいって!」


 引っ張って連れて行かれる。メリッサとミリィちゃんが似たような暖かい目で俺の事を見ている。ええぃ。そんな目で見るな。


 連れて行かれた所は確かに人が並んでいるが、普通の店舗じゃなくて、露店である。そして客が持っているのはなんだ?ケバブみたいに生地で肉を挟んでるっぽいな。


「みんな、急に俺はこれが食べたくなった。ちょっと付き合ってくれ。」


「ぼくもたべるー。ねぇ。きみのなまえはなんていうの?ぼくはレオン。6さい。」


「なまえはメルだ。俺は9さいだ。」


(女の子みたいな名前だなぁ。俺の感性がこの世界にあっていないのかもしれない。マモリちゃん。他に違いそうな名前とかある?実はレオンって言って女の子とか。)


(大丈夫です。ユーイチさん。感性に問題はありません。メルと名乗った子は生物学的に女性です。)


 あ、女の子だったのか。このガキンチョは。


 屋台の亭主に金を渡して、みんなの分を買う。マモリちゃんは1度待っててね。辛いかも知れないから。

 あれ?メルと名乗った子は食べない。なんでだ?


「どうした?ガキンチョ。それはお前の分だから食べていいんだぞ?」


「おとうとと、いもうとに俺のあげてもいいかな?」


 ユーイチにクリティカルヒットが炸裂した!!


「おい。ガキンチョ。弟と妹は歩いて来れるか?」


「うん。これるけど?」


「なら、まずはそれはお前が食べろ。2人の分はまた買ってやる。急いで食べたら買ってやらないからな。ちゃんとゆっくり味わって食べろ。飲み物も買ってきてやる。」


 周りの客や屋台の亭主まで、俺を変な生温かい目で見てくる。なんてウザい街だ。

 俺は自分の分を急いで食べると《ユーイチ!急がないでください!勿体無いです!》、隣の屋台で飲み物を買ってガキンチョに差し出す。


(マモリちゃん。また食べるから待っててね。)


「ユーイチさんは変わった人ですね。」


「でも、変わったユーイチさんだから。私もレオンもそんなユーイチさんに助けてもらってるから。」


「おじさんはいいひとだよ?」


 3人で俺の品評をしないでください。そして食べ終わると、『まってて!』と走って行った。そんな姿を見送っていると、屋台の亭主が話しかけてくる。


「あんちゃん。人がいいのは判るがらキリがないぞ?今は孤児院から追い出された子供達で町に子供が捨てられて、溢れかえっているんだよ。」


「なんで孤児院から捨てられてるんだ?普通、拾うのが孤児院だろう?」


「理由は知らないが、最近捨てられているらしいんだ。ガキどもは『飯が貰えない。寝る場所が無い。』ってな。

 そのうち盗みを始めたり、死んじまったりするのが一通りの流れさ。」


 あのガキンチョも盗みをしていたな。...9歳か。イラッとするな。少し経つと、ガキンチョが俺にトドメを刺しにきやがった!

 両手に2人、ヨタヨタ歩いて来る4歳位の顔のそっくりな子供達を連れて歩いて来やがった!


 俺は敗北を確信したよ...マモリちゃん。色々と拾ってもいいかな...。流石に怒られるかな?と考えていると、マモリちゃんから話しかけられる。


(ユーイチさんのしたい事をサポートするのが私の役目ですから。何かしたい事があるんですか?)


(役目とか関係なく、マモリちゃんに相談したいんだけど、子供を引き取ってもいいかな?)


(今の時点で住まいがテント暮らしなので、ちゃんとした拠点が必要になります。子供の教育や世話に大人の女性も必要になるでしょう。)


 そうだよな。家は建てないといけないよな。子育て専門の人とか必要だよな。木材は大量にある。2人の力を貸してもらえればなんとか建てられる。よし!!


 ユーイチはまた屋台に並びながらガキンチョ達に話しをする。


「おいガキンチョども。今から買って食べさせてやるが、お返しに何個か教えてくれ。」


 話しを聞くと、確かに教会から捨てられたらしい。今までは食事を人から貰ったり、残飯を漁って居たらしい。だが孤児が増え過ぎて、食べ物も大きい子が取っていく為、残飯漁りも出来ないので今日から盗みを始めたらしい。


「なんで俺を選んだんだ?」


「だって、かわった服をきてるから、おかねもってそうだし。」


 確かに変わった服だよな。地球産だし。


「おい。メルと言ったな。お前に仕事をさせてやる。そうしたら、お前ら3人に飯と寝る場所をやろう。どうする?」


「やる!やる!」


「メル!お前の仕事はちゃんと弟と妹の世話をして、ちゃんとご飯を食べて勉強して、家の手伝いもして大きくなる事だ。やるか?」


「やるよ!やる!ちゃんとめんどうを見るよ!」


 なんて素直な子なんだろう。だが、もう引き取らないぞ!来るなよこの町のガキンチョども!

 そんな事を考えていると、周りの客や店の亭主まで拍手し始めた。


 亭主は泣きながら『あんちゃん!サービスだ!』と言って品物を渡してくる。ちゃんと買うわ!!


 3人のガキンチョを引き取る事に決めたユーイチは、食べ物と飲み物を買い与え、食べ終わるのを待つ。

 そして商業ギルドに歩いて行く事に。


「俺はやる事があるからな。お前達にも大変だが、付いて来てもらうぞ?」


 1番小さい子達を抱き抱えて歩く。


「はぁ。疲れた。早く商業ギルドに着かないかな?」


 そんな姿を見て、メリッサは心配そうに尋ねる。


「ユーイチさん。奴隷の身から言うのもなんですが、大丈夫ですか?破産して奴隷になっちゃいますよ?辞めてくださいね。お金に困って私達を売るのは。」


 メリッサが変な事を言ってくる。とりあえず無言で笑ってやる。衣食住に関しては問題無い。

 そしてこれから行く先で金を手に入れられるかもしれない。相手は逆ギレする場合もあるが、やると決めていた事だからな。


 そんな事で、双子ちゃんらしい、ラルファ君とレミリアちゃんを抱っこしながら、子供5人を連れ商業ギルドに入る。

 ちなみに、小道の影でガキンチョ達をナノ君を使って綺麗にしておいた。だって臭いんだもん。


 商業ギルドに着いてから中を見渡すと、この場所は市役所のような雰囲気がある。海千山千の怪物もいるんだろうなぁ。そんな事を考えながら、待合室の椅子に座り、順番待ちをする。


「なぁメリッサ。バイトしない?報酬は多分いいぞ?」


 メリッサは疑うような顔で俺を見る。


「なんですか急に。まぁお金稼ぎは好きなんで、興味はあります。」


 ラルファ君とレミリアちゃんを膝に乗せながら、顔色や健康状態を確認しつつ、小さい声で呟く。


「俺の代わりに特許申請者にならない?報酬は特許の金額全部お前の物。『何言ってるんですか!?』仕事は、俺に何かあった時、子供達5人がちゃんとした大人になって生活出来るまで支える事。どう?」


 待合室にメリッサの大声が響いた。俺の膝に座って寝てた子供達が泣き出しちゃったじゃないか!急いで抱きしめてあやすが、泣き止まない。


「静かにしろよ。泣いちゃったじゃないか。」


 軽くメリッサを睨みつけるが、大声は止まらない。


「変な冗談を言わないでください!」


「ユーイチさん。どう言う事ですか?」


 メリッサとミリィちゃんに聞こえるように小さい声で呟く。


「いや、冗談じゃないよ?よくよく考えたら、俺って神様とちょっと揉めるかもしれないんだわ。」


 村に居る頃、特許の件を聞いた時に俺は驚いた。商業ギルドに手続きを取った後、『神様の前で申請を行う。』のが、本物の神様らしい。あいつかも知れない。


「そんな理由があるから、商人のうちの誰かに頼もうと思ったんだけど、お前達のメンバーの中で1番ちゃんとしていたのが、メリッサだったからさ。やってくれない?」


「いいんですか?私にめちゃくちゃ有利な条件ですよ?子供達の世話だけで、金貨何百枚もの契約をしようとしてますよ?」


「あぁ。それ以上の価値があると思うから、俺は不利じゃない。」


「わかりました。契約します。でも、神様なんですから、揉めないように穏便にして下さいね。」


「もちろん。」


 それ以降、メリッサは黙ったままだった。俺はメリッサにお使いを頼んで、羊皮紙を10枚を買って来てもらう。そして1枚を使い、メリッサと契約する。そしてもう一枚をマモリちゃんが調べて来た情報に対応する為、ある人物・・・・と同じ筆跡で書類を書くユーイチ。


 少し経つと、ユーイチ達の番になった為、商業ギルドでの特許申請の用紙が差し出される。薬品の染み込んだ・・・・・・・・契約書だ。


(ユーイチさん。この羊皮紙にサインすると、油出しで文字が浮かびます。収益の殆どが商業ギルド統括、ガリウス・バーミリオンに流れる事になります。)


(ナノ君。後ろの荷物を倒してくれる?)


 《わかった。》


 荷物が倒れて振り向いた瞬間、羊皮紙をすり替える。ユーイチはすり替えた書類にサインをして、職員は気が付かずに手続きを済ませると、目の前で羊皮紙が燃え上がる。


 この燃える現象を利用して、化学反応で文字が浮かび上がるようにしてたんだろうなぁ。


 手続きを終えたので、次はギルドを出て、隣にある神殿に行くらしい。


(ここにナノマシンが入れませんでした。)


(うん。そうだと思った。)


 《ユーイチ。ゴメン。僕。教会。入れない。》


(マモリちゃん。あのむかつく女の顔をスマホのデータに入れておいて。あと、あの現場の情報や動画も全て。)


(入力完了です。)


「さて。メリッサには、この義手。義足。介護方法をメモしたメモ帳を渡します。これで神様に申請が通ると思います。何かあった場合は、『外にいるユーイチが私の代わりに話しをする』と言ってください。神様に聞かれたら、俺の秘密の情報も全て話していいです。


 次に、商業ギルドが行っている重大な詐欺行為の証拠を持っている男が面会を求めている。と伝えてください。

 それとメリッサ。前に見せた荷物で、1番高く売れるのは何か教えてくれる?」


「お酒になります。あのガラスは加工方法も判らない物なので、売れます。」


(ナノ君。荷馬車の空いてるスペースにお酒を作ってくれる?多めに。あと、リュックの中身も半分くらいお酒に作り替えてくれる?ありがと。)


「ありがとね。それじゃ俺達はここで待ってるね。」


 10分程で教会から出てきた疲れた顔のメリッサ。手には何も持っていない。


「神様がお逢いになるそうです。」


「お疲れ様でした。さて、俺は時間がかかるからさ。グレッグ達には終わり次第、ここに来るように伝えました。リュックにはお金も入れてあるから、置いておくからね。

 レオン君。君は男の子だから、お姉ちゃんやメルちゃんや小さい子を守るように。何かあったら、ナノ君!って呼べば助けてくれるから。」


「うん。わかった。」


「みんな行ってくるね。じゃあね。」


(ナノ君。行ってくるね。みんなの事を宜しくね。)


 《わかった。早く。帰って。来てね。》


 みんなの頭を最後に頭を撫でておく。さて。生きて出れるかな?ユーイチは羊皮紙とペン。スマホを握って古びた教会へと入っていった。


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ユーイチ達は街で子供達を猫の様に拾って育てることになったぞ!オラてぇへんだ!!

次回。神様との遭遇。


ドラさんボール風な次回予告を書いてみました。

読んで頂きありがとうございます!

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