第21話
ここまで読んでくださった方々。本当にありがとうございます。誤字脱字が多いのに(汗)なんとか直したり。修正してますので、酷いのも減っていると思います。
良かったら、初めの頃の酷かったヤツが、ちょっとまともになってますので、お話しを楽しんで貰えたら幸いです。
絶対に完璧じゃありません。と確実に言える作者です。
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朝食を食べ終わり、部屋に戻ってリュックを背負ってから入り口へと向かう。ゴワイルは村長の家に行くと先に出ていったらしい。
ゴワイルに聞いたが、荷馬車の荷物の販売や俺の仕事が始まるのも明日以降との事。まだ村長の交代やら昨晩の出来事でバタバタしているらしい。
クリミアちゃんはこれから狩りに行くと言う。何を狩るのか聞くと、ブッシュボアを狩るらしい。
(ナノ君。ちょっと、クリミアちゃんのお仕事のお手伝いをお願いしても平気かな?)
《平気。なに。?。》
(クリミアちゃんが狩りに行くらしいから、ブッシュボアって猪を見つけたら案内してあげて欲しいんだ。
あと、危険な生き物がいたらクリミアさんを逃して欲しい。出来るかな?)
《平気。お肉。好き。》
(ありがとねナノ君。取ったお肉は食べちゃダメだけど、お昼はお肉を用意するね。それじゃ5円玉と釣り糸40センチを作ってくれるかな?ポケットの中によろしく。)
クリミアちゃんを手招きして呼ぶ。
「どうしたんですか?ユーイチさん。」
「クリミアさんに質問なんですが、狩る動物の居場所って、すぐわかると助かったりしますか?狩人の練習にならなくなりますか?」
「今日は1人なんで無理はしないです。簡単にブッシュボアの場所がわかると嬉しいですけど、何故ですか?」
ユーイチはポケットに手を入れてから、5円玉と釣り糸を出す。糸を輪っかにしてから穴に通して、5円玉がズレないように結ぶ。そして小さい声でこう伝える。
「いいですか?コレを腰からぶら下げてください。誰もいない所でこう話しかけてごらん?
『ナノ君。1番近くに居るブッシュボアの場所はどこ?』と言った感じで。そうすると、ブッシュボアの方向にコインが浮きます。
ちなみに危ない生き物が近づいてきたら、コインは真上を向く。そして逃げる方向に今度はコインが向くからね。」
「そんな高い魔道具を借りれません。」
クリミアちゃんはハッキリと断った。なので、コソッと教える。
「このコインは昨日話した『ナノ君』の一部なのさ。だから、ずっと効果がある訳じゃない。ちなみにナノ君はお話し好きだから、話して平気な時に、普通に声をかけてあげてね。
話す内容は何でもいいよ。この草は料理に使える。あのお肉は美味しいんだよ?その度にコインが動いて返事をするからさ。」
クリミアちゃんに5円玉と糸を渡すと、小さい声で呟く。
「ナノ君居ますか?」
クリミアちゃんの手のひらの上でちょこっと浮かぶ5円玉。左右に揺れている。
「どうかな?」
「わかりました。ナノ君と試しに狩りに行ってきます。」
ナノ君にも食事以外で何か楽しみが見つかるといいな。と思いつつ、クリミアちゃんを見送る。
《ナノ君。楽しみ。頑張る。》
文字が現れて驚く。あれ?行ったんじゃないの?
(ナノ君。お出かけしたんじゃないの?)
《ユーイチ。へん。?。ナノ君。ここにも。あそこ。にも居る。みんな。ナノ君。》
直径10キロに居るナノマシンの1人1人?がナノ君なの忘れてたわ。って事はナノマシン操作だけじゃなくて、マルチタスクも覚えたって事かな?進化してるな。相変わらず。
(他の人とも喋る事が出来たら楽しいかもしれないから、楽しんできてね。大変そうだったら声をかけてね。すぐ駆けつけるからさ。)
《わかった。楽しむ。》
さて、ある意味今日はオフだから、子供達の家の確認と足らない物の購入だな。まずはルークさんに支払いと、お勧めの服屋が有るか聞こう。
「ご馳走様でした。ルークさん。宿と食費の精算をお願いします。それと、買い物はこの村で出来ますか?お勧めなどが有れば教えて欲しいのです。」
ルークさんに話しかけながら精算を済ませて、小銭をビニールに入れる。ルークさんは困った顔をしながら答える。
「残念ながららこの村に服屋は無いんですよ。基本的に領主様と契約している契約行商人が来る位なんです。その人達も昨日の夜に捕まってしまったので、当分は人が来ませんね。」
ゴワイルがバタバタする原因の1つがそれか。と言う事は、子供向けの服とか日曜雑貨が荷馬車に乗っているのか。うん。後で先に品物を見よう。
でも村人達の全員に物が行き渡って欲しい。そして、売れなかった品物はオークションで売ってしまおう。と言うか行商人じゃ無い人が売っても良いのだろうか?
「ルークさん。行商人じゃない人が商売をするのって法律で問題になりますか?あと、逆オークションって販売方法も知ってますか?」
「販売については詳しくないので、なんとも...。それに逆なんですか?その販売方法も知りません。」
ユーイチはルークさんに値段を下げていく行商人。その値段なら買うよ。と言う人が居たら売るシステムを説明した。
「聞いた事がないですね。ですが、在庫を処分したい人にとっては便利な売り方かと。ゴワイルさんに相談してみるのが良いのでは?」
「はい。相談してみます。もしかしたら子供達と食事や泊まりにまた来るかも知れませんので、その時はよろしくお願いします。」
「はい。ユーイチさん。またお待ちしていますね。」
ユーイチは、食堂の椅子に座って待っていた子供達を連れて、納屋まで行き、納屋から荷馬車と木剣を取り出す。そして子供達を荷馬車に座らせると、2人に伝える。
「まずは2人の家を見てみたいんだけど、良いかな?何か足りない物で必要な物があったら用意しよう。」
「そんな、まだ働いていないのに食事を貰っているんですから、頂けません。」
ミリィちゃんは遠慮している。そしてレオン君は素直に言う。
「おじちゃん。なにもないよ?ごはんおいしかった。」
にこやかに言ってくるレオン君。ウォル君じゃなくても心が苦しくなるセリフだな。
「大丈夫。オジサンが居るからね。宿屋のご飯より美味しくないかも知れないけど、今日もご飯を作ったりするからね。」
「やったぁ。おねえちゃん。今日もごはんがあるって!」
荷馬車ではしゃぐレオン君。下を向いちゃって恥ずかしがっているミリィちゃん。
「ミリィちゃん?遠慮はしなくて良いんだよ?ミリィちゃんとレオン君は知らないと思うけど、ウォル君にお世話になった事があってね。
2人が嫌じゃなければ、恩返しをしたいと考えてるんだ。君達がちゃんと大人になるまでね。」
ミリィちゃんは顔を上げる。
「お兄ちゃんと知り合いだったんですか?」
「お兄ちゃんにお世話になった理由は、君達2人が大人になったら教えてあげよう。それまでは内緒だよ。」
そんな事を話しながらレオン君の「あっちー。いえはあっちだよ。」と言う説明を聞きながら家に辿り着く。
崩れそうな古屋である。隙間も空いており、倒壊しないのが不思議な感じだ。
「ここがぼくのいえだよ。」
レオン君がピョンと荷馬車から飛び降りて、家の中に走って行く。「コラ!走らないの!」とミリィちゃんも続いて走って行く。
家の近くに荷馬車と木剣を置いて、ユーイチも家に入る。中は隙間風が吹いており、薄暗い。足元は土である。古いテーブルに椅子。その先にはワラの上に穴の開いたシーツが広がっている。
その上にレオン君が飛び乗っていた。屋根からも光が見えるので、雨漏りもするだろう。だが、彼らの家だ。
ミリィちゃんはユーイチに椅子に座っているように声をかけると、窓を開けて光を入れたり、大きいカップを持って外に走って行こうとする。多分井戸に行こうとしている。
「ミリィちゃん、ナノ君が居るから飲み物は大丈夫だよ。良かったら2人も新しい飲み物を飲んでみないかい?」
レオン君はむくりと起き上がると、ユーイチの足にしがみ付いてくる。
「ナノ君ののみもの?おいしい?おいしい?」
「美味しいよ。温かいのと冷たいの。どっちが良い?」
「あったかいのがのみたいな。」
マモリちゃんに頼んでコーヒー牛乳を出して貰い、テーブルの上でお湯を沸かす。
「ミリィちゃんも待っててね。一緒にお湯がこれからの沸くまで話しをしよう。」
ミリィちゃんは真面目な顔をして椅子に座る。レオン君は、ユーイチの膝の上によじ登ってくる。それを見て怒るミリィちゃん。
「レオン!ダメでしょ!ユーイチさんの膝から降りなさい!!」
ビクッとするレオン君。急いで間に入る。
「大丈夫だよ。ミリィちゃん。長い付き合いになると思うから、遠慮していたら疲れるし、俺も普通に話すからね。
レオン君。今度から黙って他の人の膝の上に乗っちゃダメだからね?
今はオジサンの膝の上はいいけど、とても大事なお話の時には自分で椅子に座って、お話しをちゃんと聞くんだよ。」
膝の上からユーイチを見上げるレオン君。「うん!」と元気よく返事をする。
「では話しをするよ?オジサンはこれから村で生活をします。そして君達にお仕事を頼んだりするんだけど、2人はこのお家が好きかな?宿とか、もっと新しいお家があったら引越ししたい?」
そんな感じで1つ1つ質問をして確認をして行く。そしてお湯が沸いたので、コーヒー牛乳を作って渡しながら話しを続ける。
やはり2人はここに住みたい。立て直しをして傷つけたくないとの事。『ここが私達の家だから』と。
マモリちゃんに相談すると、修復プランを立ててくれた。それは木を切り倒して、ナノ君が乾燥。マモリちゃんが家の隙間のサイズをナノ単位で計測。ナノ君が木材を寸分違わず加工して嵌め込むやり方だ。
木材はナノ君が森から運んでくるので、人に見つからないよう運ぶ予定で、追加で柱も入れるとの事。予定では足元も板を引いて、清潔にする。室内に居る虫もナノ君がナノマシン化するので、変な虫も居なくなる。
「外で切ってきた木を、隙間に嵌め込むのは良いかな?」
するとミリィちゃんは不思議そうな顔をしている。
「それなら平気ですけど....。」
ミリィちゃんからの許可が出たので、2人に家への設置をお願いした。
「それじゃ、家の事はマモリちゃん達にお願いしたから、他の事をしようか。」
家を直してくれる2人の頑張りに報いる為にも、美味しい料理を作らなければ。ユーイチはそんな気持ちで食事の準備を始めるのであった。
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後書き
家族の家を簡単に壊したり引っ越す事は難しいと考えていたので、初めて悩みました。
ありがとうナノ君。君のお陰だよ!!
次回はマモリちゃん。ナノ君の為のお食事回になります。タイトル通りですから。多分、今までで1番長くなります。
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