第4話
前回のあらすじ
初めてのキャンプを行うユーイチ。そして初めての食事を行うマモリちゃん。刺激物が嫌いな様で、主人格の身体を操作して排除する事に。
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話し合いの結果、今後は辛み成分は使わない料理を作る事になった。
マスタードを取り除いたサンドイッチも好評で、色々と味覚を試して感想を聞くと、甘みに対して感情的になったマモリちゃんである。
『ユーイチさんの状態から判断し、リラックス効果のある糖分を摂取する事を提案します。コーヒーなどのカフェインは、脳の活性化にも繋がりますが、脳のエネルギーとして、ミルクや砂糖などの糖分を多めに摂取する事を提案します。」
確かに脳の活性化やストレスに良いとされるけど、そんなにバナナやチョコレートを出さなくていいから。目の前に大量に出される食材。
まぁ急ぐ目的も無いし、のんびりとお湯を沸かしたり、明日の朝食の下拵えでもしながらマモリちゃんとの会話を楽しもう。デブ猫はミルクをペロペロと舐めている映像が視線の端にいる為、可愛らしい。
「マモリちゃん。マモリちゃんは今の状態とかで頑張ったら何が出来るの?野生の猪とか襲ってきたら、勝てたりする?」
ケトルでお湯も沸いてるし、改めてコーヒーを作りながら話しかける。マモリちゃんお勧めは、500mlの買っておいた牛乳をコップ半分入れて、砂糖3本入れて飲むのが好きなようだ。
これコーヒーじゃなくコーヒー牛乳じゃないか?まぁ嫌いじゃないし、美味しく飲もう。
『ユーイチさんの記憶に残っている形状の猪や熊などでしたら、問題有りません。現在のナノマシンによる索敵にて、似たような生物も発見しておりますが、現在の範囲での危険度は低いと判断致します。優先してナノマシンにて処理しますか?』
「狩り尽くさなくて平気です。彼らも生きてるんだし、敵対してるわけじゃないから。」
聞くと、生物とかを材料になんでもナノマシンを材料に色々と作れるんだよな。うん。怖いからあまり考えないようにしよう。俺がしっかりしてれば良いんだ。
あ。財布に入っている1万円札なら複製出来るかな?いや、番号が同じで完全にバレる。無事に地球に戻れたら、500円玉を大量に複製して大金持ちになろう。そんな物欲に塗れたユーイチ。そこにマモリちゃんから伝えられる。
『ですが、不安要素がいくつか存在します。』
「不安要素?何かあるの?」
『はい。前回の融合の際の記録にて、周りの鏡のような物体に、未確認生物が存在しておりました。映像を流してもよろしいですか?』
あ、例の記録の中にヤバそうなのがいるのね。
「お願い出来る?」
脳内に浮かぶのは、先ほど見せて貰った腹の立つ少女。そして周りに浮かぶ鏡の中には多くの景色がある。
その中の数点がピックアップされると、ゴブリンが人を襲う映像や、人がゴブリンを襲う姿。ドラゴンっぽいやつや、ビームを放つ魔法使いっぽい人とか色々といる。ファンタジーだな。
『あの情報が本物の場合、ここは危険度の高い世界となります。現在、確認されている制限として、ナノマシンの複製個数制限・最高索敵範囲は直径10キロ程度と推察されます。
風などの影響で範囲外に出るナノマシンは、自動的に微量の有機物として変換されております。
再度提案します。現状の不確定要素がある現状、現在の範囲内の索敵に検知された危険生物をナノマシンにて処分しますか?』
「大丈夫です。やらなくていいです。」
『しかし、ナノマシンも無敵ではありません。映像で見た広範囲による攻撃に晒された場合、消滅の危険性がある事を報告します。
その際の相手のエネルギー源も不明です。』
うん。ナノマシン君達も無敵じゃないのか。
「ナノマシンって、どうやれば負けるの?」
『鋼鉄の単細胞生物の集合体と考えて頂ければ判りやすいかと。映像で確認されたレーザー。マグマ等の高熱などがナノマシンを全て同時に消滅させられると、私達の死になります。それ以外でしたら複製・修復を行いユーイチさんとして復元可能です。
初めてユーイチさんと会った空間では、物質は極端に少なく、ナノマシンの複製は不可能でした。その際に空間を確認しましたが、生命維持に必要な酸素も一切存在しませんでした。融合による共存以外にユーイチさんが生存する事は不可能な状態でした。』
うん。相当な場所に行かなければ、生きていける事が判った。
(凄いマモリちゃん!と覚えておくか。)
(口頭でのコミュニケーション以外に、思考での意思疎通を確認致しました。)
(あ、ホントだ。聞こえる?)
(はい。現在確認出来ているスペックとして、ユーイチさんの反応速度・全体的筋力・耐久値の全てが向上しています。
スペックの確認が必須と進言します。現在の肉体は有機物で構成されており、理想的な筋肉の増加。部分的増量。ナノマシン集合体への変化による肉体操作など可能です。
知能など、現在は上位者権限にて強化する事が出来ないようです。)
(うん。マモリちゃんがチートだわ。)
そんな事を脳内で喋りながら、焚き火の真ん中に石の台を置いて、その上に鍋を置く。
鍋に油を入れてから、大きさを揃えて切った豚肉を炒める。そうしたらニンジン、ジャガイモ、玉ねぎを適当な大きさに切って、軽く炒めてから水とカレールーを入れて混ぜる。
そうだ。試してみよう。
(ナノマシン君。定期的に鍋の中身を混ぜておいてくれるかな?)
ユーイチの目の前で宙に浮かぶお玉。
(うん。このお玉使っていいから。そうそう。)
俺の身体を持ち上げられるナノマシン君は、お玉を混ぜるのも楽勝な様子。
(あ、虫とか入らないように気にしておいてくれる?)
雰囲気で伝わってくる。虫や生物が近づいた際はナノマシン化処理しておく?テントの付近も?
(ありがとうね。200m範囲に意思疎通の出来そうなのが近づいたら、マモリちゃんに報告して起こしてくれる?それ以外のヤバそうなのが近づいたらナノマシンを使って栄養にしていいからさ。)
ユーイチは椅子から立ち上がると、テント設営の続きをしようと立ち上がる。だがテントを見ると、ナノマシン君達がテントの組み立てを完成させてくれた。寝袋も準備してある。
ヤバい。便利過ぎてダメ男になるぞ俺....まぁ今日はしょうがない。
「ありがとねマモリちゃん。ナノマシン君。また明日ね。おやすみ。」
『おやすみなさい。ユーイチさん。』
靴などを脱いで横になると、疲れていたのか、すぐ夢の中へと旅立つユーイチなのであった。
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第4話 ナノマシン君。ありがとうございます。
読んで頂きありがとうございます。星や評価を貰えるとチャールスJはとても。とても喜びますので、よろしくお願いします。
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