伝染病を患い、あばらやに隔離された娼婦・マーゴットさんの物語。
うわあああエグい! 作品紹介文にある通り、食事中に読むには本当に不向きな作品です。不快でグロテスクな感じをこってり煮詰めた、暗黒寓話のようなお話。
どんどん病状が進行してゆく、その描写のエグさがすごい。ゾワゾワくるイヤ〜な迫力があるのですけれど、でもそれ以上に好きなのが、中盤以降の「事実の不明瞭さ」。病のせいで主人公の認知があやふやになっているのか、それともなんらかの忌まわしき怪異の仕業か、個人的にはその両方と解釈しているのですけれど、その混じり合う感じが不気味で最高でした。
現実の事象として何が起こっているのか、わかりはするけど断定はできない、くらいの展開の中で、でも物語全体の流れに感じる大きな納得感が本当に好き。特にこのお話の終着点、キャッチコピーにもなっている「善いことをしたわ」の部分。確かにそうなるべしという小気味よさが……いや、状況が状況なので「小気味よい」という言葉は絶対に違うのですけれど、でもストンと腹に落ちる感覚というか。
単にエグさや不快感を与えてくれるだけでなく、物語の流れにも力のある作品でした。読後にしばらく尾を引く「痰」の意識がグロい!