金曜なんて大嫌い【アルコール×休日出勤×土砂降り】
金曜日は嫌いだ。
窓に映る自分の姿を見て、小さなため息をついた。周りに分からないように、そぉっと…。
終電間際の下り列車。
何だか金曜日は一際混んでいる気がする。
プシュッという音に思わず振り向くと、車内で晩酌を始めるおじさん…。
…え?この車内で飲むの?!
寿司詰めではないにしろ、込み入った車内にも関わらず缶ビールをチビチビと、ついばみ始める。
驚きと呆れと不快感で目眩がしそうになったところへ、スルメの咀嚼音がビートを刻む。
たまらず、イヤホンを挿し、目を閉じた。
学生時代好きだったバンドの曲が流れ出す。
それが沸き立たせるだろう熱い血潮は、月曜から重ね着し続けた厚い疲労の下に眠る。
金曜日は嫌いだ。
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ふと目を開けると、疲れた顔の自分がこちらをじっと見つめている。
思わず目をそらすと、先ほどの晩酌おじさんが真っ赤な顔をして、ナメクジのように扉に貼り付いていた。もうスルメでビートを刻むのをやめ、鼻から不愉快な重低音を響かせる。
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降車駅に着くと、外はバケツをひっくり返したような雨だった。
傘を買うべきか迷っていると、携帯が鳴る。
明日も出社して欲しいとの依頼だった。
雨は激しさを増している。
私は熱いシャワーを浴びたくて、足を踏み出した。ホコリとともに、疲れも流れ落ちる気がして。深く深く息を吐く。
金曜日は大嫌いだ。
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