第18話 ダンジョン攻略?

「全く呆れるほど清々しい威力だな」


 俺は崩れた建物を見て言う。


 幾つか柱が残ってはいるが、ほとんど綺麗に建物は破壊されている。


「俺はそれをくらったんだけどな」


 後ろからプラナが何かを言ってくるが無視する。


「それじゃあ作業を始めるぞ。細かい調整は後にして、とりあえず使えるレベルまで俺が一人で作る」


 俺はそう言って、『空間』から材料を出す。


 今までの俺なら、かなりきつい作業だったかもしれない。


 だが今の俺は、大量の魔石を取り込んで魔力の総量が爆発的に増えている。


 作業は問題無く進み、あっという間に建物の骨組みが完成した。


 落ちていた瓦礫は全てカルボが処理してくれた。


 本当に優秀な奴だ。


 俺が作業している間に他の四人には、辺りの探索や、他のコロニーの探索を頼んだ。


 全体で生活する場所は学校の周りだが、俺達はこの辺りで作業をすることが多いので、警戒は大切だ。


 プラナには、辺りの木を伐採して土地を広げてもらっている。


 それからさらにしばらくして、建物の大体の構造は出来た。


 カルボが作ってくれた設計図はとても分かりやすい。


「おい皆、そろそろ建物が完成する。ぼちぼち戻って来てくれ」


 俺は事前に渡していた通信魔具で、皆と連絡を取る。


 皆が集まり終えるころ、建物が完成した。


「おー、すごい凄い」


 丈が関心する。


 他の皆も、建物に入ったり触ったりして関心している。


「とりあえず、飼育小屋とここにあった家と同じ物を二つと、大きめの家を一つ作った。魔力も消費が激しくて疲れたが、まだやる事はある」


 俺が皆に言う。


「今のままだと、そんなに長い間生活していく事は出来ない。とにかく人でが足りないんだ。そこを何とかしないと」


 俺が皆に相談する。


 皆は頭をひねっている。


 俺はふと辺りを見渡す。


 カルボが居ない。


「おいイルファ、カルボは何処だ?」


 俺がイルファに聞く。


「か、カルボなら、た、多分、他のコロニーの探索に行ってる、と、思う」


 カルボが一人で探索?


「何処のコロニーだ?」


「た、多分、連さんが住んでいた町の、は、反対のコロニーに会ったゲートの、な、中だと

思う」


 イルファが答える。


「あのコロニーの奥?俺もあそこに少し入ったが、あそこにはダンジョンがあっただろ」


 丈が答える。


 ここにあった壊れたゲートは、ここに戻って来た時に修復した。


 それにしてもダンジョン?


 俺は丈に連れられて、ゲートのくぐって隣のコロニーに向かった。


 どうやらこのコロニーはあまり大きくないようだ。


 入口からでも、反対側の壁が見える。


 特に何もなく、あるのは周りを囲っている岩の壁と所々に突き出ている岩だけだ。


「お前が言ってたダンジョンはおの奥か?」


「ああ、あの奥だ。戻ってから報告しようと思っていたんだが、まさかカルボが勝手に行ってるなんてな」


 丈が答える。


 イルファに聞いてみた所、「少し向こうを探索してきます」と言って一人で行ったのだと言う。


「全く、完全自立型にしても勝手に動きすぎだなあいつ」


 俺が言う。


「でもイルファさんの言う事はちゃんと聞くよね」


 セルシウスが言う。


「着いたな」


 俺達はゲートをくぐって、ダンジョンの目の前まで来た。


「見た感じ、鉱山系のダンジョンだな」


 プラナが言う。


 俺がダンジョンに近づく。


「既にボスがいないダンジョンだ、でもまだ何かの気配がある、何があるか分からないぞ」


「ぎゃー、ぎゃー」


 その時俺の頭の上の不死鳥が鳴く。


 ダンジョンの中から気配がする。


「皆気を付けろ」


 俺が皆に呼びかける。


「おや、マスター」


 出て来たのはカルボだった。


 出て来たカルボにイルファが抱き着く。


 よほど心配だったらしい。


「そんなに抱き着かないでくださいマスター。お召し物が汚れますよ?」


 よく見るとカルボの体のあちこちに傷が付いて汚れている。


「どうしたの?何があったの?」


 イルファが子供を心配する母親の様に、カルボに話しかける。


「マスターご安心を、何も問題ありません。この程度の傷直ぐに治ります」


 カルボがイルファに傷を見せる。


 するとゆっくり傷が塞がっていくのが分かる。


「一体どうなってんだ?」


 丈が聞く。


 イルファも知りたそうにしている。


「これは私の『異能』です。私の『異能』は『万能な肉体』、体の傷は直ぐに塞がり、肉体の強度も強化され、身体能力も強化されます。私が生んでいたロボットは、『眷属生成』の能力で生産した物です」


 カルボが淡々と説明する。


 何だそのチート能力、完全に化け物じゃねえか。


 俺は思わず心の中で突っ込んでしまう。


「既にこのダンジョンはクリアしました、これはマスターへのプレゼントです」


 カルボが、てに持っていた何かを差し出す。


「わあ!」


 それは大きな宝石だった。


 おそらく、ダンジョンの中で手に入れた物だろう。


 イルファはとても喜んでいる。


「それにしても、たった一人でダンジョンをクリアするなんて驚きだな」


 丈が言う。


「ああ、本当だよ。俺やプラナでも一人でクリア出来ないこともないが、ロボットが一人ってのはかなり凄い」


 カルボが俺の方を向く。


「一人ではありません」


 カルボがそう言うと、ダンジョンの中から宝石を抱えた大量のカルボが出て来た。


「現在の私は、合計で125体います」


 ダンジョンから出て来たカルボは、球体のままのカルボが多かったが、人型のカルボもちらほらいた。


「おいおいおいおい、こいつの体どうなってんだよ」


 俺は思わず、一歩退いた。



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