第16話 家作り
「おいおい、何でこんな所に不死鳥が入ってるんだ?」
丈が俺に聞いてくる。
「俺にも分からねえよ。多分エリウス先生か他の誰かが捕まえたのを、飼育小屋に置いてたんだろ。もう一つのロボットの事も考えると、何かの景品として用意してたのかもな」
ゲージの中身を見ながら俺が答える。
多分開国記念日の景品だろう。
「攻撃はしてこないのかにゃ?」
比奈が俺に聞いてくる。
「どっちも攻撃してくる感じは無いし、攻撃してくるような奴はあんな所に置いてないはずだ」
俺は二重の箱を開けた。
「・・・・・」
箱を空けても、不死鳥もロボットも攻撃してくる気配は無い。
「おー、カッコいい!」
セルシウスが興奮している。
「ガキじゃ無いんだからそんなに興奮するな」
俺がセルシウスに言う。
バタバタ
不死鳥が俺の頭にとまる。
「?」
何で俺の頭にとまったんだ?
「ギャー、ギャー」
俺の頭の上で不死鳥が泣いている。
「あ、あの」
イルファが俺に話しかける。
「どうした?」
「この子、連さんの事親だと思ってるみたいです」
「「え?」」
その場の数人が反応する。
「多分このゲージに入れられた時には、卵の状態だったのかもな」
この不死鳥を手に入れた人を親にして、育成しやすいようにしてたんだろう。
ロボットの方はイルファを主人と認識したようだ。
イルファの顔の周りを飛んでいる。
「イルファを主人だと思ってるみたいだな」
イルファは嬉しそうにしている。
「よかったな」
俺がイルファに言う。
「このロボットは何ができるんだ?」
丈が俺に聞いてくる。
「俺には分からない、『異能』を調べる為の『異能』や魔具を使って調べないとな」
俺が歩き出す。
「さあさあ、思ってたより時間を食っちまったから今はこの事は置いといて、作業を始めるぞ」
気になる事はあるが俺達は作業を始めた。
「全員分と家を建てるのには時間が足りないから、大人数が入れる簡易的な家を建てるぞ」
俺が五人に指示を出す。
「とりあえずここにある瓦礫を全部どけてくれ、俺は家を建てる材料を探す」
「分かった」
丈が反応して、皆が作業を始める。
「さてと、何か良い材料は無いかな」
俺が瓦礫の中から何か使えそうは材料を探す。
俺の能力なら破片さえあれば十分な材料になる。
とりあえず鉄と木を回収して、皆の所に戻った。
「おー、もう片付けたのか」
戻ってみると、既に大きめの家を建てる分の土地が片付いていた。
「ああ、でもこれは俺達じゃなくてこいつがほとんどやったんんだ」
丈がロボットを指さす。
最初は丸い球体みたいな見た目をしていたが、今は人型になっている。
大きさは俺より少し大きい。
「こいつがやったのか?どうやって?」
俺が丈に聞く。
「ここら辺に落ちてた瓦礫をこいつが食ったんだ」
ロボットの方を見ると、今も瓦礫を食べている。
「何かを食って成長する『異能』か?」
俺が呟く。
どんな『異能』なのかは、本人に聞くか調べないと分からないが、話しかけても反応はするが返事は帰って来ない。
「まあ、ここには無くなって困る物は無いから大丈夫だろう」
主人のイルファは面白そうにロボットを眺めている。
「よし、ある程度スペースが出来たからこの辺りに簡易的な住居を作るぞ」
俺は回収してきた材料を取り出す。
設計は特に決まった物は無いが、とりあえず寝泊まり出来る物が立てられればいい。
「何か建物に関していい案はあるか?」
俺が三人に聞く。
「うーん、特にこれといった案は無いけどある程度部屋の数がある建物がいいかにゃ」
比奈が言う。
「俺もそう思う、個人のスペースと全員が使えるスペースに分けるべきだと思う」
丈が答える。
「ベッドで寝たい」
セルシウスが答える。
イルファは今もロボットを観察している。
「じゃあとりあえず複数人で寝泊まり出来るサイズの部屋をいくつかくらい用意して、後は全員が使える大きめの部屋をいくつか用意すればいいか」
俺は集めて来た材料を手に取る。
「まずは骨組み作りからだな、危ないから離れてろ」
地面から用意した方がいいんだろうが、ここの地盤はもともと強固な作りをしているから大丈夫だろう。
俺は材料を巨大化させて簡単な骨組みを組んだ。
元々物作りが好きなので、少しはどんな風に作ればいいのか分かる。
骨組みを組んだ後は、床を作って壁を張った。
家の中の家具はとりあえず、簡単な家具だけを作った。
他の物は追々作っていけばいいだろう。
瓦礫の片づけに行った人たちが戻ってくる頃、家が完成した。
簡易的な物だから、今後は人と土地を増やしてもっとしっかりした物を作らないといけない。
「「え!?」」
瓦礫をかたずけに行っていた人達は驚いた。
「おいおい、これお前達が作ったのか?」
プラナが聞いてくる。
「そうだよ、結構な魔力も消費してくたくただ。お前らも中に入って休め」
動揺しながらも、戻って来た人達は中に入って行った。
とりあえず、住居は確保できた。
問題は食料だ。
そこまで大人数では無いが、これだけの人数分の食糧となるとそこそこ用意しないといけない。
「食料源の確保が必要だな」
俺はそう呟いて、他の三人と不死鳥を連れて建物の中に入って行った。
「今日は作業お疲れ様でした、皆さん疲れてると思うので適当な部屋えを選んでそこで休んでください」
適当な挨拶を済ませた後、比奈と丈とイルファとプラナとセルシウスを連れて外に出た。
「食料、用意しないとなー」
俺達には他にもやる事が山積みだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます