第15話 ゲージの中身
「なるほど、そんなことがあったのか」
俺の説明を聞いた後、プラナが少し暗くなった。
「おいおい、そう暗くなるなって。お前はそんなキャラじゃ無いだろ?」
暗くなったプラナに俺が話しかける。
「それに、今は落ち込んでる場合じゃない。一刻も早く、生き残った人達への待遇を考えて今後の方針を決めないと」
「そうだな、確かにお前の言う通りだ」
俺の言葉を聞いて、プラナがいつもの調子に少し戻る。
「そうだ、仮にもお前は生徒会長なんだからここにいる人達のまとめ役を頼んだぞ」
俺はそう言いながらプラナの方をポンポン叩く。
「仮って言うな、俺はちゃんとした生徒会長だ」
プラナが俺にチョップをする。
「痛てえな、お前は自分の力を考えろ」
プラナの『異能』は、『超再生』。
普通の『再生』の『異能』なら致命傷の傷でも、問題無く再生する事が可能な能力だ。
それに付け加えて、『身体能力強化』の『異能』と『斧使い』の『異能』を持っている。
元々魔力が多く、肉体も強靭な為『異能』を相まってかなり強い。
「お前はあそこで何をしていたんだ?何か変な言葉叫びながら出て来てたし」
「ああ、俺はあそこで昼寝しながら音楽を聴いていたんだ。そしたらいきなり大岩が降ってきて昼寝の邪魔をされた上に、音楽を流していた機械までぶっ壊されたんだ」
俺の質問にプラナが答える。
(こいつ俺らがテストやってる間に何やってんだ?)
そんなことを思いながら、俺はプラナに頼み事をした。
「さっきも言ったが、あそこにいる人達をまとめておいてくれないか?ここのかたずけをするつもりなんだが、これだけの規模だと手が足りない」
「分かった、あの人達のまとめ役は俺がする。細かな指示は俺がするが、大まかな説明はお前がやってくれ」
「分かった」
プラナの頼みに俺が答える。
俺はその後、プラナに大まかな指示を出した。
とりあえず危険では無い範囲で瓦礫のかたずけや、現状の確認と家族が『楽園』の外にいる人はいないか聞くように頼んだ。
プラナは俺の話を聞き終えると、直ぐに他の人たちの元に行き、指示を出していた。
「あのー、私たちはどうすれば?」
学校の生徒らしい女の人が話かけて来る。
生き残った人たちの中で、怪我人だけはここに残ってもらった。
治療をするためだ。
「見た所、貴方達の傷は致命傷ではありません。なので、この薬で治ると思います」
俺は、『空間』からいくつかの治療ポーションを出した。
襲撃者の死体から回収したものだ。
怪我人達は、渡した傷薬を使って傷を治した。
全員問題無く傷が癒えたようだ。
「大丈夫みたいですね。ここには家族が『楽園』の外にいる人はいますか?」
「「・・・・・」」
どうやら一人もいないようだ。
家族が生きているなら、その人をどうするか考えていた所だが問題無いようだ。
「つらいのは分かりますが、ここは我慢して他の人達と一緒に作業をお願いします」
俺はそう言って、残った人達を作業に行かせた。
セルシウスが助けた人は、さっきの母親以外は全員学生だった。
おそらく、学校の近くにいた人しか助けられなかったのだろう。
「私達はどうするのかにゃー?」
比奈が俺に聞いてくる。
「とりあえず俺達は、ここいる人全員分の住居作りだ。付いて来てくれ」
イルファが何か言いたそうにしていたが、結局何も言わなかったのでスルーした。
俺は三人とセルシウスを連れて、学校の校門を出て直ぐにある、住宅街に向かった。
「うわー、ここも酷いね」
セルシウスが言う。
「ああ、そしてここにも死体は無い」
それに俺が答える。
やはり死体は全て回収されているようだ。
「とりあえずここにある瓦礫をどけて、新しい家を建てる。人では足りないが仕方ない」
「分かった」
「うにゃ」
「オーケー」
「うっうん」
四人が答える。
「ところで、さしつかえが無かったら三人の『異能』を教えてくれないか?作業の分担がしたいし」
三人が顔を見合わせる。
「いいよー、丈とイルファにもあまり話してないからいい機会だしにぇー」
「別に構わない」
イルファが頷く。
「じゃあ、私からね」
比奈が鎖を手元に作り出す。
「私の『異能』は『紐生成』と『操糸』。この二つの『異能』は、生まれた時から持ってる物だから変更できないよ。『紐生成』は、紐状も構造物を生成する能力、『操糸』は紐状の構造物を操る能力だよ。後は荷物を持ち運ぶ用の『収納』くらいかな」
比奈が『異能』を説明する。
「次は俺だな」
丈は銃を生成する。
「俺の『異能』は『嘘発見器』。これが生まれながら持ってる『異能』だ。この銃を作る『異能』は、冒険の途中で拾った『核』を取り込んだ時に手に入れた物だ。俺はこの二つしか持ってねーよ」
丈が持っていた銃を消す。
どうやら消したり出したりは自由のようだ。
最後にイルファが前に出る。
「わ、私の『異能』はこれです!」
すると目の前にいきなり木の扉が表れる。
中には大量の動物が入っていた。
「うおっ、すげえ」
丈が驚く。
「わっ、私の『異能』は、生き物を収納する『キャリーケース』と、い、生き物を操る『生物支配』です、あ、後は全ての生物の言葉を理解する『仲良し』という『異能』です!」
「へえ、どの能力も生き物に関する能力だな」
俺が呟く。
「あ、あの。これっ!」
イルファが生き物を収納している空間から、二つのゲージを取り出して俺に差し出した。
どうやら生き物以外も収納可能らしい。
手渡された物を見ると、それは俺が『楽園』から持ってきた物だった。
「あー、無くなったのかと思ったらイルファが持ってたのか」
イルファが頷く。
比奈によると、俺と一緒に回収した後、イルファに預けていたようだ。
よく見ると、中身が二重構造になっていて中がよく見えない。
ただ、最初に見つけた時のように中からおとがする。
俺は二つのゲージを開けた。
俺は驚いた。
中に入っていたのは、不死鳥とロボットだった。
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