第7話 初めての拷問
二人の『核』を取り込んだ俺は、ガエルの『異能』でガエルの死体を回収した。
こんなところに放置していたら、いずれ朽ちてしまうからだ。
死んだらただの肉塊だとわかってはいたが放置はできなかった。
死体を回収した後、俺は襲撃者のいた場所ではなく学校のテスト合格者へのプレゼントが置いてある部屋に向かった。
ここには、大量の『魔石』と『再生』の『異能』が入った『核』が置いてある。
どうせ、このプレゼントを受け取る者もいないし、襲撃者に奪われるくらいならと思い、俺はそこにあった全ての『魔石』を全て取り込み、『核』も全て回収した。
ガエルを殺した魔人は、襲撃に来た他の魔人と比べてかなり強い魔人だったので、このくらいの備えが無いとかなり厳しい。
人型の魔物を魔人というが、魔物と人間の違いは、魔物は心臓とは別に体に魔力を供給する、『魔石』があるということと、基本的な運動能力や魔力の量が魔物の方が多いということだ。
『魔石』は魔力が結晶化した物で、魔物にとっては無くてはならない大切な物だ。
全ての『核』を回収した俺は、ガエルが攻撃された場所に『空間』で移動した。
移動した場所にはもう襲撃者はいなかったが、まだ近くに気配を感じた。
俺は襲撃者の気配をたどって、襲撃者がいる場所の近くまでやって来た。
襲撃者は何かを探しているようで、色々な部屋に入ったり瓦礫をどかしたりしていた。
背後から奇襲しようと近づくと、二人が俺に近づいて来た。
「よお、そんなんで隠れてるつもりかー?」
近づいて来た男の一人が話しかけてきた。
「ばれてたか」
そう言って俺は瓦礫の陰から出て来た。
「当たり前だろ?お、お前は知ってるぞ、池崎 連だな?」
もう一人の男が話しかけてきた。
「何で俺の名前を知っている?」
「お前の学校の校長と教頭から聞いてよー、ここの理事長と仲が良かったんだってな」
「校長と教頭の事を話すってことは、俺を生かして返すつもりは無いってことか?」
「ピンポーン!大正解!ご褒美に楽に死なせてやろう。」
「言っておくが抵抗は無駄だぜ?俺を含めてここにいる奴は全員『ランク7』だ。まあそもそも、俺達には『ランク』の概念なんて無いけどな。それにもうすぐ『ランク』なんて無くなるだろうし」
何だか良くわからない事を最後に言ってはいたが、『ランク7』だというのは本当だろう。
魔人は全員『ランク7』なのは普通だ。
こいつら以外の魔人の襲撃者は、『ランク』こそ『7』かもしれないが、実力はガエルやナナでも対処できるレベルアだ。
中には『ランク7以下の襲撃者もいるかもしれない。
こいつらは間違いなく『ランク7』だ。
でも実力は他の襲撃者より少し上だ。
「あいにく俺も『ランク7』なんでね」
「ふむ、どうやら本当のようだな、情報とは違うみたいだ」
「だが、お前の『異能』は分かっている。お前の『異能』『爆弾魔』は触れたものを爆弾にする能力、爆弾にできる物はお前の体の輪郭から2メートルに完全に収まるサイズ、爆弾にした物の見た目は変化せず、爆発条件は接触、時限、リモート、これも校長と教頭からの情報だ」
「能力さえ分かっていれば、対策は出来る」
「なるほど・・・」
相手の能力が分からない以上、油断はできないがその程度の情報なら問題ない。
「さあ、時間が勿体ないし今すぐに殺してやるよ。抵抗しないでくれよ?」
「断る!」
そう言って俺は、『空間』から石で作った爆弾を取り出して投げつけた。
すると一人は風、もう一人は剣で爆弾を弾いた。
剣を使う奴は、剣の刀身が伸びて変形していたのでおそらく『異能』だろう。
爆弾を弾いた二人は真正面から俺に突っ込んで来た。
俺はまた、『空間』から石を取り出して二人に投げつけた。
「効かねーよ!」
そう言って二人はまた爆弾を弾く。
「「ゔゔ!」」
俺に攻撃が届くまであと少しの所で二人が止まった。
「こ、これは!?」
二人は自分の体を見る。
「どうなってんだこりゃあ!?」
二人は、変形した岩に体を貫かれていた。
「き、貴様『岩』の『異能』も使うのか?」
「オラ!」
一人が話しかけている隙に、もう一人が風の槍で攻撃してきた。
「はい残念」
俺の前に出て来た岩の壁に攻撃が塞がれる。
「ちゃんと相手が『異能』をいくつ持っているのか、確認してから戦わないからこうなるんだぞ、相手をなめすぎだ」
「糞がー!」
二人は岩の槍をへし折り、刺さった岩をそのままにして突っ込んできた。
「残りの『異能』は、『肉体強化』と『再生』って所か」
小さく呟いた俺は、『空間』で少し後ろに移動し、『異能』を発動した。
「ぐあ!!」
また二人が体を変形した岩で貫かれた。
「くそぉ、四方を壁に囲まれたこの場所じゃあ、連携も出来ないし奴に有利すぎる!」
俺は二人の手元に向かって石を投げ、『異能』形を変化させて二人の手を切り落とした。
「ぐっ!」
「剣は貰うぞ」
そう言って俺は『空間』で剣を回収した。
「楽に死にたきゃ早く吐け、お前たちは誰の指図でここにきた?」
二人に向かって俺が問う。
「けっ、誰でもいいだろ!知りたきゃこっちに来なよ!」
俺はその辺の石を二人の所に投げ、『異能』で変化させて二人に突き刺した。
「ぐあ!」
「拷問はやった事ないが、早く戻らないといけないんだ。どんどんいくぞ」
俺は次から次へと、二人の体に変化させた岩を刺して拷問した。
「まだ吐かないのか、じゃあ」
俺は剣の刀身を変形させて、二人の手足を切り落とした。
「うわああああ!」
「そ、それは俺の・・・」
襲撃者の一人が呟く。
「口と頭があれば大丈夫だろう?ほら、もう傷口が治り始めてる」
一人が何か言うのを無視して俺は拷問を続けようとした。
その時後ろから声がした。
「おいおい、中々面白そうなことやってるじゃないか。俺も混ぜてくれよ」
一人の男が近づいて来る。
「リ、リーダー!!」
拷問中の二人が叫ぶ。
俺は怒りと喜びを感じた。
ガエルを殺した奴だ!
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