12 野良ネコの反乱?
手を引かれてものすごい速さで走った。これなら運動会でもぶっちぎりの一位を取れると思う。
ロシアンブルーに帰りつくと、ナナちゃんが「みゃぁー」と
もう足がガックガクで割れそうだし、イスに
お
「とんでもないことしてくれやがって。しかも
クロツキはさっき『人間は自分のことしか考えないし、
だって
「もう暗くなるし、わたし帰らなきゃ」
次に何か言われる前に、わたしは
体の中がチクチクもやもやする。夕飯を食べる間も、お
どうすることもできなくてベッドにうずくまっていると、いつの間にか
「なにこれ…!」
木曜日の朝、リビングに下りると、いきなりママの
「だれがやったのこれ? もしかして
「最近野良ネコなんて見ないし、一体どこのネコがやったのかしらね!」
今までこんなことはなかったのに。
しかも、うちだけじゃなかった。
「えっ、さくらの家も?」
学校でその
「うん。モグラでも出てきたんじゃないかと思ったよ」
けれどそれだけでは終わらなかった。金曜日の朝は、庭がウンチだらけにされていたんだ。
「やっぱりさくらの家も?」
「うちだけじゃなくて
これはどう考えてもおかしいから、日曜日に
その夜は、ネコの
何なの!? ネコたちどうかしちゃったの?
こういう時に
「どうしたの? 昨日ネコがうるさくて眠れなかった? わたしもだけど」
「うん…。それで朝ね、近所の人から言われたんだ。おたくのネコなんじゃないですかって。
言いながら泣き出してしまった。
わたしの一番大切な親友のさくら。ネコだけじゃなく動物が大好きで、
「よしっ」
家に帰って昼ご飯を食べると、わたしはロシアンブルーへ向かった。元ネコのクロツキなら何か知ってるかもしれないでしょ。
あれから気まずくて行くのをためらっていたけれど親友のためだもん。わたしだって行動しなきゃ。
お店はちょうど開店したばかりの時間で、ドアが開いてメニューの黒板が出ている。
「おおお
「いらっしゃいま…、あぁ」
目が合ってから、お
ほら、何か言わなきゃ。何か言わなきゃ。
「あの、手伝いに来たんだけど…」
ちがうちがう! 言わなきゃいけないのはそうじゃなくて!
「お
はぅう! やっぱ
クロツキはわたしに背を向け、オーブンの中身をじっと見つめている。バターの
けれどさくらのためだし、それに頭から
『人間には言葉があるじゃないか。伝えようとしたらきっと変われる。それは目に見えないほんの小さなものかもしれないけど、
クロツキがこっちを見ていない今がチャンスだ!
「あっ、あの、
言った!
「
クロツキは背中を向けたままだ。
なによ、わたしちゃんと
それからミトンをはめたネコの手で、オーブンから
やっと口を開いたのは、わたしにお
「スコーンっていうんだ。食べてみろ」
出されたお
「このジャムは何味?」
「アプリコット。あんずだ」
「これも作ったの?」
「ああ。ジャムは一つ作れば他のスイーツや
「ふぅん。いただきます…あれ、あんまり甘くないね。でもこのジャムがすごくおいしい!」
手に持ったほかほかのスコーン。キツネ色の
クロツキはわたしの顔を見てほんのちょっと
「大人向けだし、ミルクティーに合わせるから
大きなネコ口でかぷっ。ヒゲにクリームがついちゃったけどそれには
ヒゲにクリームをつけたネコ。やばっ、かわいいんですけど…
本当は気まずいはずなのに、
「ああああのねっ、
「
「
「考えてみろ。最近
「ううん。あ、前にここに
「あれはコタツの
「へー、コタツ彼女いるんだ」
「向こうは
えぇー、それでいいのコタツ?
「最近見なくなってた
「マンクス
「ああ、あいつらやっぱり何かしようとしてるな」
「パパに
「パパはマンクス
「スッキライザーZっていう
言いながら目の前にフッサフサの
「ッ!! 何すんだいきなり! シャーーッッ!!」
ふり返ったクロツキは鼻にシワを
「えへへ、気持ちよさそうだったからつい」
もう一度手を伸ばすと、今度はさわる前に気付かれてしまった。
「シャアアァァッ! しつこいんだよ! しっぽはダメだ!」
「ごめんごめん」
だってネコのしっぽってふしぎでかわいいんだもん。おかげで
でも家に帰ると、
「ママどうしたの!? 大丈夫!?」
ママがキッチンの
「んん…、お帰り」
体を
「どうしたの?
「なんでもない、ちょっと眠くて。こんなところで
そう言って夕飯を作りながらあくびばかりしている。ご飯を食べ終わるとまた
「ママ
「そうみたい、もう
けれどもお風呂を出て、十時を過ぎてもパパは帰ってこなかった。
しんとした一人きりのリビングに、わたしの
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