面白いですか?ぼくの話?



 料理も内装も全然パッとしない、キャンパスから近いというだけで選ばれる居酒屋。そこで騒ぐ若い男女達。所謂コンパってやつ。外は大雨で店の傘立てはコンビニのビニール傘で林の様になっていた。


「ここのキャンパスじゃないですよね。何やってるんですか?」

 カシスカクテルをカラカラと鳴らしながら話題を切り出してみる。


「あぁ、えっと火山やってます。院と同じキャンパスで。」


 答えると烏龍茶をグビッと飲んだ。彼の学科では女子学生は天然記念物よりも珍しい。緊張するのは必至。


「え?火山?マグマがドカーン!みたいな?」


 結構男らしく飲むんだなって思いながら聞いてみる。火山には興味ないけど。


「院生でそう言う研究をしてる人はいます。僕はリモートセンシングによる噴火速報ができないかと言う研究をしてるんです。より早く正確に情報を出せたら皆の生活を守れるので。日本って火山だらけなんで……あ、ごめんなさい。」


 青年の瞳からふっと輝きが消える。

「え?なんで辞めちゃうんですか?聞いてますよ?」

 綺麗な目で静かに熱く話す男子だなと思った。


「いや、つまらないかなと思って。」


「つまんなくないですよ。それで火山が?」


 カシスカクテルも烏龍茶も空になってるのに2人はずっと話続ける。




 風呂から出たら妻に小言を言われた。

「お風呂長いんじゃないの?映画観るって言ったよね。」


「ごめん、初めて会った時のこと思い出してた。」


「もう火山ばか」


『火山』 『雨』 『傘』

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