止まって走って


 会社の車で外回りに出たある日。入社したての頃なら想像も出来ないけど1人で仕事をこなせる様になった。時間は丁度昼休み。


『新しい道路ができたらしいぞ。少し走ってくると良い。』


 そう上司からSMSが来てた。新しかろうが道路は道路じゃないか。私はそう思った。でも後で「どうだった?」とか聞かれたらめんどくさいし行ってみる事にした。26の女子社員にどうだったとか言う上司きついなぁ。…言いかねない。


『新・幹線道路開通!利便と災害強靭化を新たなるステージへ!』


 車を走らせると大きな看板が見えてきた。なるほど大層な事である。

 別の車線はまだ完成してないみたいで片側だけ見渡すかぎりまっすぐズラーと赤い三角コーンが並べられている。黒く艶やかなアスファルトに煤の全くないコンクリート。なるほど、これは車を走らせるのが楽しい。社名が付いてなければもっと良い。車持ってないけど。…給料上げろ。


 私は車を止めた。多分この広くなってるスペースに災害時の緊急車両を止めるんだな。ふと空に目を向ける。新しい道路にどこまでも並ぶ赤い三角コーン。

その背景に真っ白な雲が流れていた。エモいじゃん。スマホのカメラを向けてみる。でも綺麗に撮れない。諦めて自分の目でみる。


「もう少し頑張ろうかな。」


 私は車を会社へと向かわせた。転職活動始めよ。



「車」 「雲」 「三角コーン」

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