#15
ナツミ、受け取った制服をベッドの上に広げる。
ナツミ (アルカレッド・フォーストに定型の制服は存在しない。それは魔法と心が密接な関係にあるからという。自分が一番自分らしい状態であるとき心が解放されて魔法が使いやすくなるらしい。だから、定型の制服で生徒を量産するのではなく、一番似合う服を入学時に見立ててもらえる。ただ、そうすると制服の役割である、帰属組織の視認可ができなくなるから、学校の統一として緑が基調のカラーリングと定められている。それも、学年ごとに若干緑の色合いが変わり、1年生が若草、2年生が緑、3年生が深緑と学年が上がることに緑に深みが帯びる。)
ナツミ、広げた制服をベッドの上でなんとなく形作る。
ナツミ(それでクレアちゃんの制服は…もちろん1年生だから若草が基調で…腕元が広がり手首で締まる白シャツと黄色のリボンが付属したネクタイ。それを留める若草の宝石がハマったブローチ。若草のアシンメトリーのフリルスカート。それから…右足がココアブラウンのショートブーツで、左足はつま先からももにかけて赤からブラウンのグラデーションのロングブーツ。若草のニーハイと赤のソックスガーターは右足に合わせる。あとは…金のエポレットが付いた赤のグラデのマントでしょ?皮手袋…は右手だけ。それと…)
ナツミ、赤の宝石が付いた金の刺繍が施されている赤いリボンを手に取る。
ナツミ(この宝石が寮証。アルカレッド・フォーストから届く推薦状に付属されていて、付属されてた当初はただの石ころの姿だけど、推薦を受けたものが触れるとその人の魔力に反応して石が勝手に寮を振り分けてくれる。その際にその寮のカラーの宝石に代わるのだ。決められた制服のないアルカレッド・フォースト魔導学校だけど、この寮証はどんな形に加工していても構わないから、身に着けておくことが義務付けられている。)
ナツミ、寮証のついたリボンを掲げ、光に透かす。すると、赤い宝石の奥の方に孔雀のような立派で美しい鳥が刻まれているのが浮かび上がってくる。
ナツミ(クレアちゃんの所属は赤がイメージカラーで朱雀が守護する南の寮。ヴァミラード寮。)
ナツミ、金刺繍の赤のリボンを並べた制服の一番上に置き、満足げにうなずく。
ナツミ(うん、全体的にアシンメトリーなのが絶妙なバランスをとっていて可愛い!みはるがデザインしてくれたそのままのクレアちゃんの制服だな!)
ナツミ、1つだけ着替えが残っていることに気が付く。
ナツミ(なにこれ…?)
ブレスレットと指輪が繋がったような装飾品。手首には赤から青のグラデーションをした美しい宝石がはめられ、指輪には黄色の宝石がはまっている。
ナツミ(どうやってつけるのこれ…?まぁいいや。)
ナツミ、姿見の前で保健着を脱ぐ。
ナツミ(うわぁ〜〜〜!!めっちゃスタイルいい!!たわわなOPPAI!ふわふわボディ!ボンッ・キュッ・ボンッ!この谷間に顔を突っ込みてぇ!!…ヤベェ、興奮が止まらない…!変態感が凄まじいが、二次元ボディ最高!これに興奮を覚えるなという方が無理な話だ、ヤベェ…!そういえば、キャラクターデザインをみはると話し合う段階で、クレアちゃんは男子の理想のスタイルで、シェイラちゃんは女子の理想のスタイルにしようという話になった。加えて、クレアちゃんはこれからの展開の都合上、身長を170cmに設定した。その結果こんな何頭身だかわからない素晴らしく完璧なモデルのような女の子が生まれたのか。二次元とはいえ恵まれた体型だなぁ。あたしの世界にいたら超人気モデル間違いなしだよ。こんな美少女が芸能人になっていないわけがない。)
ナツミ、ベッドに並べたものを順次着替え始める。
ナツミ(はぁ…。なつみちゃんも垢抜けてそこそこ美人になってきたなって思ったらこれだよ。こんな美少女見せつけられたら誰だって霞むって。はぁ、来世はこのくらい美少女に生まれ変わりたい…。どのくらい徳を積んだらなれるんだろう…。)
ナツミ、右足のニーハイソックスを履く時、クレアの右外ももの一部が白くて美しい肌とは違い、赤くなっていることに気がつく。
ナツミ(なにこれ?血?傷?)
ナツミ、赤い部分を擦る。
ナツミ(取れない…。クレアちゃんの美しい体にこんな跡があるなんて最悪…。…ん?違う!これ…Aだ!反対から見ていたから気がつかなったけど、クレアちゃんの刻印の赤の
そんなことを考えつつナツミは着替えを進める。
ノア「終わった〜?」
クレア「まだ、髪の毛が。」
ノア「髪ならいいじゃん。開けるよ。」
クレア「え!?ちょっ…!」
仕切りが向こう側から開けられる。急に窓からの光が差し込み、目が痛くなる。
ノア「…ビビった。着替え中かと思った。」
ナツミ(ノアの右肩、あれⅩⅢの刻印だ。)
クレア「着替えは終わっていたよ。でも、レディの支度の途中で開けるなんてヤボなんじゃないの?」
ノア「だって長ェんだもん。」
クレア「レディの身支度に時間がかかるのは当然でしょ?」
シキ「今のはノアが悪いね。」
リズ「あぁ。女性の身支度を急かすもんじゃない。」
ノア「うえぇ!?…あーはいはい、悪かったよ!ごめんなさいね、女心がわからなくて!髪は俺がやるからさ、どこか適当に座って。」
見ると、ベッド付近に置かれていた丸椅子はリズとキャロルが座っている。
キャロルが立ち上がる。
キャロル「それならここに座るといいよ。」
クレア「え、でも…。」
ノア「はーやーくー。立ったままだとやりにくいって。」
ナツミ(それはノアもクレアちゃんも身長が170cmで身長差がないからじゃ…。)
クレア、大人しく空いた椅子に座る。
ノア、クレアの背後に立ち、慣れた手つきで髪に触れ、ブラシで解かす。
ナツミ(ん…?ブラシなんて持ってた?魔法かな?リベラ先生もそんな感じで飴とかペンとか出してたし。)
ノア「ん〜何にしよっかな〜。」
ナツミ(声が楽しそうだな。こういうのが好きなのか、それとも久しぶりにクレアちゃんの髪をいじれることが嬉しかったりして…。)
ノア「桜、かな。」
クレア「何が?」
ノア「ん〜?ヘアオイル。」
ナツミ(ヘアオイル!?女子力高いな…。)
キャロル「へぇ、とても慣れた手つきだね。」
リズ「いつもながら見事なものだよ。」
ノア「へへっ、俺ん家美容院なんで。こんぐらいなら余裕っすよ。」
ノア、パパッとクレアの髪をポニーテールに束ねる。
ノア「リボン貸して。」
クレア「はい。」
受け取ったリボンも鮮やかに毛束に結びつける。
ノア「はい、完成。」
顔の角度を変えると後ろでサラサラと金糸のような美しい金髪が赤いリボンとともに揺れる。
桜の甘い香りが僅かに鼻腔をくすぐる。
ナツミ(いい香り…。)
ロイド「…ん?おい、腕つけ忘れてるぞ。」
クレア「?」
ロイドはクレアが握る先程の装飾品を指さしている。
ロイド「これは僕がつけよう。」
ロイド、クレアから装飾品を受けとると、左手をとる。
ナツミ(ロイドの刻印は右手の甲だね。うん、ⅩⅥ。)
その左手にはクレアと同じように、グローブの上から色違いの赤と黄色のグラデが入った宝石が目立つ指輪付きのブレスレットがつけられていた。
ナツミ(!?…ちょっと待って!)
クレア、髪を結び終わり後方に立っているノアを振り返る。
ノアの組まれた左手には、これまたロイドと同じように黄色と青の宝石が輝く装飾品を身につけていた。
ナツミ(お揃っち!?!?そんなの聞いてない!!何それ可愛い!仲良しかよ、解釈一致ですわ〜、マブダチ組尊い…。もうそんなに仲良くなってたの…?おばちゃん尊くて涙出ちゃう…。)
ロイド「…。」
クレア「…。」
ナツミ(3人それぞれちょっとデザイン違うお揃っちなのおしゃれで可愛いな。で、このグラデの宝石ってさ、クレアちゃんが赤と青、ノアが黄色と青、ロイドが赤と黄色ってさ、もしかして、いや、もしかしなくてもお互いの髪の色からとってるよね…!?はぁ〜…尊い…!!!!!!!!!!)
ロイド「…!」
ノア「…何、できないの?」
ロイド「…自分のはできるんだが他人のとなると難しいな…。」
ノア「はぁ〜これだから不器用なロイドくんは。そもそも初めの方はクレアにつけてもらってたしね。」
ロイド「今は自分でつけられる!」
ノア「でも人のはつけられないんでしょ〜?しゃーない、俺がやってあげるよ。」
ロイド、不服そうにノアと入れ替わる。
ノア、手際よくアクセサリーを取り付ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます