#3
なつみ 「え、ってか、普通に話し込んじゃってるけど、今日は4人なの?」
ちあき 「あ、さっき廊下で会ったけど今日は用事があるからパスするって。」
なつみ 「えー。今日こそ布教して乖離の箱庭沼に落とそうと思ったのにー。」
ふゆか 「まぁ、しゃーない。ウチも全員いる前提で組んできたけど。」
ちあき 「そうそう、それで別れるときにこれを託されたんだ。」
ちあき、制服のブレザーのポケットからスナップ写真を4枚取り出す。全員に配る。
ちあき 「前、みんなで撮った写真を現像してくれたんだって。」
その写真にはみはる、なつみ、ちあき、ふゆかが各々ポーズをして楽しそうに仲良くしているのが映し出されている。
みはる 「お~!」
なつみ 「へぇ~!さすがだね。よく撮れてる。」
ふゆか 「おっ、スマホじゃなくても結構盛れてるじゃん。」
ちあき 「まぁ、そんなわけで遅刻したけど許して。」
なつみ 「撮ってくれたのはちあきじゃないでしょ。」
ふゆか 「まぁまぁ、メンバー揃ったし、さすがにそろそろ始めようよ。」
なつみ 「そうね・・・。」
なつみ、席から立ち上がるとわざとらしく咳払いをする。
なつみ 「諸君!教卓の近くに集まって座り給え!」
なつみ、そのまま自分は鞄から書類を取り出すと教卓の前に立つ。
残りのメンバーはバラバラとなつみの指示に従い、教卓の周辺に集合し、席に着く。
なつみ 「これより、第一回乖離の箱庭の会を始める!本日は豪華二部編成!!一部でオリジナルキャラクターの完成版お披露目。二部でみんなお楽しみ、推しプレゼンテーション大会だよ。」
みはる、ちあき、ふゆか、拍手。
なつみ 「それでは早速、この世紀の大天才なっちゃんが考案した、我らを基とするオリジナルキャラクターの設定集が・・・。」
ちあき 「キタ~、天才なっちゃん。」
ふゆか 「出た、もはや誰の原型も留めてないオリキャラ。」
なつみ、手にしていた書類を全員に配る。
なつみ 「こちら!!」
ちあき 「え、すげぇ!イラストもついてるじゃん!」
ふゆか 「マジか。手が込んでるなぁ。」
なつみ 「イラストはみはるに描いてもらったよ。」
みはる 「描きましたー。」
なつみ 「んで、詳しい説明に入る前に、一つ弁明させて。」
ふゆか 「はい。」
ちあき 「なんでしょうか。」
なつみ 「あの、このオリキャラちゃんたち、企画が1年前から出て、この度の完成版までの期間、ちょっとずつちょっとずつ設定を足したり、変えたりしてきました。その結果、あたしたちを基に作り始めたはずなのに気が付けば独立し、原型を留めなくなってしまいましたね。・・・でもね!足した設定ってあたしたちのうちの誰かしらの要素を混ぜただけ、もしくはこんな設定あったら面白いなって足したものたちだから!実質あたしたちだよ!?ほら、あんまりあたしたちのまま過ぎても萎えるとこあるじゃん??」
ちあき 「なるほどね。」
ふゆか 「まぁ、ウチらのままで乖離の箱庭の世界にいるってのは萎えるね。」
なつみ 「そのかわり、天才なっちゃんが物語的に面白く、かつスーパープリティな女の子たちに仕上げたから許して。」
みはる 「大丈夫。可愛いは正義。可愛いは無問題だよ。」
なつみ 「ありがとう。それを了承してもらったうえで資料の表紙を開き、1ページ目に入ろうか。」
なつみの資料、『乖離の箱庭オリジナルキャラクター』の表紙をめくる。そこにはびっしり詰まった文字。
なつみ 「まず、これから紹介する4人のオリジナルキャラクター略してオリキャラにある共通設定ね。詳しくは資料読んで。全部書いてあるから。まぁ、ざっくり言うと乖離の箱庭の世界観では女の子はあまり強い魔力に身体の構造上恵まれない。だから、スーパーエリート魔導学校の生徒として女の子を登場させるには特別な設定が必要だったわけ。そこであたしが、この女の子4人に与えた設定は、赤子の時誘拐に遭い、誘拐された先で人体実験の被験者になった~。」
ふゆか 「おぉう、しょっぱなから重いな。」
ちあき 「喋りのテンションと話の内容が合わない。」
なつみ 「こうすることで後天的に魔力を増長できるから晴れて入学条件を満たせるわけ~。で、人体実験の結果女の子たちは普通の人では到底及ばないような魔力と、あと魔法の力とは別で特殊能力を一つ植えつけられます。まぁ、能力は特別視するための差別化を図ったのとおいしそうの一言でつけた設定だね。」
みはる 「おいしいでつけていい重さじゃないんだよなぁ・・・。」
なつみ 「そんな共通点を持った女の子たちは誘拐事件後バラバラになるものの、その力は運命を引き寄せ合い、学園で全員が特殊役職
ふゆか 「おぉ~。」
なつみ 「ここまで説明すればいいでしょ。詳しくは読め。じゃあ次のページ~。」
4人、ページをめくる。次のページにもびっしりの文字が書かれており、今度は、輝く金髪をももまでの長さのポニーテールに縛り、エメラルドの瞳を持った美少女のイラストも載せられていた。
なつみ 「続きまして、今回のメイン。キャラクター紹介。まずは、一応あたしが元のキャラクター。クレア・ジョーカーちゃん。」
ちあき 「資料の文字数がほぼ辞書なんだよな。」
なつみ 「設定全部詰め込んだからね。えっと、所属は主人公と同じ1年A組。刻まれた刻印は赤の
ちあき 「おん?」
みはる 「急に不穏だな。」
なつみ 「なんで演じているかと言うと、クレアちゃんはオルタシアで王族の影武者をやっていてずっと他人として生きていたため、自分の感情や意思が全くないの。それがまぁ、詳しくは言わないから読んで欲しいんだけど、色々あって、このままじゃダメだってなって普通を目指すの。でも、空っぽをいきなり埋めるのは難しいから、それで理想の人格を作り出して演じることにしたわけ。演じてはいるものの、空っぽってことは真っ白だからさ、すごく純粋な子だよね~。」
ふゆか 「ほぉ~。」
ちあき 「健気だわぁ。推せる。」
なつみ 「ちなみに植えつけられた能力は自然治癒。ちょっとやそっとじゃ死なないね。まぁ、それを理由に兵器として戦争に駆り出されたりなんなりがあるんだけど・・・。あと、天性の戦闘の才能を持っていて戦いじゃ基本右に出る者はいないね。」
みはる 「あぁ、純粋な子が・・・。」
ふゆか 「ギャップが強いね。」
ちあき 「もうしんどい。」
なつみ 「はーい、次。」
ページをめくる。今度は右に水色のメッシュが入った薄い茶髪を二つで結び、やさしい薄緑の瞳をした美少女のイラストがついている。
なつみ 「次は、一応みはるが元のキャラ、フィノ・バウンちゃん。所属は1年C組。刻まれた刻印は青の
ちあき 「かわいい~。」
ふゆか 「さっきと比べると安心するね。」
なつみ 「趣味は毒の調合と洋裁。人見知りと言うより、人が嫌い。でも、感情や意思のない人間はそれはもう人形だから、クレアちゃんとは仲良し。で、クレアちゃんを着せ替え人形にしたり、こっそり毒の被験体にしているよ。」
ちあき 「ん?うん?」
ふゆか 「前言撤退・・・。」
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