第31話 森の活発化と謎の男

 森の上空に到着するとどこか殺気立った感じがした。


「ふむ…そこら中にモンスターがおるな。」


 リリアは右眼を閉じると左眼で森全体を俯瞰していた。


「あれ。イリアの眼って看破じゃなかった?」


「そうじゃが…我が見えたのなら何か隠蔽の魔法がかけられておったな。これだけの数に魔法をかけるのは不可能じゃし…魔道具じゃろ。」


「イリアさんは魔眼をもっているのですか?」


「そうじゃ。【全てを見通す眼】ヴェル=ゼブラという隠された物を見通す神の眼じゃ。」


「【神眼】ですか…すごいですね。」


「まあの。それよりも、この原因を排除しなければならんの。このレベルの魔道具はそう作れるものじゃないしの…いったい誰の仕業じゃ?」


「わかりませんが、あちらのほうに邪悪な気配を感じます。行ってみましょう。すみませんが、レインさん達は周囲の魔物の鎮圧をお願いしていいですか?」


「わかりました。こちらが終わったらすぐに向かいます。」


「それにしても数が多いね…」


 あまねさんとラークさんと別れた僕たちは周囲の魔物を殲滅に動いていた。ゴブリンやフォレストウルフの低級の魔物のみしかいないがとにかく数が多い。


『無力な者に反旗を掲げる力を。LV.5【強化:全】オール・バフ


「レインさんありがとうございます!」


「なんじゃこれ…魔力効率が良くなっておるし身体強化も化け物のレベルで強化されとる…『Lv.1【腐食】』」


 リーンは魔王城で作った炎剣【焔】《ホムラ》で周囲一帯を消し炭。リリアは呆れながら闇魔法で魔物をドロドロに溶かしていった。

【腐食】は初級闇魔法で手に触れた物体を溶かす魔法なのだが、一回触れただけで絶命しつつ溶けていっている。


「うーん…何処に魔道具があるのだろう?」


「わかりませんが、この規模に効果を及ぼすのなら大きいでしょう。隠ぺい魔法もイリアの眼でわかるでしょうし、とりあえず探しましょう!」


「そうじゃな。数が少なくなればもう一回空から見ればわかるはずじゃ。」


「とりあえず、探そう!」


 僕たちはこの原因となっている魔道具を探し始めた。


 side:あまね


 私と犬に変身したラークさんは森の中にある開けたところにある物体を発見した。


「これは…死体?」


 そこには体を四分割にされた死体が転がっていた。


 ラークさんは近づいて匂いを嗅ぐと言った。


「このにおい…たぶんエレノア村長でしょう。マーダ村の。」


「本当ですか?……と、聞くのも後にしましょう。お客さんです。」『今までの悪をその身をもってあがなうがよい。Lv.3【裁き】ジャッジメント


 私は後方の一本の木に魔法を放った。

【裁き】は非殺傷の中級神聖魔法だが過去に起こした悪の程度によっては殺傷となる魔法だ。神聖魔法は光魔法の派生魔法で近距離、遠距離、回復魔法まで使える攻守一体の魔法系統になっている。


「ククク。急に魔法を放つのは危ないじゃないか。」


 その人物はボロボロのローブをかぶっていて声も辛うじて男性とわかる。


「そうですか。殺人犯には言われたくありませんね。さっさと投降してください。」


「さて。投降はしないが…こちらも仕事なのでね。逃げさせてもらうよ。」


 男は何かの魔道具らしき物を足元に投げつけた。だが、壊れただけで煙幕や目くらましになりそうなものは無かった。


「ククク…目的は達成させてもらった。それでは。」


 男は今度こそけむり玉らしき物体を地面に投げつけようとした。しかし。


「逃がさないよ。謎の男実験台。」

「逃がすわけないよ。」


『逃げるものに枷を。Lv.4【亡者の呼びかけ】』

『Lv.3【雷雨】』


「フェルスさんにレイズ。流石ですね。」


 そこには、倒れた男とフェルスさんと連れてきてくれたレイズがいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る