第29話 軍需品のお届け物と教会

「ここがアウヴァーロなんですね。」


「うん。そうだよ。僕も【迅雷】の頃に一回来たくらいで久しぶりだよ。」


「ふむ…ここがアウヴァーロか。いいところじゃな。」


 僕たちが出発する時にギルマスから連絡が来て『一日でも早く到着してくれ。』と、要請があったらしく受け入れの準備も整っているらしいのでこれ幸いと転移の魔法陣をリーンに協力してもらって作った。さすがに、イリアには頼めないしね…あと、リーンがすごい押してきたせいでもある。

 今は、町に入るための検問所ではやすぎて偽物じゃないっかって言われていて足止めを食らっている。


「どうせ照合して終わりですし気長に待ちましょう。」


「そうだね。」


 そうして僕たちが話して待っていると、ノックの後に扉が開いた。


「すみません。王都から来た方々とはあなたたちですか?」


 入ってきたのは巫女服をまとった女性と色白な青年だった。


「はい。そうです。あなたたちは?」


「おっとすみません。私はあまねといいます。こはれ教という教会の教祖をしています。こっちの彼がレイズといいます。」


「よろしく。」


 それにしても、レイズかぁ。あっちと関係あるのかな?まあ、いいか。


「僕がこのパーティーのリーダーのレインと言います。こちら彼女がBランク冒険者のリーン。それでこっちがリリア。」


「よろしくお願いします。あまねさん、レイズさん。」


「よろしくじゃ。」


 と、挨拶をしていると終わったらしく衛兵が入ってきた。


「証文の照合の結果、本物だと確認できました。積荷などは既に外に運んでありますので。お引止めして申し訳ありませんでした。」


「いえ。それでは失礼します。」


「レインさんついってってもよろしいですか?」


「ええ。いいですよ。ここの地理に疎いので案内してくれるとたすかるのですが…」


「ええ。もちろんいいですよ。」


 そうして、僕たちはあまねさんの案内の元、ギルドに軍需物を届けた。積み荷を用意するので明後日まで待ってほしいとの事だったのであまねさんの教会によることにした。


「ここが私達の教会です。まあ、小さいんですけどね。」


 と、少し照れながら言っているがそれでも中くらいの大きさはあるだろう。簡素な感じだがどこか神々しさが感じ取れる。


「すごいですね。」


「元々これより小さかったんですけど、みんなが改修してくれて…中に入りましょう?」


「わかりました。お邪魔します。」


 中は大きな礼拝堂になっており壁には謎の珊瑚礁(?)が生えていた。


「おかえりなさーい。お?お客さん?」


「サンゴちゃんただいま。うん。そうだよ。」


 …珊瑚礁が喋ってる。発声器官とかは見当たらないのだけど…


「…喋る珊瑚礁がいても不思議ではありませんしね。」


「そうじゃな。」


 なんか2人がそこまで驚いてないし…知ってたのかな。


 この後、珊瑚礁から出るぶどうジュースや様々な動物に変身できるというラークさんを紹介してもらい話しているうちに暗くなり教会に泊まりませんか?とあまねさんが言ったのでそのまま教会で1夜を過ごした。


────────

珊瑚礁が異質すぎる。

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