第28話 side:こはれ教
レイン達が出発する一時間ほど前…
アウヴァーロの屋敷からあまねは領内の教会に帰った。
「ただいまー。」
私が教会の扉をくぐって声を掛けると部屋に置いてある珊瑚礁から声が帰って来た。
ちなみに中は、よくある教会と一緒だ。
「おかえりなさーい。」
「あ、サンゴちゃんただいまー。」
彼女(?)はこの教会を守ってくれている珊瑚礁で、枝先から葡萄ジュースや葡萄爆弾を生成する不思議な魔法珊瑚だ。ちなみに水じゃなくても生きていけるので、前に仲良くなった時からずっと旅をしてきた仲間だ。
「なにかありましたか?」
「ううん。何にもなかったよ。あ、村の人たちが食料をくれたよ。」
「いらないって言ってるんですけどね…」
「いいじゃん。くれるなら貰っておいたほうがいいよ。あ、ぶどうジュースのむ?」
「のどが渇いてたところですし、ください。」
サンゴちゃんの隣に置いてある木製のコップを手に取ると枝先に近づける。そうすると、枝先から紫の液体がコップに並々注がれた。
「そういえば、他の人は?」
「ラークさんは奥の部屋にいると思うよ。フェルスさんは魔王国に出掛けてるよ。レイズさんはいつも通りふらっと何処かに行っちゃったよ。」
「そうですか。ラークさんに挨拶してきますね。」
「ほどほどにねー。」
そう言うサンゴちゃんを置いて奥の部屋に向かった。
「ラークさんはー…お、いましたね。」
ラークさんはどんな動物に変身する能力があり、大きい動物は時間がかかるが小さい動物ならすぐに変身ができる。今は猫になって体を丸めて椅子の上で眠っていた。
私はそろーりとゆっくり近づくと、そのままラークさんの体を勢い良く抱きかかえた。
「ふにゃあぁぁあ!?」
驚いて暴れているがいつものことなのでそのままモフモフする。
「はぁ…ラークさんの体はモフモフですね~。」
「ふにゃぁぁ!」
そのまま10分程モフモフしていた。
「あまね…寝てるときにモフモフしようとするなって言ったよな…」
なぜ起こられてるのでしょうか?モフモフがあったらモフモフするのは普通のはずなのに。
「そうでしたっけ?覚えてないですね~」
「はぁ…もういい。とりあえずやめてくれ…」
「は~い。」
さて、モフモフしたことですしお仕事しましょうかね。
私が必要な書類の整理を自分の部屋1時間程していると控えめなノックが聞こえた。
「開いてますよー。」
「ただいま。」
「レイズじゃないですか。お帰りなさい。」
「ただいまです。」
彼はレイズ。水と電気を操ることが得意で広範囲殲滅を得意としている。彼だけは私のことを様付けしている。いらないって言ってるんですがね…
「なにかありましたか?」
「うん。国からの軍需品が届いたって耳に挟んだから報告しようかなって。」
「え、もうですか?早くないですか?」
「それでも、ついてるみたいだよ。僕も怪しく思って見てきたんだけどホントらしいよ。」
おかしですよ。聞いた話しでは早くとも2,3日は掛かるとの話だったのに…
「レイズ。案内できますか?」
「任せてください。」
私はレイズの案内の元その場所に向かった。
────────
フェルスさんはもうちょっと出番待って下さい。(土下座)
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