第24話 勇者パーティー出発前日 side:【聖女】クロ

「さて、明日がようやく出発か!」


「ええ。そうですね。」


 私はクロ。【聖女】を授かった私は魔族撲滅を掲げる教会から勇者パーティーに派遣された。そして、明日王都から出発するために最後の打ち合わせとして集まっていた。周りには、【魔女】や【剣豪】に【聖騎士】のこれから仲間になる人たちがいた。全員が女性で勇者だけが男だ。


「おいおい。俺らの仲だろ?そう固くなるなって。」


 勇者は私の身体に触れようとするが片手でその手で払った。


「あいにく、私は神に身を捧げたので。」


「お堅い聖女サマだこと。」


 そう言うと勇者の彼は他の仲間の所に行ってしまった。他の人たちは嬉しそうにしていた。


「…クロ。」


 いや、一人例外もいた。


「…貴女ですか。どうしましたか?」


 そう声をかけてきたのは【聖騎士】の彼女だった。

 私と彼女は幼少期から一緒に教会で暮らしてきた。


「…いや、出発の前日だからね。緊張とかしてないかなって…」


「貴女は心配性ですね。」


「い、いいでしょ…それに、会いたい人もいるでしょ?クロは。」


「えぇ。彼にまた会いたいです。」


 私が適性検査を受ける前…暮らしてた村の大切な幼馴染。


「…また、話を聞いてもらえませんか?」


 彼の話をする事が教会で出来る癒しになっていた。


「いいよ。」


 勇者の方をみて聞かれてないことを確認した後に話し出した。


「彼と会ったのは5歳の頃…いつものように村の中を歩いている時でした。」


 私は幼い時友達と言う存在はいなく、いつも一人で村の中を歩くのが好きでした。


「その日も変わらずに歩いていると、村の外から何かが燃えるような音が聞こえてきたのです。」


 そして、誰かの怒号と悲鳴を。


「それで私は興味本位で近づいて行きました。柵の隙間から覗くと小さな小屋のような物が燃える様子と囲む大人達。そして、その大人たちに囲まれる男の子でした。」


 その小屋には前から近づくなと両親に言われてきました。何を聞いても近づかないようにと言われるだけでした。


「ですが、その理由もわかりました。その男の子は片翼を生やし片角を生やしていました。」


 そして、起こったのは虐殺。


「我を忘れたようにその男の子は周りの大人達を薙ぎ払い突き刺してバラバラにしました。」


「いつも聞いてるけど何処に癒し要素疑問なんですけど。」


「ここからですよ。…それで、私は思いました。『なんて神々しく禍々しいのだろうか』…と。」


「毎回思いますけどその子供崇拝するのばれたらやばいですからね…?」


「そこら辺は上手く立ち回っているので問題ありません。」


 彼と再開するにはこうするしかありませんし。


「続けますよ。その後、暴れた彼は燃え盛る炎を前に眠るように崩れ落ちてしまいました。」


 この機会を逃す選択肢はありませんでした。


「その後、彼を安全な私の家にある私だけの隠し部屋に匿ってから彼には催眠…いや、改変ですか。それを施して記憶を都合いいように改変しました。彼の幼馴染に。」


「いつも思いますが頭おかしいですね。」


 さて、明日は骨が折れますしそろそろ休みますか。


「聞いてくれてありがとうございます。私はそろそろ就寝しようと思います。」


「わかりました。私も寝ようと思います。」


 そして、私達は勇者達を置いてやすむことにした。


 彼を見ることになるとはその時は思いもしなかった。


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 ウナギ:どうしてこうなった。(白目)

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