第22話 リーンの暗い決意
僕たちがクエストから帰ってくるとナーヤがいた。それにしても、また会えるなんて思わなかったなぁ。まあ、王都だしここは稼ぎやすいと思ったのかな?
「レイン!変わらないみたいだな!」
「ナーヤも変わらないようで良かったよ。」
「えーっと…レインさん?この方は?」
「それで、そのツレは誰なんだ?」
リーンとナーヤはお互いが気になるみたいだね。
「あぁ。二人共お互い知らないか。紹介するね、元【迅雷】所属のBランク冒険者ナーヤだよ。小柄だけど身長の倍くらいの盾を使いこなすんだ。」
「よろしく。」
素っ気ない挨拶をリーンにする。
「それで、こっちがBランク冒険者のリーン。【迅雷】に入る前にここで教官してた時の自慢の教え子なんだ。」
「よろしくお願いします。ナーヤさん。」
丁寧に会釈するリーン。
「別にナーヤでいいぜ。こっちもリーンって呼んでいいか?」
「えぇ。いいですよ。よろしくお願いします。」
なんかリーン他人行儀だなぁ。まあ、いいか…
「それで、ナーヤは何でここに来たんだ?」
「サラがここに来たほうがいいって言っててな。そんで、ついでに休息もしたいよなって話になったんだ。さっきついたんだがここに来るまでに手持ちが少なくなってなどんな感じのクエストが貼ってあるか確認しに来たんだ。まぁ、手持ち無沙汰だったのもあるけどな。」
「まあ、サラは家事と買い物がうまいし、ホノカもいるだろうからね。彼女はいい宿屋を探す才能があるからね…」
「それで、この後集まる予定なんだが一緒に来ないか?サラとホノカも会いたがってたぞ。」
「うーん…行きたいけどこれから行くところがあってね。そっちのほうに行かなきゃ。」
「そうか…まあ、ここでまたいつか会うだろうしな。」
「そうだね、またね。」
リーンは軽く会釈をして、僕は握手をナーヤとして別れた。
リーンに注がれる暗い視線に気づかずに…
☆said:リーン
私はナーヤに軽く会釈をして別れる時…いや、会った時から彼女が敵だと理解した。いや、彼女たちか。冒険者パーティー【迅雷】と言えば強すぎる女性三人組が有名だ。【賢者】【剣神】【要塞】の異名をもらうほどだ。だが、一番の原因は全員が下級職であることにある。
【賢者】サラは厄災のような魔法から神のごとき繊細な魔法を使いこなす。
【剣神】ホノカはサムライと言うカタナしか使えない職業だが身体能力が高くあらゆるものを切り裂く。
【要塞】ナーヤと言えば突如出現したSランクの魔物の攻撃を全て受け止めきり討伐に貢献した。そして、それらはレインが【迅雷】に入ってからの二年間で起こったことだ。あの暗い感情。レインの能力で強くなり手放したくないのだろう。
「周囲の確認は怠らないほうがいいですね…」
闇討ちや毒殺も平気で仕掛けてくるはずだ。
「ん?どうしたの?」
「いえ!なんでもないです!イリアと合流して行きましょう!」
彼にこの心の中は見られたくない。あの時のように明るく振る舞う。
「そう?ならよかったよ。えーっと…イリアどこかな。」
彼は物凄く鈍感でどんなアプローチもきかなかった。だけど…いつか振り向かせてみる。
王城前で待ち合わせているイリアを探し出す彼の隣を歩く。
この幸せな日々が壊されないように。
彼の隣で一生寄り添うために。
彼女達の排除を。
絶対にレインの事は渡さない。
そう彼女は決意した。
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