第33話 ハルvsイヴ決着
イヴは出鱈目に木刀をぶん回す、縦横無尽の斬撃を撒き散らしながら襲いかかってくる、普通だったら隙だらけになるが、その隙を突こうとするも『
堪らず木刀で貰ったらまずい斬撃だけ防御、数号打ち合うと俺の木刀から微かに、だが確実に嫌な音が鳴り響く。
(………まずい………これ以上受けるわけにはいかない……一旦距離を離す!!)
「………逃がさない……『
「?、なっっーーー!!?」
俺のバックステップと同時に床に手を付けるイヴ、素早く詠唱する、何をする気なのか分からず一瞬呆けるも、すぐに驚愕に塗りつぶされる。
足元に散らばっていた武器の残骸が手の形のように変化して俺の足を拘束。
足が固定されたため転ける俺は鎖でさらに雁字搦めに縛られる。
「くそ、………あっーー」
『
「くっーー、『我紡ぐ子竜の鎧、
『
「ッッッッーーー」
敵の自由を奪ってから自分が信頼を最もよせる最強の一撃を放つイヴ。
俺に回避する術はない、防御を固めるが、威力が高すぎる、そこで俺の意識は途切れた。
「うう、あれ?俺………………」
目を覚ますとまだ見慣れない天井が見えてくる………昨日通された部屋だ。
「………全く、大丈夫ですか?」
「………クリス?」
呆けていると上からクリスの声が降ってくる、体に痛みがなく傷も殆ど完治している………彼女が治療してくれたのだろう。
「ハメ外しすぎですよ」
「治療してくれてサンキュ………………あー〜負けたのか俺………」
「………負けたけど、いい勝負でした」
「そりゃどうも」
クリスの慰めを適当に流す俺………周りを見回しイヴがいないことに気づきクリスに質問してみる。
「………あれ?、イヴは?」
「………道場の近くに大浴場があってどうせならそこで疲れを癒しています」
「え〜〜、そんなものがあったのか、俺もあとで入ろ〜」
大浴場まであるとは、至れり尽せりだな………
「………はぁ〜こんなんじゃあいつの背中を守るなんて夢のまた夢だな」
「はは、まぁまぁ、従者より強いテイマーなんて聞いたことありませんし、仕方ないかな………と」
「………なぁ、俺たちのパーティー初依頼のゴブリン討伐………覚えてるか………?」
「覚えてますけど………なんですかいきなり?」
「ほら、俺言ったじゃん、テイマーが後ろに下がって指示を出す………役割がしっかりしていると言えば聞こえは良いが、それは魔物に辛いことは押し付けて自分は安全地帯から眺めてるだけ………ってさ」
「あ〜、ふふ、私を騙すためのデマカセ………ですよね?」
彼女は思い出し笑いをする、その微笑は柔らかく花のように可憐だった、俺は騙していたことに後めたさを感じ少し顔を逸らしながら返事をする。
「実はあれ、全くのデマカセって訳でも無いんだ………ちょっと嫌だった、仲間の背後に隠れるのは………仲間が傷だらけなのに俺は………ってな、それなら最初からテイマー選ぶなって話なんだけど………だけどそれでも俺はドラゴンテイマーになりたかった………なりさえすれば他に何にもいらないって思ってたけど………」
「………………けど?」
彼女は続きを促すかのように最後の言葉を疑問符をつけながら復唱する、小首を傾げている彼女はなかなかに可愛らしい。
「………………人の夢に際限はないよな、よし、決めたぜ、次の俺の目標は、あいつとクリスを守れるくらい強くなってやる!」
「………ならまず、イヴさんに勝てるようにならないとですね」
「ああ、イヴ、お前を倒すのはこの俺だ!!」
「ふふ、頑張ってください」
彼女に勝利する事を誓う………自分の胸に深く強く刻みつける、クリスは戦っているときはイヴを応援してたが、今度はちゃんと俺にエールを送ってくれる。
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