第14話 イヴファッションショー


「あっーー、こっちも似合いますね!」




「………あの、服なんて適当でよくない……?」





「駄目です!、女の子なんだからもっと気を使わないと!!」




「…………助けて…………」





「………俺の力の範囲を超えてるわ」





困り顔で俺に助けを求めてくるも目を爛々と輝かせているクリスを止めることなど出来はしない。




夜が明けると適当に依頼を受けて金を稼ごうとしてる俺達を引き止めたクリス。



「ちょ、ちょっと!!二人はどこいく気ですか???!」



「「…………どこってせっかく(イヴが)冒険者になったんだし、ギルドだけど…………」」



異口同音で返事する俺達。




「なに言ってるんですか!!、セルリはともかく………イヴさん!、そんな格好で依頼を受けるなんて自殺行為です、まずは色々準備しましょう!」




「確かに…………俺は性能高くないけど一応装備は整ってるし、イヴはーー、………服だけでも買いに行ったほうがいいかもな」




いまだにボロ雑巾を縫い合わせたような粗雑な服を着ているイヴをチラ見する俺。




「…………わかった………」



一理あると納得した俺の言葉に渋々肯定の意思を見せるイヴ、それが俺たちの運の尽き。




「………これでいいかな………?」





「いいんじゃね?安いし」





イヴは動きやすそうな半袖、長ズボン、黒い上着を着て同意を求めてくる、対して適当に頷く俺。





「良いわけないでしょ!!、セルリは黙っててください!」




「あっ、はい聖女様」




クリスの圧に戦略撤退する俺。




その後、彼女はイヴを着せ替え人形のように様々な格好をさせ、今に至るというわけだ。





「さて……こんなところでしょうか?」





「…………恥ずかしい………」





白を基調とし、フリルが服のあちこちに大量使われていて、大きいリボンが目を引く袖付きワンピースに身を包むイヴ。





「…………えっと……このリボンはなんの意味があるの………?」






「可愛いです!!」





「……………ハァッ………」




クリスは胸を張り高らかに宣言、赤面しながら呆れるという中々器用なことをするイヴ。




「おぉーー、」





「………あーー、見ないで………ハーー、セルリ……」




俺はイヴの姿に見惚れて呟く、忘れていた俺を見るや否や赤面しながら指を突き合わせ俯く彼女。





「あっーー、わ、悪い!!」




恥ずかしそうにしてる彼女から速攻で目を離す俺。





(………着替えたイヴを見ただけなのになんだこの背徳感は………)





後ろを向きながらそんな事を考える俺。



 


「………赤面しながらモジモジしてる美少女って見てるとすげぇドキドキする…………それにしても滅茶苦茶似合ってたなぁ〜美少女は何着ても可愛いけど服を凝るとさらに良くなるのか〜、勉強になったな」





「ドキドキーー、にあーー、美、美少女ーー」






「うん?」




イヴの様子がおかしいので振り向いて確認するとリンゴのように真っ赤に染まり目をグルグル回し意味のわからない独り言を呟く彼女。





「えーーーと、もしかして声に出てた?」




彼女の独り言の一部が俺の思考と同じ単語が飛び出てきてまさかと思い質問する。





「………か、か、か、可愛い………」




「ふふふ、二人は本当に仲良しですね」





クリスは微笑を携えて聞き覚えのあるセリフを言い、いまだ目を回しているイヴには届いてすらいなかった。




イヴの様子が落ち着き、自分で服を選び始める彼女。



「………どう…………?」




「いいんじゃないか?」




「………似合ってますけど、それ制服っぽいじゃないですか」




白ワイシャツ、首にネクタイを締める、生地がしっかりしている上着を羽織り、フリルが少しだけついてるスカートとカッコいいブーツを履いてる彼女、制服な感じでまとめていて似合っている。





「…………さっきのはリボン大きすぎ、フリル付きすぎ……」




クリスコーデとイヴコーデを購入、イヴコーデを早速着て店を出た俺達。





「なぁ、イヴはなんでどっちも買ったんだ?」





「…………一応念のため何着か持ってた方がいいでしょ………?」




「あ〜たしかに」





「ふふふ、そうですよね、念のためですよね〜」





「………クリスは黙ってて………」




「?」



俺はふとした疑問をイヴにぶつける、彼女はなぜか赤面しつつそっぽを向いて気のない返事、しかし言ってる内容は筋が通ってるので納得する俺。




クリスはそんなイヴに対して何か思わせぶりな含み笑いと言葉を漏らす、そんな彼女を睨みつけながら口早に喋るイヴ。



二人に置いてきぼりにされる俺。

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